1級建築士や2級建築士の試験は難しく、合格率も低い難関です。
学科で合格しても、次の段階の製図の試験はかなり困難を極めます。
学校へ通うと費用がかかるので、少しでも節約のために独学で頑張りたいという方へ、製図試験に関する情報をわかりやすくご説明いたします。
建築士の製図試験とは
建築士には一級建築士、二級建築士、木造建築士のほか、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士などがあります。
建築士試験は、学科試験と製図試験の二部構成で行われます。
学科試験と製図試験は別の日になっており、まず受験するのは学科です。
学科試験を受験してから1ヶ月半程度で合否が発表されます。
学科試験に合格した人のみが製図試験を受験することが可能です。
ちなみに製図試験の日程は、学科試験日から約3ヶ月後に行われます。
製図試験の課題は、一級建築士、二級建築士、木造建築士のそれぞれで違う課題が出題されます。
各建築士は、設計や工事監理することができる業務範囲が変わりますので、それぞれの建築士に特化した製図試験の課題が要求されるということです。
製図試験の課題は試験日に発表されるのではなく、製図試験日のおよそ3ヶ月前、学科試験日の2~3日前に発表されることになります。
課題とともに、要求図書も発表されます。
そのため、学校へ通う人も独学で勉強する人も、学科試験の合否を待たず、学科試験が終了したと同時に製図試験の勉強を始める人が多いです。
建築士の製図試験の難しさ
建築士の資格を受ける方の多くは、大学や専門学校、高校などで建築系の学科を卒業しています。
二級建築士や木造建築士に至っては、指定学科を卒業していなくても実務経験の年数で、受験することができます。
建築関係の学校を出ていなくても、建築関係の仕事に就いてから建築士を目指すことも十分可能です。
その建築士試験ですが、合格率はかなり低い資格試験です。
建築士の試験の合格率の低い原因として、やはり製図試験があります。
学科試験までなら、指定学科を卒業していなくても独学で勉強し、合格することも可能です。
しかし、製図試験となりますと、製図の経験があるとか、建築士のプロからのアドバイスをもらえる環境などが整っていないとなかなか難しいとも言えます。
学校などに通わずに、独学で合格を目指すなら、相談できたりアドバイスが気軽にもらえるプロの建築士との関係性なども大切になっていきます。
独学で製図試験の勉強をするには
建築士の製図試験のために、資格学校や専門学校などでは、数パターンのカリキュラムが組まれています。
夜間しか学校へ通えない、土日のみ学校へ通いたいなど、学校へ通う人のニーズに合わせて、試験当日までに効率的に製図試験の勉強を行えるように組まれています。
独学では自分で計画を立てていかないといけません。
試験当日まで効率の良い計画を立てましょう。
製図試験の課題が発表されると、要求される設計図書も発表になるので、プランニングやどの図面に時間配分を多くとるかなど、具体的な計画も立てることができます。
しかし、それからでは時間が足りません。
できれば、課題が発表される前から「製図に慣れる」「早く効率よく図面を描く」ということに重点を置き、勉強するように心がけましょう。
独学では、自分の力とやる気など、強い気持ちを持たないとくじけてしまいがちです。
一発合格を目指して、「独学でも合格できる!」という強い意識で勉強していきましょう。
独学での実際の勉強方法の前に
実際に独学で建築士の製図試験を受験するためには、まずは資料準備です。
独学のための資料準備は、やはり市販の問題集の購入でしょう。
いくつかの問題集を購入し、それぞれの視点や対策などを把握し、自分に合うような勉強法を見出すと良いでしょう。
市販の問題集のほか、大手資格学校などでは無料でダウンロードできる問題もいくつかあります。
それらも大いに活用するといいかもしれません。
問題集の中には特典で無料相談やweb講座などもついているものもあります。
第3者からのアドバイスや指摘などは大変参考になります。
知り合いの建築士からのアドバイスをもらうというのも大切なことです。
製図をチェックしてもらう機会は作っておくと良いでしょう。
そして、独学では製図試験の練習用製図用紙も大変貴重なものになります。
練習用のトレーシングペーパーなどでは、実際のレイアウトが掴みにくいからです。
問題用紙と同じレイアウトで図面を描くことができる練習用紙は、無料でいくらかもらえるところもあります。
また、前述した無料相談や資格学校などで開催している模試などの会場でももらえることができます。
たくさんもらって損はないので、できるだけたくさん用意しておくと、気にすることなく製図に取り組めます。
独学での製図勉強方法
建築士の製図試験の内容は、課題に沿ってエスキース、各図面(平面図や断面図など)、面積表などを決められた時間内に完成させないといけません。
もちろん見直しの時間も必要といえます。
なるべく手戻りや描き直しが少なくなるようにしないと、見直しや修正の時間が取れなくなってしまいます。
独学での勉強はとにかく何度も何度も図面を描きましょう。
最初は問題集の解答例をトレースから始めて、自分が作図にどれだけ時間がかかるのか把握するところから始めます。
「図面を描く」ことに慣れていくと、どこの部分で時間短縮を測れるかなども理解していけます。
トレースに慣れてきたら、次はエスキースにも挑戦していきましょう。
図面のほかに、エスキースにも慣れておかないといけません。
要求された課題に対して、エスキースができ、それに沿った製図をするという一連の作業をスムーズにすることが大切です。
製図はきれいで正確な図面であることがもちろんですが、時間内に完成していないと意味がありません。
時には定規などを使わず、手描きでラフな線で仕上げることも時間短縮には必要かもしれません。
時間短縮になる部分は手描きで描き、しっかりと定規を使って表現するところは定規を使って作図するなどをして、図面にメリハリをつけることも意識しましょう。
建築士の製図試験で使用する主な製図道具
建築士の製図試験を独学で勉強するなら、道具にもこだわりをもって、勉強すると良いでしょう。
何度も繰り返し勉強(製図)することで、道具にも慣れていき、当日の使い勝手の効率も上がります。
使い慣れたシャープペンシルはもちろんですが、時間短縮に必要な道具なども揃えて使っていきましょう。
製図の試験で使用する主な道具、持込可能な道具は以下の通りです。
・製図板(大きさや勾配に規定あり)
・T定規や平行定規、三角定規、勾配定規など
・テンプレート
・三角スケール
・分度器、コンパス、ディバイダー
・ハケ
・製図用テープや画びょう
・シャープペンシル、鉛筆、消しゴムなどの筆記用具
・電卓(持ち込み規定あり)
シャープペンシルは使い慣れたものももちろんですが、芯の太さや芯の硬さなどもいくつか用意しておくと便利です。
描く図面や強調したい線などで使い分け、図面にメリハリがつくと、きれいな出来栄えにもつながります。
独学で製図試験を勉強するなら!強い気持ちととにかく「慣れる」こと
建築士の製図試験の勉強は、気持ちが折れてしまいがちな時でも、「絶対に合格する」という強い気持ちをもって臨みましょう。
そして、トレースも含め、とにかく図面をたくさん描いて「慣れる」ことです。
図面を描くことに慣れていくと、時間短縮できる部分や、図面とエスキースの時間配分なども自分で掴むことができるからです。
自分のペースを掴んで、独学で製図試験合格を目指しましょう。