容積率がオーバーしていると違反に!何か罰則規定はあるの?

不動産投資用に物件の購入を検討されている方もいるでしょう。

その際、重要となるのは「容積率」という指標です。

容積率は建築基準法でルールが決められているのですが、中には上限をオーバーしている物件もあり、これは違法物件と判断されます。

容積率のオーバーで違法物件とされた場合、何か罰則の規定などはあるのでしょうか。

この記事で解説していきます。

容積率とはどんなもの?

不動産投資として、物件の購入を検討している方もいる場合、その物件がどのような物件であるかを見極めることが重要です。

見極めるのに重要な指標として、「容積率」が挙げられます。

それではこの容積率とは、どのようなものなのでしょうか。

これは、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合とされています。

延べ面積は延べ床面積といわれることもあり、2階以上の建物であれば、各階の床面積の合計を示しています。

どのようにして数値が出されるかというと、

「容積率=延べ床面積÷敷地面積」

以上の計算式で、容積率の値が導き出されます。

容積率の値はパーセントで表記され、各地域の用途地域によって上限が決まっています。

この上限をオーバーしてしまうと、法律違反となり罰を受けることもあるでしょう。

容積率の罰則の規定については後ほど解説しましょう。

オーバーすると法律違反に!?容積率にも上限がある

容積率の値は、各地域で用途地域によって上限の数値が決められています。

例えば、用途地域が「商業地域」とされている場合、200~1300パーセントの範囲で、100刻みで容積率の数値が決められます。

また、「第一種住居地域」という用途地域にされていれば、100、150、200、300、400、500パーセントのどれかの数値になります。

以上のように、用途地域がどのような地域かで、容積率の上限の数値も変わります。

そのため、不動産投資として物件を検討している場合は、その土地の用途地域が何になるのかも知っておくことが重要です。

前の項では、購入した物件の容積率がオーバーしていると、法律違反になることもあるとお伝えしましたが、明確な罰則は定められていません。

しかし、悪質な法律違反には是正命令が出る可能性があります。

何にせよ、容積率を把握し、オーバーしていない物件を選ぶことが重要となりますので、取得する前には必ず確認しておきましょう。

なぜ容積率をオーバーしてはいけないの?

ここで気になってくるのが、なぜ容積率をオーバーしてはいけないかということです。

上限が決められていることはお話ししましたが、容積率の上限を設定する理由は何かあるのでしょうか。

理由として挙げられることは、いくつかあります。

・建物と建物の間に一定の間隔を維持することで、火災などが起きた際の影響を拡大させないため

・建物と建物の間に一定の隙間を確保することによって、風通しの良さを確保させるため

・近隣に住む人たちの日照権を守るため

・周辺地域の景観を壊さないため

・地域の人口に制限させるため

物件を得て家賃収入を考える場合、所有する物件でいかに多くの利益を出すかが重要です。

そのためには、部屋数を多くしたり、一部屋当たりの面積を広くしたりと、利益につながる策を多く練ることでしょう。

とはいえ、上記で挙げた理由のように、周辺住民への配慮も必要です。

周囲の方々も住みやすいように、建築基準法でも容積率の上限を定めて罰則規定も設けていますから、容積率の上限の数値は守らなくてはいけません。

容積率をオーバー!罰則を科されることはあるの?

法律でも決められている容積率の上限ですが、罰則規定は何かあるのでしょうか。

ちなみに、容積率がオーバーしている物件には2種類あります。

・違反建築物

・既存不適格物件

以上の2つに分けられ、後者であれば違反とされないことが多いです。

というのも、既存不適格物件は、建築された当初は特に問題のなかった物件なのです。

しかし、年月が経ち、建築物に対する規制が強化されると、法律も改定されます。

法律の改定によって容積率がオーバーしてしまった物件を、既存不適格物件というのです。

そのため、既存不適格物件を購入しても、そのままの状態で使うのであれば法律違反とはなりませんし、罰則を科されることもないでしょう。

ただし、もし増改築工事などを行う場合は今の規定に従わなくてはなりませんから、増改築とともに今の容積率の上限内で建て替えるようにしなくてはなりません。

一方、違反建築物の場合ですと、状況によっては罰を受けることもあります。

どのような罰則を科されることになるかは次項でみていきましょう。

違反行為があれば罰則を科されることも…

既存不適格物件であれば、違反にもならなければ、罰則を科されることもないでしょう。

しかし、違反建築物の場合は、状況次第では罰を受けることがあります。

この違反建築物というのは、名前をみてもわかるかと思いますが、「建築基準法」を無視して建てられた違法の物件を指します。

そのため、容積率においても無視して建てられていることが多く、たいてい上限をオーバーしていることがほとんどでしょう。

ところが、容積率が違反していることがわかっていても、罰則においては明確に規定されてはいません。

対応措置はとられるそうですが、地域によって対応のしかたにも違いがあります。

あまりにも悪質であったり、周辺住民からもクレームが起きれば、厳しい監査が入る場合もあります。

しかし、建築の際に違反行為があるときは別です。

設計した人が建築士でなかったり、工事管理者が定められていないといった違反行為が認められれば、罰則を科されることになるでしょう。

違反行為の罰則としては、罰金100万円以下と決められています。

建築後に行政的措置!命令を背いた場合も罰則を科される

建物が違法だと確認できるのは、建築後だけではありません。

工事の途中に容積率などが違法だと発覚すれば、特定行政庁より工事の停止命令が下されることもあるでしょう。

もしくは、完成した後に「使用禁止」や「改善命令」が下されたりする場合もあります。

この特定行政庁の命令に背いた場合には、命令違反として罰則を科されることになるでしょう。

建築基準法98条1項1号により、懲役3年以下もしくは罰金300万円以下とされています。

もっとひどい場合には、強制執行による取り壊しの措置をとられることも否定できません。

これは、使用禁止などの命令を出されているのに、命令に対して応じないときに、行政が強制的に建物を解体することをいいます。

違法建築物は、不動産価値が低いので、比較的安価に売られていることが多いです。

そのため、価格につられて容積率を確認せずに取得してしまうこともあるかと思います。

容積率がオーバーしている違法建築物であれば、行政庁から「使用禁止」の命令を受けるでしょうから、家賃収入などに利用することもできなくなってしまいます。

さらには、上記で挙げた罰則を科されることにもなりかねませんから、罰を受けることのないよう、物件を購入する際は容積率がオーバーしていないかをきちんと確認しましょう。

容積率は場合によっては違反になる!

不動産で収入を得ようとしているのであれば、物件選びは慎重に行わなければいけません。

既存不適格物件であれば違反にもならず罰を受けることもありません。

しかし、違法に建築された場合は別です。

明確に罰則の規定があるわけではありませんが、違反行為があったり、特定行政庁の命令に背けばたちまち罰則を科されることになります。

罰を受けないためにも、容積率の上限をオーバーしていない物件を選ぶようにしましょう。