仕事は多種多様!不動産業界の事務職の仕事とその給料は?

不動産業界と言うと、主に営業職がその多くを取り仕切っているイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

また、不動産業界と言えば「高収入」というイメージも根強いと思います。

では、その不動産業界の事務をなさっている方の仕事内容とその給料がどのくらいかをご存知でしょうか。

今回は、不動産業界の事務職をクローズアップします。

取り扱う不動産の分野によって事務職の給料も変わる

「不動産業界」と一口に言っても、企業によって、主戦場とする分野が違います。

不動産会社には、主に以下の4つの軸があります。

・物件を建てる(開発・分譲)
・物件を売買する(販売)
・物件を賃貸する(賃貸)
・物件を管理する(管理)

ほとんどの不動産業界関係者は、この4種類のいずれかの部類、あるいは複数の分野を自身の仕事としています。

この全ての分野を、手広くマスターしているという人は稀です。

「三井不動産」という日本最大の大手不動産会社を例にご説明します。

「三井不動産」という会社は、ほぼ都市開発などの開発事業のみを行っている会社です。

都市開発以外の他の不動産事業は、

・「三井不動産レジデンシャル」が分譲分野を担当
・「三井不動産リアルティ」が販売に特化

というように、三井不動産グループの担当会社によって担当分野を分散させています。

このように不動産業界は、分譲も賃貸も全てやるという万能選手よりも、どれかひとつの分野に特化しての企業展開が圧倒的に多いのです。

この4つの分野でも仕事はかなり異なりを見せ、従業員の給料も大きく変わります。

先述の三井不動産グループを例にとっても、各グループ会社の事務職(一般職)の予想平均年収は、

三井不動産:約1100万
三井不動産レジデンシャル:約450万
三井不動産リアルティ:約350万

となっており、分野のみで見ても給料に大きく開きがあります。

不動産事務の給料が上がりやすい資格「宅建」

不動産業界で働く場合、どの分野を取り扱う会社で働くかで労働条件が大きく変わります。

それは給料の反映にも関わる重要な要素です。

それとは別に、不動産事務をする上で給料に関わるもうひとつの大きな要素があります。

それが「宅建資格」です。

「宅建」とは、正確には「宅地建物取引士」の略で、近年受験者が急増している人気の資格です。

この宅建資格を持った宅建士が、店舗に最低一人はいなければ賃貸も分譲も成り立ちません。

実際に、賃貸物件を契約したことがある方は、不動産屋さんで契約書の読み合わせを宅建資格を持った店員さんと行ったと思います。

あの読み合わせは「重要事項説明」と言って、不動産の契約の前に必ずやらなくてはいけない項目のひとつであり、この説明は宅建資格のある人でないと行えません。

また、契約書の記名、押印も宅建資格がないと行えません。

つまり、優秀な営業マンが何人いても、宅建資格所有者が店舗に一人もいなければ契約書は作れず、物件を買うことも売ることも、貸すことも借りることもできないのです。

それだけに、宅建資格は必要とされる資格なのです。

この資格を有しているだけでも不動産業界、特に賃貸を扱う職場では必要な人材として一目置かれ、月収にボーナス(資格手当)がつく会社も多いです。

事務職は営業職と違って昇給率が低いので、事務職で昇給をしたいのであれば、宅建資格を取るのが一番よいでしょう。

不動産業界の事務職の基本は電話!

では実際に、不動産会社で事務職として勤める場合、その仕事内容はどのようなものになるのでしょうか。

分譲や賃貸など、どの分野の不動産会社でも給料や役職の有無にも関係なく基本となるのは電話の応対と来店者の案内です。

不動産業界は、とにかく発信受信を問わず電話の多い業界です。

事務職の基本として、電話応対の苦手な方は不動産の事務職は向いていないかもしれません。

電話をする相手は、他の不動産会社や大家さん、以前に貸した入居者の方など様々で、内容も多岐に渡ります。

また、不動産という高額商品を扱っていることから、電話も来客者も事務職のビジネスマナーに厳しめということは最初に頭に入れておいてください。

会社から高めの給料をもらって高額商品を扱うということは、一度信頼を損ねるとお客様もオーナーも離れていき、クレームが大きくなりやすいということです。

そのため、他の業種の事務職よりも対応の不手際に厳しい傾向があります。

繰り返しますが、電話の応対や来店者の対応が非常に多く内容も多岐に渡るので、不動産業界で事務職として働きたい人は、実務で慌てないように電話や接遇のビジネスマナーを復習しておくことをお勧めします。

最近の不動産事務は、PCスキルが必須!

