新築予定の方で、まだ土地を探している段階の方は、準防火地域といった言葉をご存知でしょうか。
住宅が密集している街の中心部では、上記の地域に指定されている土地が存在します。
そして準防火地域に新築すると、住宅に使う外壁や窓サッシ、またはシャッターなどに耐火性能が求められます。
今回は、準防火地域についてのくわしいご説明と、窓サッシやシャッターのお話を中心にしていきましょう。
準防火地域とは?防火サッシやシャッターが必要?
日本の住宅密集地には、準防火地域と呼ばれる地域があります。
この地域では、火事が起こった際に、まわりの家に火が燃え広がらないように、住宅に耐火性能のある外壁や窓サッシ、シャッターなどを取り入れることが義務づけられています。
この区分けは。準防火地域を含む4つの地域で分類されており、「防火地域」、「準防火地域」、「法22条区域」、「無指定地域」の4つで、最も規制が厳しいのが防火地域になります。
防火地域のまわりに準防火地域、さらにそのまわりが法22条指定地域となっており、まったく防火規制のないその他の地域のことを無指定地域と呼びます。
防火地域は、その街の主要となる場所に指定されており、繁華街や駅周辺、ビルが立ち並んでいる場所など、もっとも規制が厳しい場所となります。
火が燃え広がると非常に困る場所のため、厳しい耐火基準が設けられているのです。
こういった防火地域に一戸建てを建てることはあまりなく、防火地域のまわりに位置する、準防火地域に土地を購入し、新築することの方が多いです。
この準防火地域でも、防火地域ほどではありませんが、住宅にさまざまな耐火基準が求められます。
次項で、4つの地域ごとにで建てることのできる建物をくわしく見ていきましょう。
4つの地域別!建てられる建物の基準
先述の4つの地域では、建築できる建物の種類や規模が、あらかじめ決められています。
どのような建物が建築できるのか、以下でご紹介しましょう。
●防火地域
防火地域の耐火建築物は、「3階以上の建物」、または「延床面積が100㎡以上」と決められています。
大きなビルや駅などはここに該当するでしょう。
●準防火地域
準防火地域の耐火建築物は、「4階以上の建物」、または「延床面積が1,500㎡以上」と決められています。
延床面積が1,500㎡未満、3階以下の建物は「防火の借置をする」必要があり、防火サッシやシャッターなどを採用し、主要構造部への耐火性が求められます。
●法22条区域
準防火地域のまわりに位置する法22条区域では、建物の屋根を耐火性のある素材で作る必要があります。
外壁から火がまわると想定して、延焼の恐れが高い部分を防火性能のある構造にしなければなりません。
●無指定地域
上記以外の無指定地域では、住宅に耐火性能が求められることは特にありません。
だた、まわりからの延焼予防として、屋根や外壁に準不燃性能の素材を使用しても良いでしょう。
準防火地域の規制基準とは?防火サッシやシャッターが必要
準防火地域に新築した場合、住宅にさまざまな耐火性能が求められることとなります。
どのような場所に防火が必要となるのか、以下でご紹介していきましょう。
●屋根
屋根はまわりから火が移る可能性が高いため、不燃材料を使用する必要があります。
ちなみに、太陽光パネルを検討している方もいるでしょうが、太陽光パネルは建物の構造材ではないので、防火性能とは関わりません。
あくまで、その下の屋根を耐火性のある素材にする必要があります。
●外壁、軒裏
外壁や軒裏は、屋根と同じくらい火が燃え移りやすい場所となります。
目安として、「耐火時間30分以上」の性能のある不燃材料を使用する必要があります。
●開口部
窓などの開口部は、防火サッシや防火用のシャッターを採用する必要があります。
換気扇には「防火ダンパー」と呼ばれる、火をさえぎることができる部品を取り付けましょう。
開口部をしっかり防火することで、家の中に火が燃え広がる時間を遅らせることに繋がります。
準防火地域の新築の窓は防火サッシでなければならない?
