理想の家づくりができる注文住宅を建てる際は、まず家を建てるための土地を探さなければなりません。
立地条件や価格など希望に合った土地を見つけるのは、そう簡単ではありません。
しかも購入した土地の上に、自由に建物を建てられるわけではないことをご存知でしょうか?
特に「建蔽率」や「容積率」は建物を建てるための制限なので重要です。
建蔽率や容積率の求め方を知って、建てたい家が建てられるのか確認してみましょう。
建蔽率と容積率を確認しよう
建売住宅や中古住宅などもメリットはありますが、一から自分の理想どおりに建てられるとあって注文住宅はやはり人気が高いです。
注文住宅を建てる場合、まず必要なのは土地探しです。
建てられる土地がなければ、建てたい家を建てられません。
土地を探す時にはエリアや立地条件、価格などを考えながら探すのが一般的です。
一つとして同じ条件の土地がないので、理想と近い土地を探すのはなかなか大変です。
しかも土地には、都市計画法によって制限が設けられています。
さらに住宅が建てられる市街化区域では、用途地域が定められています。
この用途地域により、自己所有の土地だからといって建物を自由に建てられるわけではありません。
工業専用地域以外であれば住宅を建てることはできるのですが、住宅ならどのような建物でも建てられるというわけでもありません。
これは都市計画により、建蔽率や容積率が定められているからです。
もし建蔽率や容積率のことを考慮せずに土地を購入してしまった場合、建てたい家が法律の制限により建てられないことがでてきてしまうかもしれません。
家を建てる上で建蔽率や容積率はとても重要な項目なので、建蔽率や容積率の求め方を知っていると土地探しにも役立つでしょう。
建蔽率の求め方は?
建蔽率の求め方ですが、まずは建蔽率の定義を理解しておきましょう。
建蔽率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」のことを指します。
もっと簡単に説明すると、「建物と土地を真上から見た時に、建物が土地のどの程度の面積を占めているか」というのが建蔽率です。
建蔽率や容積率は建物を制限するために定められていますが、敷地面積に対する建築面積の割合を制限することで、建物の密集を抑制する意味合いがあります。
例えば、土地いっぱいの広さに建物が建っていれば密集地になってしまいますよね。
住宅街の密集は防災や景観の面から見ても、あまり好ましくありません。
建蔽率は
建蔽率(%)=建築面積(m²)÷敷地面積(m²)×100
という求め方で割り出すことができます。
建築面積とは「建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」のことです。
一般的には二階建てであれば、一階部分の方が広い場合には一階部分の面積、二階部分が広い場合は二階部分の面積が建築面積となります。
合計の面積ではないので注意しましょう。
建蔽率には緩和条件がある!?
建蔽率の求め方は先程ご説明したとおりですが、建蔽率には緩和条件というものがあります。
通常建蔽率や容積率は都市計画によって定められていますが、条件を満たすことで建蔽率に10~20%加算することができるのです。
建蔽率が高くなれば、当然大きな建物が建てられるようになり土地の価値としても高まります。
建蔽率が緩和される条件は、以下のとおりです。
・建蔽率が80%以外の地域で、防火地域内の耐火建築物は10%が加算
・特定行政庁が指定する角地であれば10%加算
・防火地域内の耐火建築物で、かつ特定行政庁が指定する角地は20%加算
さらに建蔽率が80%の地域では防火地域内の耐火建築であれば、建蔽率は制限されません。
このような条件が満たされれば、都市計画で定められた建蔽率よりも大きい家を建てることができます。
また軒や庇、はね出し軒、その他類似するものであれば、水平距離1m未満は建築面積に含まれません。
もし突き出たものでも、1mを超えた部分からは含まれますので、注意しましょう。
容積率の求め方は?
続いて容積率の求め方ですが、まずは容積率の定義について確認しておきましょう。
容積率とは「敷地面積に対する建物の延床面積の割合」のことです。
建蔽率は建物全体の面積は関係ないのですが、容積率は建物全体の面積が必要となります。
容積率は
容積率(%)=延べ床面積(m²)÷敷地面積(m²)×100
という求め方で、割り出すことができます。
容積率は建蔽率と同じように都市計画によって定められていますが、建物の前面道路の幅によって左右されるためそのまま適用されるわけではありません。
都市計画で定められた容積率と前面道路をもとに計算した容積率とを比較し、小さい方がその土地の容積率となります。
前面道路の幅員が12m未満の場合の容積率の求め方は
容積率(%)=前面道路の幅員(m)×0.4または0.6×100
で割り出します。
住居系の用途地域では0.4を、非住居系の用途地域では0.6を使用します。
容積率が大きいほど、高い建物が建てられるため不動産の価値が高いと言われるのが一般的です。
容積率に算入しない部分とは?
建蔽率に緩和条件があるように、容積率にも算入しなくて良い部分があります。
例えば共同住宅の共用廊下や階段、エントランスホールなどは、容積率の求める際に必要となる延べ床面積には算入しません。
住宅の小屋裏、天井裏にあるロフトも条件を満たせば、延べ床面積には算入しなくて良いことになっています。
延べ床面積に算入しない条件は
・天井の高さが平均1.4m以下
・直下階の床面積の50%の範囲で、収納目的であること
の二つが満たされていることです。
さらに自動車車庫や自転車置き場などは、建築物の各階の床面積の合計5分の1までは不算入と定められています。
また、地階室も住宅の用途に供する部分であれば、住宅用途部分の床面積の3分の1を限度に算入しません。
このように、容積率の求め方で必要となる延べ床面積には算入しなくて良い部分があることを確認しておきましょう。
建築物の建蔽率と容積率の上限の求め方は?
建蔽率や容積率を調べておけば、土地の広さから建築面積や延べ床面積の上限を求めることが可能です。
この求め方を知っていれば、建てたい家が決まっている時に土地を探すのが簡単になります。
まずは大前提として、都市計画で定められた建蔽率や容積率を調べておきましょう。
売り出される土地の広告には、建蔽率や容積率が記載されています。
また所在地が分かれば、市町村の役場で調べることも可能です。
最近では市町村のホームページに、電子地図が掲載されていることもあります。
建築面積と延べ床面積の上限の求め方は以下のとおりです。
建築面積の上限(m²)=敷地面積(m²)×建蔽率
延べ床面積の上限(m²)=敷地面積(m²)×容積率
建蔽率や容積率は百分率を用いて表されますが、この計算式では割合になおして計算しましょう。
例えば、敷地面積200m²で指定建蔽率が60%、指定容積率が150%の土地では
建築面積の上限=200×0.6
延べ床面積の上限=200×1.5
となり120m²まで敷地をつかうことができ、各階の合計の面積が300m²までの建物を建てることができます。
建蔽率や容積率を確認しておこう!
どんな土地でも自由に建物が建てられるわけではありません。
特に建蔽率や容積率は「どの程度の家が建てられるか」基準となるので、とても重要です。
土地によっては建蔽率が緩和される条件があったり、一定の条件を満たせば容積率に算入しなくて良い部分があったりするので注意してください。
建蔽率や容積率の求め方を知っていれば、土地探しに役立つことは間違いないでしょう。