家を建てる際に、「建ぺい率」「容積率」という言葉を聞くことがあるでしょう。
これらを計算することによって、どれくらいの広さの家が建てられるかが分かります。
しかし、家を建てるためにはそれ以外のことにも注意が必要です。
建築する際の重要なポイントとなる建ぺい率や容積率の計算方法、また他に注意しなくてはならないことにはどのようなものがあるかについてお伝えします。
建ぺい率とその計算方法は?
建ぺい率という言葉は、聞きなれないですよね。
家を探している人や不動産関係の会社に勤めている人でないと、なかなかイメージが湧かないのではないのでしょうか。
建ぺい率とは「敷地面積に対しての建築面積の割合」のことです。
簡単に言うと、敷地の何割を建物を建てるために使っていいのかということです。
建ぺい率の計算方法は、建築面積÷敷地面積です。
建ぺい率は、その敷地が属する用途地域により、制限が定められています。
住宅地では、40%や50%であることが多く、敷地の半分ほどを建物に使用できますので、建物以外の部分はお庭や駐車スペースとして利用できますね。
住宅地は人が住むためのエリアです。
建物を建てる際にも、余裕を持って建物を建てて、過ごしやすい街づくりをしていくために建ぺい率の制限が厳しくなっています。
反対に、商業地域は80%など建ぺい率は高いです。
このような地域は、敷地面積の大部分に建物を建てることができます。
例えば、駅前のビルが立ち並んでいるようなエリアです。
次は、容積率について考えてみましょう。
容積率を知ることで、建物面積の限度が把握できる
建ぺい率と併せて、容積率という言葉も聞きなれない言葉でしょう。
容積率とは、「敷地面積に対しての建物の延べ床面積の割合」のことです。
簡単に言うと、敷地に対して床面積がどれくらいの建物を建てることができるのかということです。
容積率の計算方法は、延べ床面積÷敷地面積です。
容積率を知ることで、1階部分と2階部分、あれば3階部分の建築可能な部屋数や間取り、建物面積の限度が把握できます。
容積率も、建ぺい率と同様、用途地域により、制限が定められています。
住宅地では、80%や100%の地域が多く、2階建ての住宅を建てるイメージです。
反対に、商業地などは300%以上のエリアが多く、高いビルが建ち並んでいるようなイメージです。
容積率を計算することによって、建物の延べ床面積が大体把握できますので、希望の間取りや面積と照らし合わせてみるといいでしょう。
建ぺい率を計算する上で緩和措置が存在
建ぺい率や容積率は、一定の条件を満たすような場合、緩和されます。
簡単に言うと割増しできるため、建築できる面積や総床面積を増やすことができるということです。
建ぺい率の場合、用途地域にもよりますが、定められている建ぺい率が80%の地域の場合、防火地域内にある耐火建築物は建ぺい率が100%になります。
防火地域は、火災の危険を防除するために定められた区域であり、耐火建築物(鉄筋コンクリート造や国土交通省の認定を受けた耐火性能を有する木造住宅など)を建築する必要があります。
防火地域内では、火災の延焼を防ぐための対応を取っているからこそ、敷地面積いっぱいに建築ができるわけです。
次に、特定行政庁が指定した角地にある場合です。
「特定行政庁が指定した角地」に該当する場合には、通常の建ぺい率にプラスして10%を割増して計算することができます。
ただし、特定行政庁により適用条件は様々なので、該当する特定行政庁の適用条件を確認しましょう。
例えば、その敷地が道路又は公園、広場、川その他これらに類するものに接していなければならないというものがあります。
以上のように、建ぺい率の緩和は一定の条件が揃わないと受けることができないのです。
容積率には不算入という緩和措置がある
前項では建ぺい率の緩和措置についてご説明しましたが、容積率にも緩和措置があります。
その一つが容積率の不算入です。
不算入とは計算上、指定の場所は建物の延べ床面積に含めなくて良いという特例です。
その不算入の場所をご紹介します。
まずは、地下室です。
地下室がある場合には、住宅として使用する部分の床面積の3分の1を上限として容積率の計算から外すことができます。
次に、駐車場が建物内にあるビルドインガレージです。
この場合には、床面積の5分の1を上限として計算から外すことができます。
3つ目に、ロフトです。
ロフトの場合には、すぐ下の階の床面積の2分の1を上限して計算から外すことができます。
ただロフトの場合は、小屋根裏収納と言われますので、高さ1400mm以下とされており、屈んで入るような高さになっています。
その他にも、マンション特有のものや道路の幅によるもの等もあります。
容積率の不算入の措置にも様々なものがありますが、以上の例は一部となりますので、参考までに記憶しておいてくださいね。
建ぺい率、容積率以外の建築制限
建築制限は、建ぺい率や容積率だけではありません。
その他にも、例えば、建物の高さを制限する規制があります。
まず、低層住宅専用の地域に設定されている絶対高さ制限です。
低層住宅専用地域は、建物の高さを10mや12m以内に収めなければなりません。
高い建物を建てないように制限をするというものです。
高さを制限する規制としては、他に斜線制限というものがあります。
斜線制限とは、道路の境界線または、隣地の境界線からの距離に伴って建物の高さを制限することで、空間を確保して日当たりや風通しを良くしようとするものです。
他にも、日影規制(近隣の敷地への日影の影響を一定時間内に抑えて近隣の日照を確保するための規制)という制限があります。
以上のように、建物の高さを制限するものだけでも、様々な規制があります。
例に挙げたものは、制限の一部です。
すべての制限の中に収めて建築をしていかないとならないため、建ぺい率、容積率だけをただ単純に計算しただけでは、建物を建てることはできないのです。
特殊な形状をした旗竿地の場合の建物面積の計算はどうなる?
土地は、一般的に整形地と不整形地に分けられます。
整形地とは、土地の形状が正方形や長方形に整えられている土地のことです。
一方、不整形地は整形地以外の土地で、旗竿地やL字型の土地、三角形の土地などを指します。
宅地として利用される土地は整形地ばかりではないため、すべてが同じように計算できるのか、また注意しなければならないことがあるのか気になるところでしょう。
不整形地の中でも「旗竿地」という言葉を聞くことが多いのではないでしょうか。
旗竿地とは、土地の形状が旗竿状になった敷地のことです。
旗竿状になっているため、敷地に通路のような部分ができており、敷地延長とも呼びます。
もしも旗竿地の通路のような部分を敷地の一部として考えることができない場合には、建ぺい率や容積率の制限が緩かったとしても建築面積が非常に少なくなってしまいます。
では、その通路のような部分(敷地延長部分)も敷地の一部として計算することはできるのでしょうか。
結論から言うと、できます。
延長している部分も敷地面積の一部となりますので、同じ面積で考えたとしても整形地に比べて建築面積が少なくなってしまうなど不利になるようなことはありません。
建築時に考えるべきは建ぺい率と容積率だけではない
建ぺい率と容積率には緩和措置があるので、該当する場合はそれを考慮した上で計算しましょう。
また、土地には整形地と不整形地があります。
例えば、不整形地である旗竿地の通路部分も建ぺい率と容積率の計算に入れることができます。
建ぺい率や容積率以外にも、様々な建築制限があり、その範囲内で建物を建てなければならないので覚えておくと良いでしょう。