ここでは「窓」について見ていきましょう。
先述の通り、窓などの開口部には防火サッシを採用する必要があります。
では、防火サッシとは、どのような特徴がある窓なのでしょうか。
まず、防火サッシの見た目ですが、網入りのデザインが多く、中にはすりガラスのように曇っているタイプのものもあります。
防火サッシの網には、火災で窓ガラスが飛散することを防ぐ目的があります。
準防火地域では画期的な窓ですが、家の窓のほぼすべてを防火サッシにするため、通常の窓より費用が高くなってしまうでしょう。
さらに、防火サッシの特徴ともいえる網の見た目に、抵抗があるという声も多く耳にします。
その上すりガラスのように曇っていては、せっかくの新築なのに、窓からの景観を邪魔してしまいますよね。
そのため、通常のクリアな窓ガラスにしたい方は、防火用のシャッターをつけることをおすすめします。
これについて、次項でくわしくご説明しましょう。
好きなサッシを選びたいなら防火シャッターをつけよう
準防火地域で新築する場合、窓を防火サッシにする必要があります。
防火サッシを選びたくない方は、窓に防火シャッターを取り付けましょう。
準防火地域であっても、防火シャッターを取り付ければ、中のサッシは通常のものを選ぶことができます。
以下で、シャッターを取り付けた際のメリットを見ていきましょう。
●防犯対策になる
準防火地域に限らず、1階は防犯のためシャッターを取り付けるご家庭が多いですよね。
掃き出しの大きな窓や、見通しの悪い窓にはシャッターを採用し、防犯意識を高めましょう。
すべての窓にシャッターを取り付けるのは費用の観点で難しいですが、せめて1階の窓には取り付けることをおすすめします。
●ガラス割れを防ぐ
台風や強風の際に、飛んできたものが窓にぶつかり、ガラスが破損することがまれにあります。
シャッターがあれば、それらを防ぐことが可能でしょう。
以上のように、シャッターを取り付けることで、さまざまなメリットが生まれます。
さらに、シャッターには電動タイプと手動タイプがあります。
手動タイプは窓を開けて自分でシャッターを開閉するため、毎日に行うには少し大変かもしれませんが、電動タイプはボタン1つでシャッターの開閉が行えるため、雨や雪の日でも窓を開けることなく操作することが可能です。
防火シャッターを取り付けるのが嫌な場合は、防火サッシを採用することとなりますので、覚えておきましょう。
準防火地域で新築!火災保険料は安くなる?
上記では、防火サッシと防火シャッターについてくわしくお話ししてきました。
ここでは火災保険について、準防火地域では保険料が安くなるのかなどを、ご紹介していきましょう。
まず、火災保険は3つの区分に分けることができます。
【火災保険の区分】
・M構造…マンションや耐火建築物
・T構造…コンクリート造や鉄骨造などの準耐火構造
・H構造…一般的な木造住宅
上記のうち、準防火地域で火災保険料の割引が受けられるのは、M構造とT構造です。
その理由は、火災に強く、延焼しにくい住宅であるためです。
しかし、木造住宅でも3階建ての場合、火災保険料の割引を受けることができます。
それは、3階建ての住宅は、準耐火構造にすることが求められるため、区分で見るとT構造となるのです。
2階建ての木造住宅の場合はH構造となりますので、その対象にならず、保険料の割引はありません。
これから新築する方は、必ず火災保険に入ることとなるでしょう。
特に、準防火地域での新築を予定している方は、忘れないように頭に入れておきましょう。
準防火地域での新築は防火サッシか防火シャッターを取り付けよう
準防火地域で新築する場合、窓や屋根、外壁などに耐火性能のある素材を使用しなければなりません。
窓の場合、網入りの防火サッシを採用することとなるでしょう。
防火サッシを避けたい場合は、防火シャッターを取り付ければ、自分好みのサッシを選ぶことが可能です。
ただ、防火シャッターは費用がかかりますので、どの窓に設置するのかをよく検討するようにしましょう。