国家資格である建築士ですが、どのようにして取得することができるのでしょうか?
そして建築士の免許を取得したあとは、そのまま免許は発行されるのでしょうか?
こちらでは、建築士免許の受験資格、免許証の発行方法、住所変更などの手続きの方法や罰則についてまとめてご紹介します。
建築士の資格
まずは建築士という資格とお仕事の内容について詳しくご紹介します。
建築士とは簡単にご説明をすると、建物の建築の設計と、その工事の管理に携わる資格ですが、大きく分けて3種類に分類されます。
それぞれご紹介します。
・一級建築士
一般住宅からスタジアムのような大型の建築物まであらゆる建物の設計と工事の管理が可能です。
ただし、他の資格に比べて資格取得の難易度は高くなります。
・二級建築士
面積500㎡までの建築物の設計・工事管理ができる資格です。
・木造建築士
木造建築のみの設計・工事管理ができる資格です。
一級・二級と比べると容易に受験できますが、設計できる建物が限られるためにあまり数は多くありません。
このように、資格によって設計できる内容が変わってきます。
そして、資格を取得したあとは、免許証の発行や住所変更などがあればその申請手続きの方法、建築士としての規定に反したときの罰則についてなど様々な確認事項があります。
建築士の資格の取り方
次に、建築士の試験についてご紹介します。
建築士の試験は1年に1回、7月に実施されます。
その3、4ヶ所前に受験票の受付が始まりますが、試験日など細かい日付は毎年違うので、事前に確認しておくことが重要です。
試験内容は「学科」と「設計製図」の試験がありますが、先に学科を合格していないと設計製図の試験を受けることができません。
そのため建築士の試験に合格するには、学科試験に合格することがとても重要です。
学科試験に合格していれば、その後2年間は学科試験は免除されますので、今年は学科試験に集中し、翌年の試験で設計製図に集中するという試験対策も可能です。
合格率は二級建築士で約25%、一級建築士で12%と、決して合格率は高くありません。
そして、建築士の試験は誰でも受けられるわけではなく、受験資格も資格内容によってそれぞれ違います。
次の項目からは、それぞれの資格の受験資格、住所変更などの手続きの方法、もし手続きが遅れた際の罰則の有無についてご紹介します。
一級建築士の受験資格とは?合格後の住所変更の届け出は必要?
まずは一級建築士の受験資格についてご紹介します。
一級建築士の受験資格は、四年制大学に通う場合は指定科目を受講し、卒業後に2年間の実務経験を要します。
建築士の短大を卒業した場合は3、4年の実務経験が必要です。
その短大が何年制かによって実務経験年数も変わるので、2年制の短大なら4年の実務経験、3年制の短大なら3年の実務経験というように、合わせて6年の期間を要します。
また、普通科の高校を卒業して大学や短大に通わない場合は、11年の実務経験が必要です。
もし二級建築士から一級建築士の資格を取得する場合には、二級建築士として4年の実務経験が必要となります。
建築学科のある大学に通う場合は、長期的なインターンで卒業後の実務経験を1年に短縮することが可能です。
そのため、早く一級建築士の資格を取得したい場合は、建築学科のある大学へ通うことが一番の近道といわれています。
そして、試験に受かったあとは免許証の新規登録が必要となり、名称や住所変更があった場合にはその届け出も必要となります。
万が一、住所変更などの届け出を怠った場合、罰則はあるのでしょうか?
次の項目でご紹介します。
一級建築士の免許証発行手順!住所変更の届け出が遅れたら罰則はある?
一級建築士の資格を取得したら届け出が必要となります。
免許証を発行するために必要な書類は以下のとおりです。
・一級建築士免許申請書
・一級建築士住所等の届け出
・戸籍謄本
・登記されていないことの証明書
・証明写真2枚
・登録免許税納付書の領収証書(60,000円)
・申請手数料の払込受付証明書(19,200円)
・合格通知書の原本(製図の合格通知書)
・本人確認ができる身分証明書の原本
以上の書類をお住まいの都道府県の建築士会へ提出すれば、のちに免許証が発行されます。
そして、本籍もしくは住所変更、勤務先の変更、事務所の開設者の変更があった場合には、一級建築士住所等の届け出、身分証明書を建築士会に提出しなければなりません。
こちらは変更があった日から30日以内に届け出るように規定されていますが、もしその期限を過ぎても特に罰則などはありません。
しかし、建築士会に詫び状を提出することになるので、変更があった場合には迅速に対応しましょう。
また、氏名、年齢、性別に変更があった場合にも30日以内に届けが必要ですが、その場合の必要書類は次のとおりです。
・一級建築士登録事項変更届、書換え交付申請書
・一級建築士住所等の届け出
・戸籍謄本
・一級建築士免許証の原本と写し
・証明写真2枚
・申請手数料払込受付証明書(5,900円)
・身分証明書(原本)
・法定講習受講修了証(一級建築士定期講習・管理建築士講習)の原本と写し
以上の書類を建築士会に提出します。
二級・木造建築士について!住所変更の更新遅延の罰則はある?
二級建築士と木造建築士についてもお話ししていきましょう。
まず受講資格についてですが、二級建築士と木造建築士の受験資格は同じで、免許申請に必要な書類も同じです。
二級建築士・木造建築士の受験資格は、どちらも高校で指定科目を取得して卒業した場合、実務経験3年を必要とします。
しかし、四年制大学を卒業した場合は実務経験は必要ありません。
高校でも大学でも指定科目を受験していない場合は7年以上の実務経験が必要です。
そして、一級建築士同様に試験に合格したあとには免許証の発行手続きが必要となり、以下の書類をお住まいの都道府県の建築士会に届け出なくてはなりません。
ただし、各都道府県で必要となる書類が違いますので、ここでは一例をご紹介します。
・免許申請書
・顔写真
・免許申請手数料(19,200円)の振替払込受付証明書(原本)
・戸籍抄本
・登記されていないことの証明書
・住所等の届出
・合格通知書
・運転免許証
・旅券等の身分証明書
また、一級建築士と同様に本籍もしくは住所変更、勤務先の変更、事務所の開設者の変更があった場合には、必要な書類を建築士会に提出します。
期限も同様に30日以内ですが、過ぎても罰則はありません。
建築士の罰則事項とは?
住所変更だけではなく、二級建築士と木造建築士ともに氏名、生年月日、性別に変更があった場合には、以下のものを提出しなくてはなりません。
・二級、木造建築士の登録事項変更申請書
・二級、木造建築士住所等の届出
・戸籍謄本
・二級、木造建築士免許証原本と写し
・証明写真2枚
・申請手数料払込受付証明書(5,900円)
・身分証
・印鑑
こちらの更新事項も、30日以上経過して申請がない場合には詫び状などの提出を求められますが、罰則はありません。
これまでの項目で住所変更などの手続きに遅延があった場合は罰則はないことをお伝えしましたが、建築士の人が知っておくべき罰則についてご紹介します。
建築には建築基準法という法律が定められているため、その法律を破った場合には罰則があります。
例を挙げると、違法建築に対する命令違反、建築士の設計ではない建築物、設計図のない建築などがあります。
法律に背く建築をすることがないよう罰則規定をもう一度確認し、設計・建築を行うようにしましょう。
建築士の免許申請について
建築士免許証の申請や住所変更などの更新方法は基本的には同じですが、それぞれの県の建築士会HPで申請方法などが掲載されているので、お住まいの都道府県のHPを事前に確認しておきましょう。
そして、住所変更などの手続きの遅延に対しての罰則はありませんが、原則として30日以内にしなければならないことなので、期限を守って申請しましょう。