私道の道路では通行料を請求されることも!相場はいくら?

購入しようか検討している土地の中に、まれに私道を通らざる負えない土地もあります。

その場合、きちんと私道の契約をせずに家を建てて住んでしまうと、のちに通行料を請求されることもあるのです。

この記事では私道についてや、通行料を支払う場合の相場はいくらかなどをお伝えしていきます。

私道と公道の違いは何?

マイホームを建てるために土地を検討する方も多いかと思います。

土地を選ぶ際に注意すべきポイントの一つには、「私道」が挙げられます。

そもそもこの私道がどのような道路かというと、建築基準法上の道路ではあるが、国や地方公共団体以外の私人が所有権を持つ道路をいうのです。

車によく乗る方ですと、「国道」や「県道」は聞き馴染みのある言葉かと思いますが、このような道路は国や地方公共団体が所有しています。

名前のとおり、国道であれば「国」、県道であれば「県」が道路の所有権を持ちます。

国や都道府県などが所有する道路はまとめて「公道」といい、道路の維持や管理責任を国や地方公共団体が負っている道路と定義されているのです。

公道であれば、誰でも通ることができるため、何の問題もなく今までも通っていたかと思います。

しかし、私道を通らないといけない土地の場合、私道の所有者から承諾を頂かないと、通行料を請求されることもあるのです。

通行料の相場がいくらくらいなのかは後ほどご説明し、その前に私道の所有者から頂く承諾についてみていきましょう。

私道を通る土地を購入!その際は私道の所有者から承諾を!

購入を検討している土地が私道を通らなくてはいけない場合、事前に私道の所有者から承諾をいただいておくことが重要です。

一般的には、「私道の無償通行・掘削承諾書」という書類を、土地の売り主と私道を所有する人との間で作成してもらいます。

そして、この書類には、次の3点を押さえておくことがとても重要となります。

・購入対象の土地の所有者及び所有者と関係のある人が、その私道を無償で通行することを許可すること(車両も含む)

・購入対象の土地にガス管や水道管、下水管などの生活不可欠な設備を備える場合、その私道を無償で掘削することを私道を所有する者は承諾すること

ただし、これらの工事を行った人は、その私道の現状復旧を自己負担で行うこと

・私道の所有者、購入対象の土地所有者が変わる場合は、上記の2点をそれぞれ承継すること

これを書面で交わしておけば、家を建てて住んだ後も安心して私道を使えます。

もし仮に、承諾を得ずに家に住み私道を使った場合は、私道の所有者から通行料を請求される場合もあります。

その際どのくらい請求されるのか、通行料の相場についてご説明しましょう。

私道の通行料の相場はいくらくらい?

前もって、私道の所有者から私道を使う承諾を受けておかないと、のちに通行料を請求されることもあります。

それではどのくらい通行料として請求されるのか、その相場についてご説明します。

相場といっても、それぞれの道路の面積や固定資産税は違いますから、「だいたいこの金額」と提示するのは難しいのです。

そこでここでは、固定資産税が25,000円の場合でみていきます。

私道の通行料の目安としては、通常の借地料の10%といわれています。

借地料がわかっていれば、その10%を通行料として設定することが可能です。

借地料が分からない場合は、固定資産税で算出します。

固定資産税の3倍が借地料とされているので、ここでの固定資産税25,000円を3倍します。

25,000円×3=75,000円

これが借地料となります。

そして、通行料は借地料の10%のため、

75,000円×10%=7,500円

ここで求められた数値が、年間の通行料となるのです。

ただし、先ほどもお伝えしたとおり、私道によって固定資産税等も変わりますから、こちらはあくまでも参考程度におさめておいてください。

分譲地では多い私道負担!固定資産税の相場はどのくらい?

あらかじめ承諾を頂いておかないと、私道の所有者から通行料を請求されることはお伝えしました。

通行料ではないのですが、分譲地を購入する際には注意しなければいけないことがあります。

それは、私道負担があるかどうかです。

例えば、ある大きな土地を6棟の一戸建てが建てられる分譲地にし、「コ」の字型に配置するとします。

このとき、土地の真ん中には1本の道路(位置指定道路、幅員4m)が通り、それぞれの住宅につながります。

この真ん中の道路が私道に該当するのです。

そして、この私道は6棟の所有者が平等に所有することになります。

各住宅に面する道路を所有するのではなく、1本の私道の所有者が6人いるとなるのです。

そのため、私道の通行料が発生することはありませんが、私道のどの部分に不備があったとしても、6人で平等に修繕しなくてはなりません。

コストを6等分するので比較的安くは済みますが、自分の家とは関係ない部分の修繕費も支払わなければならないのです。

これが私道負担の、大まかな内容です。

また、私道であっても土地を所有することになりますから、固定資産税も課せられるでしょう。

ここで挙げた分譲地の私道の場合は、どのくらいの税額が相場になるのでしょうか。

ここでのように、複数の人が使う位置指定道路の私道であれば、位置指定道路の部分には固定資産税は課せられないことが一般的です。

したがって、ここでの分譲地の場合は私道部分の固定資産税は0円となります。

しかし、固定資産税が課せられないのは、全ての分譲地に当てはまるわけではありませんので、各分譲地を管理する不動産屋さんなどに確認しておきましょう。

通行料が発生する!囲繞地通行権とは何?

私道ではないのに、通行料が発生するケースもあります。

周囲の土地が囲繞地(いにょうち)となっている場合です。

囲繞地とは、袋地を取り囲む土地をいいます。

袋地は、道路にどこの面も接していない土地をいうのです。

したがって、袋地に住む人は、囲繞地である土地を通過しなければ道路に出ることはできないのです。

そのため、袋地の人には囲繞地である他人の土地を通行ができる権利を認められています。

この権利を「囲繞地通行権」といいます。

とはいえ、囲繞地の土地をどこでも通行して良いということはなく、最も損害の少ないところを通行することになるでしょう。

もし、車両を要する場合は通路を開設することも、囲繞地通行権で認められています。

この通行にあたっては、袋地の方は囲繞地の方へ1年ごとに対価(通行料)を支払ったり、通路を開設したのであればその損害費用においてもまとめて支払うことになります。

この通行料の相場については、次項でご説明します。

囲繞地に支払う通行料の相場は?

袋地の方が囲繞地の方に支払う対価(通行料)の相場としては、地域によってばらつきがあります。

そのため、ここでは算出方法についてご説明していきます。

囲繞地に支払う通行料として算出する方法は2つです。

①近隣の相場に合わせる

もし、近隣に囲繞地があれば、そこの通行料を参考に算出します。

②借地以外の土地賃貸借に合わせる

例えば、月極めの駐車場が近くにあれば、その料金の相場に合わせて算出します。

これらを以下の計算式で計算し、通行料を決めます。

通行料=近隣の月極め駐車場などの料金×利用割合

利用割合は、通行に必要となる部分が、囲繞地の敷地のどのくらいの割合であるかです。

しかし、通行料の金額については規定がありませんので、通行料の金額に互いに合意しない場合は裁判所で算定される場合もあるようです。

私道でなくても通行料を支払う場合がありますので、囲繞地についても頭に入れておくと良いでしょう。

あとでトラブルが起きないように…

この記事で、私道における通行料についてや、囲繞地においての通行料についてお伝えしてきました。

どちらものちにトラブルを招きかねないものですので、あらかじめ話し合っておくことが重要です。

そのため、土地を購入する前には、私道であれば承諾を得ておくこと、囲繞地であれば通行料をお互い合意の金額にすることを必ず行っておきましょう。