新築したら、隣家の土地と自分の土地を区別するため、壁を設置したいとお考えの方は多くいらっしゃるでしょう。
境界に設置する壁には土地を区別するだけでなく、住宅を目隠しする効果も期待できます。
庭や家を目隠しするには、なるべく高さのある壁を設置したいですよね。
ところで、境界に建てる壁に高さの制限はあるのでしょうか。
今回は境界壁の高さについてお伝えしていきましょう。
境界線とはどのように決まるのか
新築したら、ある程度の高さの壁は境界に必要ですよね。
それを設置するためにも、まず境界線についてくわしくお話をしていきましょう。
そもそも、境界線とはどのようにして決められているのでしょうか。
それは、点と点を結んだ線により決められているといいます。
自身の土地の隅の点を「境界点」と呼びます。
境界点は別名「筆界点(ひっかいてん)」とも呼ばれ、これは土地を数える時に「一筆、二筆…」と数えることから由来しています。
また、境界点をはっきりさせるために設置するものを「境界標」と呼びます。
境界標は一般的に、土地に杭を埋め込んだり、壁に金属プレートを設置することが多いです。
この境界標は、よく見ると矢印や十字が表示されていて、その中心が境界点を表しています。
この境界点と他の境界点を結んだものが境界線となるのです。
境界線は隣家との土地を分ける「隣地境界線」のほかに、「敷地境界線」や「道路境界線」などがあります。
これらはどのような違いがあるのでしょうか。
次項でご説明していきましょう。
境界線には種類がある!
高さのある壁を設置するのに重要な境界線ですが、いくつかの種類に分類できます。
以下でご説明していきましょう。
●隣地境界線
隣地境界線は、自身の土地と隣の土地の境界を表す線となります。
昔は、この隣地境界線の上に壁を設置して土地を分けることが一般的でした。
しかし、最近では壁の修繕費の負担をめぐるトラブルが多いため、あまり見られなくなりました。
●道路境界線
道路境界線は自身の土地と敷地に隣接する道路との境界線のことを指します。
この場合の「道路」とは、区や市などの行政が所有している一般の公道が前提になります。
●敷地境界線
こちらは、建物の立っている敷地の外周のことを指します。
敷地境界線は、隣地境界線と道路境界線に分けることができます。
隣地境界線上に壁を設置したい!高さ制限は?
ここでは隣地境界線上に壁を設置する場合、費用負担などがどのようになるのかお話ししていきましょう。
まず、境界線上に壁を設置する場合、自身と隣家で壁やフェンスなどの費用を分担することが可能です。
これは民法によって決められています。
敷地内に壁を作るとその分土地が減りますから、境界線上に設置できれば、土地もあまり減らず、しかも費用負担も減るとは良いですよね。
しかし、これはどちらか一方の独断で実行することはできず、隣家と話し合わなければなりません。
所有者同士で話がまとまらない場合は、民法により高さ2メートルまでの壁で、板塀のような材料で設置することが可能になっています。
上記の内容であれば、隣家が塀の設置に反対していても、実行することが可能なのです。
その上、費用は共同で負担することとなります。
しかし、これらは隣人トラブルの元となりますのであまりおすすめできません。
事前に話し合って、お互いに良いように進めていくのが理想でしょう。
なお、壁の取り壊しや修繕費に関しては、壁を共有で負担した場合には、共有となります。
これは、あくまで壁の所有者が、修繕費用などを負担すると決められているためです。
自分の敷地側に壁を設置する!高さ制限は?
ここでは自分の敷地、つまり境界線の内側に壁を設置する際のお話をしていきましょう。
まず、自分の土地に壁を作ること自体は自由です。
そして、好きな高さの壁にすることが可能です。
しかし、あまり高い壁を作ると、住宅の採光問題に繋がります。
隣家が日陰になってしまい、日があたらなくなる可能性もあるため注意が必要です。
そのため、自分の土地に壁を作る場合であっても、隣家には事前にお話ししておくと良いでしょう。
また、新築した場合、すでに隣家の壁が設置されていることも考えられます。
あまりに見た目が古い場合、新しい壁を作りたいと考えますよね。
その場合はまず、その壁の所有者が誰なのかはっきりさせることが大事です。
また、その壁は境界線上に設置されているのかも確認しておきましょう。
相手の敷地側に壁がある場合は隣家の所有物なので、すでにある壁はそのままで、新しい壁を自分の土地に作るのが理想でしょう。
しかし、すでにある壁が境界線上に設置されていた場合は、現在の壁を壊して新しい壁を設置する方法になります。
その際は、現在の壁の所有者と話し合い、どのように負担するのかを決めていきましょう。
高さのある壁にしたい!ブロック塀の場合は?
境界にはある程度の高さの壁を作りたいですよね。
ここでは住宅でよく見かける「ブロック塀」についてお話ししていきましょう。
まず、ブロック塀は建築基準法により、規制を設けています。
【ブロック塀の規制】
・高さは1.2メートル以下(以下の条件を満たすと2.2メートル以下まで)
・壁の厚さは15センチ以上(高さ2メートル以下なら10センチでも可)
・鉄筋は9ミリ以上である
・鉄筋のピッチは80センチ以下
また、ブロック塀は何も気にせずに設置する人も多いでしょうが、実はいくつかのデメリットがあります。
以下でご紹介していきましょう。
●倒壊しやすい
ブロック塀は基本的に、基礎の部分に鉄筋を使用して、倒壊するリスクを軽減しています。
業者によりますが、きちんと施工していない場合、倒壊してしまう恐れがあります。
●倒壊の際の被害が大きい
ブロック塀はコンクリートのため、重量があります。
倒壊した時に、そのすさまじい衝撃で住宅や車を傷めてしまう可能性があります。
●防犯上の問題
ブロック塀は高さのあるものが多いです。
それらは敷地内に侵入者が入っても分かりづらいでしょう。
防犯の面で見ると、低めのブロック塀の上にフェンスなどを設置して、周りを見渡せるタイプのものをおすすめします。
境界で悩んだら!境界問題解決センターへ相談しよう
隣家との境界があいまいな時、話し合いで解決できないことも考えられます。
また、すでにある高さのある壁を壊す際、費用をどちらが負担するか、また新設する壁が決まらない場合も当てはまります。
当事者同士で話がまとまらない場合は、専門的な機関に頼って解決させましょう。
●専門家に依頼
日本の各地に「境界問題解決センター」という、土地家屋調査士会が運営する相談所が存在します。
そこであれば、土地や境界のトラブルについて、土地家屋調査士と弁護士に相談することができるのです。
●市役所・法務局へ相談
なるべく費用をかけずに解決したい場合は、市役所・法務局ならば無料で相談することが可能です。
土地や境界の相談窓口を設けているところも多いので、まずは気軽に相談してみるのも良いでしょう。
●裁判
境界問題を解決する最終的な方法です。
この場合、土地の所有者同士が主張する境界を測量し直し、証拠を提出する流れとなります。
最終的に判断をくだすのは裁判所となります。
境界線を正しく理解して壁を設置しよう
境界線についての詳しいお話と、壁を設置する際の注意点などをご紹介しました。
境界線と一口でいっても、いくつかの種類に分けられ、土地の隅の境界点により、細かく決められているものだと分かりました。
また、新築したらその土地に長く住むことになりますから、隣人トラブルは避けたいですよね。
境界上に壁を設置する場合は、隣家とよく話し合い、お互い納得のいくものを設置するように心掛けましょう。