憧れのマイホームを建てる際に、土地を購入して建てるケースも多いですよね。
しかし、農地だった場所に家を建てる際には、農地転用という手続きが必要になります。
そこで今回は、農地転用の手続きやそれにかかる費用をお伝えします。
また、建設予定の土地が調整区域の場合はどうなるのかについても解説しているので、興味のある方は参考にして下さい。
農地転用とは?費用の前に手続きの必要性を理解しよう!
今回は、農地転用手続きにかかる費用や調整区域についてお伝えしていきます。
はじめに、農地転用とは何を指すのか、確認しておきましょう。
「農地」というのは、文字通り、「農地として使われている土地」のことです。
つまり、田んぼや畑などがそれに当たります。
そして、農地は売買することもできれば、貸し借りすることもできます。
また、土地である以上、農地以外の使い方もできます。
例えば、耕作放棄地となった農地を買い取って、その土地の上に家や工場を建てることも、駐車場として使うこともできるのです。
しかし、そうなると様々な手続きを取る必要が出てきます。
なぜなら、売買や貸し借りでは農地の所有者(名義)が変わりますし、家を建てたりするのであれば、その土地(農地)の使い方(使用目的)が今までと変わることになるからです。
これを専門用語で「農地転用」と言います。
農地転用では大きく分けて2つの手続きをする必要があります。
それが、「農地転用事実確認願」(転確)の提出と「地目変更」の登記です。
「農地転用事実確認願」は市町村の農業委員会に提出しますが、農地の転用手続きは、これだけでは完了しません。
この後で必ず、法務局で「地目変更」の登記手続きをします。
2つの手続きが終わって、農地転用の手続きが完了します。
「農地転用事実確認願」の提出だけでは地目は変更されないので、注意して下さい。
家を建てるのに必要な農地転用の手続きはどうやる?
では、農地だった土地を購入してそこに家を建てたい場合、どのように手続きすればよいのでしょうか。
以下の流れで行なうと、スムーズに進むでしょう。
①取得予定の農地の書類を用意する
ここで言う書類とは、取得する予定の農地の「登記事項証明書」や「公図(登記所や市町村役場にある土地の図面)の写し」です。
確実に必要な書類なので、あらかじめ登記所などで入手しておきましょう。
②農地の現状を確認する
農地が実際にどう使われているのか確認します。
この時に地境なども確認しておくと、農業委員会で説明を求められたときにも安心です。
③農業委員会に行き、相談する
書類を準備する前に、相談に行くのがポイントです。
なぜなら、農地転用手続きに必要な書類を、どこで用意するのか知る必要があるからです。
そうした情報は、農業委員会で得られます。
また、元々農地転用の許可が下りない場所(調整区域など)である可能性もあります。
そうなると、せっかく費用をかけて用意した書類が無駄になります。
また、書類が足りないということになれば、二度手間にもなります。
それを防ぐためにも、①と②が終わったら、まず相談に行きましょう。
④書類を作成し、提出する
これで農地転用の許可が下りれば、手続き完了です。
土地の農地転用にかかる費用はいくら?
土地の農地転用手続きでは、必要な書類を揃えられるのであれば、自分で手続きすることもできます。
しかし、それにはかなりの時間と労力がかかるので、行政書士などの書類作成のプロに依頼する人がほとんどです。
なぜなら、
・農地転用の手続きは、ただでさえ時間がかかる
・会社勤めの人や慣れていない人が、平日に必要書類を揃えるのは難しい
という背景があるからです。
しかし、農地転用の手続きを行政書士に依頼するには、やはり費用がかかります。
相場は大体、
・農地転用許可申請(一式)で25万円程度
となっていることが多いです。
ですが、もし農地転用して家を建てたいという土地が「調整区域」の場合には、一体どうなるのでしょうか。
続いては、「調整区域」の農地転用についてお伝えしていきます。
農地転用にかかわる「調整区域」とは?
