私たちが生活していく中で必要になる、家や土地などの不動産を表示するものには、「住所」と「地番」という2つのものが存在します。
ですが、その違いや役割については知らないことも多いでしょう。
一般的には、地番と住所は別のものだと思っている人が多数かと思いますが、中には地番と住所が同じである土地や建物も存在します。
今回は、地番や住所についてご紹介していきますので、参考にしてください。
地番は全ての土地に付けられているわけではない!?
地番とは「所有者を明確にし、税金を課するために一筆ごとの土地ごとに登記所が付けた番号」のことです。
相続や売買などによって分筆や合筆した場合には地番が変わる場合もあります。
ですが、全ての土地に地番があるとは限りません。
そもそも、地番とは徴税のための制度ですから、国有地などの所有者が明白で、かつ徴税の必要のない土地については地番が存在しないのです。
地番がない土地には登記もないので、法務局へ行っても当然、登記簿も図面もありません。
もちろん、地番がない土地には住所も存在しません。
ただし、過去に民有地だった土地が国有地となることもあるので、国有地全てに地番がないわけではないので注意しましょう。
また、民有地の同じ敷地の一部に地番がない土地が含まれていることもあります。
地番がないということは、地目や面積、所有者などか不明で、一般的には公共用地とされているため、民有地と同じ敷地の一部だったとしても建築や売買することは不可能です。
もし、所有権を自分のものとしたい場合は、境界を確定させた上で払い下げを受ける必要があります。
地番と住所の違い!
不動産を表す時に使われる地番と住所ですが、似ているようで実は関連性は一切ありません。
昭和37年以前は地番が住所として使われていたのですが、区画が変更されたり、都市が密着して不便になってきたために、新たに住所という制度が導入されました。
私たちの普段の生活では住所と呼びますが、正式には「住居表示」と表されます。
住居表示に関する法律が施行されたのは昭和37年5月10日のことで、地番とは全く関連性のない考え方で決められています。
しかも、住居表示の制度、いわゆる住所を使うかどうかは、各自治体の判断に委ねられています。
同じ市町村内に同じような町名があるような場合や、町の区域の境界が複雑であるような場合には住居表示が導入されることが多いです。
また、住所は家が建って住居表示の申請をすることで決定するので、建物がないところには存在しないということに注意しましょう。
同じ地番の土地は存在する?
基本的に所在地番というのは一ヶ所のみで、同じ地番の土地は存在しないこととなっています。
登記簿謄本を請求する時は、住所ではなく地番が必要となります。
同じ地番がいくつも存在していると登記事項証明書などを請求する時などに、不便なことが出てきてしまいますよね。
ですが、京都府や広島県、山口県などの一部地域では同じ地番が付けられた「重複地番」が多数存在しています。
これは、山林や原野等の山間地にも1番から順番に地番が付けられたことが原因だと言われています。
これにより、同じ大字区域内で耕地と山間地に同じ地番が存在するようになってしまったのです。
しかし、やはり重複地番では不便なことが多いため、平成25年から現在にかけて、重複地番を解消する作業が進められています。
隣の家と住所が同じ!変更は出来る?
同じ地番が存在することはあまりないのですが、同じ住所はよく存在しています。
そのため、「隣の家と住所が同じ」という事態は割とよく見られます。
これは、住所の決め方が原因です。
住所は、建物ができてからその建物に対して番号が決められるのですが、決定方法には街区方式と道路方式の2通りがあります。
道路方式で決定されることは極めて少なく、ほとんどが街区方式となっていますので、街区方式でご説明していきましょう。
住所は一般的に、「都道府県、市町村、◯番△号」と表示されますね。
◯番にあたる部分を街区符号、△号にあたる部分を基礎番号と言います。
街区符号は道路や線路、河川、水路などによって区切られていて、あらかじめ決定されているので同じでも違和感はありませんよね。
しかし、基礎番号は一定の角を起点として、時計回りに区市町村ごとの一定間隔で付けられていきます。
通常なら、同じ地域でもこの基礎番号が変わってくるのですが、建物が隣接していて玄関が同じ基礎番号にあたる場合には同じ住所となってしまうのです。
さらに、同じ引き込み道路を利用するように建てられた場合や、一つの土地に二つの建物が建っている時も同じ住所となります。
ただ、土地の地番は違っても住所が同じだと、郵便物の誤配など不便なことも出てきますので、枝番を付番することが可能です。
しかし、住所に枝番が付番されると様々な変更届が必要となりますので、詳しくは区市町村に問い合わせてみてください。
地番と住所が同じってどういうこと?
また、家によっては、地番と住所が同じということもあります。
これは、住居表示という住所を導入するかどうかを、各自治体の判断で決定することができるためです。
住所が導入される前は全ての不動産を地番で管理していたわけですから、現在でも地番で管理することに不都合がなければ住所を導入する必要はありませんよね。
実際に東京都でも新宿区や国立市、日野市、調布市などでは住居表示ではなく、地番が住所として使用されています。
このように住居表示が未実地の区域では、地番と住所が同じになっているのです。
また当然ですが、建物のないところには住居表示は存在しないので、建物のない土地の住所は地番と同じということになります。
不動産売買などでは地番が必須となりますので、普段使っている住所は住居表示であるのか、地番なのか知っておく必要があります。
住所が住居表示か地番かは、各自治体の公式サイトなどで確認できるようになっていますので、参考にしてください。
住所から地番を調べる方法は?
「住所は分かっているけれど地番が分からない」という人も多いでしょう。
地番と住所が同じでない限り、普段の生活では地番を目にすることは少ないので仕方がないですね。
ですが、不動産の相続や売買の時には、住所ではなく地番が必要となってきます。
もし地番が分からなくても、住所が分かっていれば調べる方法は色々あります。
ブルーマップを使って調べる方法やインターネットを使って調べる方法などがありますが、1番おすすめなのは法務局へ直接確認する方法です。
地番を調べるためには、法務局へ行くのが1番確実な方法だと言えるでしょう。
ただ、法務局の開局は平日のみで、土曜日、日曜日、祝日はお休みとなります。
会社員の人が行くのは困難な時間帯なので、無理な場合は、法務局へ電話で問い合わせれば教えてもらえる場合もあります。
「地番と住所が同じかどうかということ自体が分からない」という場合には、まずはお住まいの自治体に確認してみるといいですね。
地番と住所は同じ場合もある!
地番と住所は似ているので混同してしまいがちですが、基本的には別のものです。
住居表示の制度を導入していない地域では、地番が住所と同じこともあります。
しかし、住所があるのに地番がない土地というのはありません。
相続や売却時には、地番が必要になってきますので、分からない場合には住所と同じかどうかを自治体に確認するか、法務局へ確認してみるようにしてみましょう。