境界トラブルの元にもなるブロック塀は本当に境界線にある?

ご近所同士のトラブルにはゴミ出しや騒音の他にも、隣家との土地の境界をめぐる問題があります。

「自分の土地だと思っていたところに隣家が勝手にブロック塀を作った」、「隣家の敷地にブロック塀を作るのに費用を折半された」など、特に境界にブロック塀が絡むとトラブルが大きくなることがあるようです。

今回は、そんなご近所トラブルの典型ともいえる境界ブロックの問題について考えてまいりましょう。

ブロック塀をめぐる境界トラブルは放置すると裁判沙汰に!

土地の境界をめぐる隣家とのトラブルは、家の外構トラブルで最も多い問題です。

特に家の境目にブロック塀が建っている場合には、次の3つのパターンが考えられます。

・両家のちょうど境界線上にブロック塀がある

・境界線よりA家側にブロック塀がある

・境界線よりB家側にブロック塀がある

ブロック塀は通常、両家の境界線上にあることが多いのですが、どちらかの家の敷地内に建っている場合もあります。

いずれにせよトラブルが起きるのは、A家とB家で認識が異なる場合です。

A家では両家のちょうど境界線上にブロック塀があると認識していても、B家では自分のブロック塀と思っていたり、A家のブロック塀と思っている場合があります。

あるいはA家では自分のブロック塀と思っているのに、B家では両家の境界線上のブロック塀と思っていたり、自分たちB家のブロック塀と思っている場合があります。

長年その土地に住んでいても、代替わりなどをすると本来の所有権が定かでなくなり、何かのきっかけでトラブルとなってしまうのです。

一度こじれてしまうと当事者同士ではなかなか解決しづらく、最悪の場合、裁判沙汰になる可能性があります。

そうなると、それまで人間関係が良好だったとしても修復できない亀裂が入り、今後の生活に大きな影響を与えます。

そうならないためにも普段からブロック塀はどちらのものなのか、はっきりさせておかなければなりません。

新規で土地を買い、新しく家を建てる場合にはなおのこと、土地の境界やブロック塀についてきちんと確かめておく必要があります。

不動産会社から特に何も明示されてなくとも、こちらから尋ねて明確にしておきましょう。

トラブル防止のために知っておきたい!境界ブロック3つのルール

隣家との境界のブロック塀には、次のようなルールがあります。

・両家のちょうど境界線上にブロック塀がある場合

このブロックは両家の共有物です。

これから作るのなら費用は折半になります。

また倒壊するなどして修理の必要がある時も必ず双方相談の上、費用をどうするか決めなくてはなりません。

個人で勝手なことができないブロック塀です。

・A家の敷地内にブロック塀がある場合

作るのも修理するのもA家の自由です。

相談なく好きなようにできます。

B家はもちろん、このブロック塀を自分の所有物のようには使えません。

・B家の敷地内にブロック塀がある

上述したのとは逆にB家ですべて管理します。

A家はこのブロック塀を自分の所有物のようには使えません。

以上3パターンで厄介なのが、境界線上にブロック塀がある場合です。

互いに共有物と認識していればまだしも、片方にその認識がない場合は、上述したようにトラブルが発生する可能性があります。

それまで隣家と良好な関係であったとしても、ブロック塀をきっかけに険悪な状態になってしまうかもしれません。

また、隣家が引っ越したり家を売却したりすれば、新たな隣人と再び良好な関係が築けるとも限りません。

そんなとき、ブロック塀の改修に迫られる事態が起きたらどうでしょう。

費用をめぐりトラブルが生じる可能性がありますよね。

こうした状況に陥らないためにも、近年は新規に土地を購入して家を建てる場合、境界ブロックは自分の敷地内に建てるというかたが多くなってきました。

しかし、それでもトラブルが発生することがあるのです。

敷地内に境界ブロックを建てた家と隣家とのトラブル例

境界ブロックをめぐってのトラブルに頭を悩ませているかたは多いようです。

ご紹介するのは新規で土地を購入のうえ、家を新築されたかたのトラブルです。

隣家はすでに家を建てられているのですが、境界ブロックがありません。

そこで共有の境界ブロックを建てようと話に行ったところ、「する気はない。費用を全額そちらで負担するならOK」との答えでした。

費用全額負担ならと、境界線上ではなく自分の敷地内にブロック塀を作ることになったのですが、本来予定していた庭面積が狭まるうえ予想外の出費も重なり、納得のいかない気持ちを抱えてしまったそうです。