近年、不動産業界はソフトの拡充が進み、物件一つ一つの情報をよりリアルに求められる時代になりました。

例えば賃貸の場合、一昔前は不動産屋さんに行って、不動産屋さんと一緒に物件を探すのが一般的でした。

ですが現在は、お客様は既にパソコンや携帯電話で気になる物件を調べて、それを見て不動産屋さんに行く、という選び方に変わっています。

SUUMOやHOMESのような紹介ツールが宣伝や販促をしてお客様を呼ぶという、反響型の集客が広まっています。

それに伴い、不動産業界の事務職の仕事内容で比重が増えているのが紹介ツールの更新、作成です。

SUUMOやHOMESに間取り図や営業さんが内見に行った写真(会社によっては事務職の方が行くこともある)をアップしたり、間取り図を作ったりするような仕事です。

店頭に貼る紹介物件の看板なども作ったりもします。

そして、これを行うには、物件紹介ツールのマニュアルの他に最低限のWord、ExcelなどのOfficeの知識を求められます。

これで給料が上がるかどうかが気になりますが、PCスキルは事務職では必須スキル扱いをされているので、Officeが使えても給料に差が出ることは稀です。

特に、アルバイトなどで事務職を募集している会社は「PCスキル必須」のような但し書きをしているところが多いです。

不動産事務をしたい方は、電話応対の他にPCスキルを持っていないと厳しいので、自分にできるかよく検討した方がよいでしょう。

不動産事務の繁忙期は?

不動産業界の繁忙期は、学生や社会人の新年となる3月前後です。

「事務職ならお客様を案内しないから関係ない」と思うかもしれませんが、事務職の繁忙期も同じくこの時期です。

何故なら、不動産の契約とはほぼ年単位だからです。

繁忙期に契約したお客様がその家に定住した場合、家そのものや保険などの更新時期が来年以降のその時期に来ます。

契約書は宅建所有者でないと作れませんが、宅建を持っていなくても更新・解約通知や家財保険などの書類を出したりすることは可能です。

そして、そのような書類を一番多く発送するのがこの時期です。

また、この時期はお客様が多いため、多くの入金案件があります。

そのような入金を管理するのも事務職の仕事のため、必然的に事務職も営業職と同じく繁忙期となるのです。

繁忙期に事務職も忙しくなるのには理由があります。

この業界は書類や金銭のダブルチェック、トリプルチェックが日常的だからです。

先述の通り、不動産屋さんは金額の高い商品を扱うため、クレームの起きる大きな間違いを避ける必要があります。

そのため、書類の複数人による見直しなどのチェックを何度も行い、かなり時間をかけるのです。

発行する書類が多い時期はこの確認も厳になるため、時間がかかり、忙しくなります。

そんな忙しい時期だけ給料を高めに短期でアルバイトを募集している不動産会社も結構あるので、興味のある方は探してみるのもいいと思います。

ですが、未経験の人がこの時期に高い給料がもらえるというだけで飛び込むと、他の方も忙しいためきちんと仕事を教えてもらえないこともあります。

リスクのある選択になる可能性もあるので、未経験の人は忙しいことを十分覚悟して応募しましょう。

不動産の事務職は、給料に見合っているのか?

これまで不動産の事務職の仕事内容についていくつか解説してきましたが、理解は深まったでしょうか。

それを踏まえ、最後は不動産事務は給料に見合った仕事なのかを考えてみます。

結論を先に言えば、それは会社の社風に大きく左右されると言えます。

例えば休日の回数、残業の有無によっても事務職の仕事はかなり評価が変わります。

不動産業界は同じ分野の業務内容でも会社によって休日や残業、給与の条件が大きく変化します。

休日に関しては、定休日のない不動産屋さんは休みが少ない傾向が強く、そのような会社では週休1日が事務職員にも課されやすくなります。

また、基本的に不動産業界は土日休みが取りにくい業界で、これは事務職員も例外ではありません。

そして、不動産業界は残念ながら「残業が当たり前」という風潮が変わらない傾向があります。

それを事務職員にも適用している会社があることも事実です。

大手の会社などではそのような長時間残業を制限する動きも出ていますが、町の不動産屋さんなど小規模の会社では、まだまだ長時間勤務や少ない休日という社風の会社が多いことも事実です。

当然残業が多くなると、同じ残業時間でも営業職の方が給料が割高なので、下手をすると月給5万円以上差が付くこともあります。

また、不動産業界の中には残業があまりにも常態化していて「基本給に残業代を含む」という但し書きをしている会社もあります。

そのような会社は、一見割高の給料がもらえそうですが、実際に働くと残業が多すぎて、時給換算すると割に合わない、ということもありえます。

勿論、事務職員を定時で帰すことを徹底している会社もあるので、条件は会社によってピンキリです。

応募する際は、勤務条件をよく確認しておくとよいでしょう。

仕事は大変だけど、不動産事務は勉強になる仕事

不動産業界は高額商品を扱うことから責任が重く、その責任を加味すると「給料に見合わない」と感じる人もいると思います。

ですが、高額商品を扱っているためビジネスマナーやチェックに厳しく、PCスキルも必須なので、成長を求めたい人にはこれ以上の環境はありません。

不動産業界の事務職として働けば、どこの職場でも通用するマナーとスキルが身に付くので、「今後はデスクワークをやりたい」と考えている方や意欲的な方にはお勧めの仕事です。