ここまで、調整区域でない農地を転用する際の手続きや費用についてお伝えしましたが、ここからは、「調整区域」に指定されている農地の転用について見ていきましょう。
実は、日本国内には、「市街化調整区域」と呼ばれる地域があります。
そして、不動産業界では、それを「調整区域」と呼んでいます。
農地転用の際に出てくる「市街化調整区域(調整区域)」とは、「都市計画法で定められた、市街化が抑制される区域」のことを指します。
そのため、基本的には、「勝手に開発できない区域」ということになります。
そして、これは、農地転用して家を建てたい場合にも適用されます。
農地転用する際には、まず、その土地が「調整区域」に該当していないかどうかの確認をする必要があるのです。
もし、土地が調整区域の中にある場合には、「開発行為」と見なされるので、許可なしでは農地転用することができません。
しかし、注意したいのは、「調整区域は農地転用できない」というわけではないという点です。
つまり、調整区域内であっても、条件に合えば、開発申請の手続きをして許可を得ることで、農地転用して家を建てることは可能なのです。
しかし、どのような条件があり、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
それについては、第5章と第6章でお伝えします。
調整区域でも農地転用することはできる?
先ほどもお伝えしたように、「市街化調整区域」では、許可なく農地転用することはできません。
しかし、調整区域に該当する場合でも、「都市計画法第34条」に該当するのであれば、「開発許可申請」という手続きを取ることで農地転用して家を建てることは可能です。
その都市計画法第34条に定められている条件は、
1、本家たる世帯の構成員(または構成員であった者)が分家する
2、家を建てる土地は、分家しようとする者が、譲渡、贈与、相続によって取得した
3、既存の集落内(またはその周辺)に家がある
4、市街化調整区域内以外には、住宅を建築できる土地がない
です。
これに該当しないとなると、そこでの農地転用及び家の建設はできません。
しかし、例えば農家で、長男が本家を継ぎ、次男が結婚して新しい世帯を作るために別の住宅を建てるなどの場合には例外として認められます(1、2に該当)。
そのため、仮に候補の土地が「市街化調整区域」に該当しても諦めず、農地転用できる条件に該当するかどうかを確認しましょう。
また、この手続きは、農地を転用すること自体に必要な許可申請(農地転用の届出)とは別であるため、費用も別にかかるので、注意が必要です。
一般的には、「農地転用の許可申請」と同時に進めるのがおすすめです。
調整区域を農地転用する際にかかる費用は?
では最後に、調整区域にある土地を農地転用して、そこに家を建てる場合にかかる費用を確認しておきましょう。
その場合の費用の相場は、大体、
・開発許可申請(一式)で40万円程度
となっています。
この中に「完了検査等」を含む場合もあれば、別に請求されることもあります。
確認しておかないと後でトラブルになることも考えられるので、設計事務所で見積もりを取った際には、開発許可申請(一式)に「完了検査等」を含むのかも、しっかり確認しておきましょう。
もちろん、この他にも
・農地転用許可申請(一式)で25万円程度
・収入証紙代(一式)で5万円程度
の費用がかかりますし、場合によっては、さらに費用がかかることもあります。
設計事務所に現場の測量なども依頼すれば、上記に50万円ほどプラスされるでしょう。
このように、土地の農地転用してそこに家を建てる場合には(そこが市街化調整区域であってもなくても)、多くの労力と費用がかかります。
自分に必要な手続きを調べ、その流れを知り、書類作成を行政書士などに依頼する場合には、その費用についてもきちんと用意するようにして下さい。
農地転用する際は事前に情報を集めることが重要!
今回は、農地転用した土地に家を建てる際の手続きの流れや、大体の費用についてお伝えしました。
書類作成を行政書士に依頼するのが一般的ですが、それには費用がかかるので、その費用についてもきちんと確認し、用意しておきましょう。
これから、農地転用した土地にマイホームを建てる予定の方は、この記事で知識を付けておくと、きっと、マイホームの建設もスムーズにいくでしょう。