2軒の土地の広さと価格が同じなら、ブロック塀を作るほうにこうした不公平感が生まれるのも当然といえるかもしれません。

こうした気持ちから隣家に対して必要以上に神経質になり、植栽の落ち葉などが少しでも敷地内に入ってくるだけで不快になるそうです。

新生活をスタートさせるというのに、こうしたことが原因で今後の生活が暗いものになるのだとしたら嫌ですよね。

しかし、だからといってその気持ちを隣家にぶつけ、隣人にもブロック塀を作ることを強いれば、取り返しのつかないトラブルになりかねません。

ブロック塀を作るのも作らないのも個人の自由ですから、「作らない」選択をした隣家の考えも尊重されるべきなのです。

ブロック塀だけじゃない!曖昧な境界がトラブルにつながる

隣家とのトラブルはさまざまです。

たとえば自分の敷地内にブロック塀を作ろうとしたら、隣家から「そこは自分の土地だ」といわれたり、隣家が作ったブロック塀やその基礎が自分の敷地内に入り込んでいたりといったことはよくあるトラブルです。

なぜこうしたトラブルが起きるかというと、多くが境界線を誤解しているからです。

境界線がブロック塀の内側なのか外側なのか、はたまたその中心線上にあるのか、あるいはどちらかの家の敷地内に入り込んでいるのか、斜めに通っているのかなどハッキリしていないか、間違って覚えていることが多いのです。

実際にあったケースでは、数年前に購入した土地・建物の境界ブロックを、両家とも各々の不動産会社から自己の所有物であるとの説明を受けていました。

ところが後に、このブロック塀はちょうど境界線上にあり、両家の共有物であることがわかったのです。

不動産会社も誤解していたのかもしれませんが、土地の購入時には現地できちんと境界を見定めておくことが大切です。

知らずに購入して後々トラブルにつながるより、事前に正確な境界を把握しておきましょう。

境界の調べ方

隣家とはブロック塀で仕切られていると思っていても、それが正しい境界線を示しているとは限りません。

上述したように、ブロック塀がどちらかの敷地内に建っている場合があるからです。

「ブロック塀=土地の境界線」と誤解すると、トラブルになりかねません。

できるだけ早期に、本来の境界を明確にしておく必要があります。

では、どうすれば隣家との正しい境界がわかるのか、ご説明いたしましょう。

まず、土地の境界には境界標といって矢印や十文字が刻まれたコンクリートの杭や金属プレートが埋め込まれています。

この境界標と別の境界標を結んだ線が境界線で、隣家との境目の境界線を隣地境界線といいます。

隣地境界線上にブロック塀があるのかどうか、現地の境界標の位置を調べ、各々を結んでみればわかります。

正確な境界を知るには、ほかに地積測量図や道路図も必要です。

地積測量図とは、登記されている土地を測量した図面で、境界が確定できる可能性があり、地域の法務局で取得できます。

また道路図とは道路と民有地の境界を示した図面で、各市町村役場にあります。

この道路図と地積測量図、そして現地の境界標の3つが一致してはじめて土地の境界が特定できるのです。

ブロック塀に絡んだ境界トラブルは専門家に解決してもらおう

ブロック塀にまつわる境界トラブルは、当事者間で話し合うと、こじれたり揉めたりして大きなストレスになりがちです。

冷静な視点を持つ第3者に入ってもらいましょう。

ただし、素人では難しいので、専門家もしくは専門の機関に相談します。

土地の境界トラブルを多く扱っている土地家屋調査士や弁護士がおすすめです。

まずは、土地家屋調査士会が運営する境界問題解決センターに問い合わせてみましょう。

あるいは法務局や役所、土地家屋調査士会が無料相談を受け付けている場合があります。

積極的にたずねてみてください。

また、その地域を管轄する法務局には土地の筆界を特定する制度があります。

筆界とは境界とほぼ同義語で、法務局に申請すると専門の測量士が特定したい土地2筆を測量し、境界を特定してくれます。

自分で申請に行くのもいいですが、土地家屋調査士や弁護士に依頼するのも可能なので相談してみてください。

ブロック塀のトラブルは専門家に任せて

ブロック塀をめぐる境界トラブルは、正しい境界を双方が確認することで一歩前進できますが、当事者間ではなかなか解決には結び付きにくいようです。

そんな時は土地家屋調査士や弁護士など専門家に間に入ってもらうことで、きちんと解決できます。

ただし、こじれた人間関係はなかなか元通りとはいかないようです。