家族が増えたことで、部屋やトイレ、ベランダなどを増やしたいと増築を検討している方はいらっしゃいますか。
一般的な1部屋は、3坪(6畳)ほどであることが多いですが、3坪分を増築したら、工事費はどのくらいかかるのでしょうか。
また、固定資産税は上がるのでしょうか。
ここでは、増築した際の工事費や、固定資産税についてくわしく見ていきましょう。
増築の定義とは?固定資産税は上がる?
そもそも、どのような工事を「増築」と呼ぶのでしょうか。
まずは、増築の定義についてお伝えしていきましょう。
増築とは、既存している建物や敷地に、新しく建物を追加して、床面積を増やすことを言います。
一般的に、床面積はそのままで建物の一部を工事することは「改築」、建物の部分的な修理は「改修」と呼ぶため、増築とは異なります。
平屋に2階の部屋を3坪増やす、ベランダやトイレを2つに増やすなど、床面積を増やす工事のことをすべて増築と呼ぶのです。
増築したら気になるのが、毎年発生する固定資産税ですよね。
増築することで登記をし直す必要があるため、固定資産税も変わることとなります。
その建物の価値に合わせた金額が発生するため、おそらく金額は上がることとなるでしょう。
くわしい固定資産税の計算方法については、後程ご紹介します。
また、増築ができない建物があることをご存知でしょうか。
それは、建築基準法に違反した建物になります。
例えば、土地に対した建ぺい率は決まっており、それ以上の建物になるような増築は許可されません。
新築の時に、建ぺい率いっぱいになるように建てた住宅は、それ以上は増築することはできないのです。
また、耐久性の問題で、耐震性が弱くなると判定された住宅も増築することはできません。
増築したい場合、まずは確認申請をする必要がありますが、それについては次項でご説明しましょう。
増築には確認申請が必要
3坪分部屋を増やしたい、トイレやお風呂を2つ作りたいといった場合、増築を検討しますよね。
増築するには、建築確認の審査を受ける必要があります。
これを確認申請と呼び、この審査に通らないと、増築することはできないので注意してください。
確認申請を行うタイミングとしては、「工事を始める前」になります。
ある程度の増築のプランニングを決めた後、担当の建築士の方に依頼して受けることとなるでしょう。
確認申請は自分でも行えますが、図面の作成や建築申請書など、さまざまな専門的な書類が必要となりますので、初心者には高いハードルです。
費用はかかりますが、建築士の方にお任せしましょう。
中間検査などがなければ、1~2週間くらいで審査は完了するでしょう。
10m²以上の大掛かりな増築や、防火地域・準防火地域などでの増築は、確認申請で得られる検査済書が必ず必要となるため、注意が必要です。
固定資産税の金額の決定は、増築が無事に完成してから算出することとなるでしょう。
3坪の部屋を増築したときの費用はどのくらい?
ここからは、増築した際にかかる費用について見ていきましょう。
固定資産税よりも、まず先に重要視するのがこの工事費用の金額ですよね。
部屋を増築する際の増築費用は、どのくらいかかるのでしょうか。
以下で目安の一覧をご紹介しましょう。
【部屋の増築費用の目安(洋室・和室)】
・1坪(2畳)の部屋……50~140万円
・3坪(6畳)の部屋……200~300万円
・4坪(8畳)の部屋……210~400万円
・5坪(10畳)の部屋……220~450万円
以上が部屋の増築費用の目安となります。
家族が1人増えたとして、3坪の部屋を1部屋増築するとなったら、200~300万円くらいの費用がかかってしまうこととなります。
床・壁などの内装にこだわればこだわるほど、さらに金額が上がってしまうでしょう。
また、収納や窓の有無によってもかなり金額に差が出ます。
これらを踏まえて、次に水まわりの増築費用を見ていきましょう。
水まわりは注意!トイレや浴室を増築した時の費用は?
ここでは、トイレや浴室を増築した際の工事費用を見ていきましょう。
水まわりは配管工事を一緒に行う必要があるため、高額になりやすい傾向があります。
特に、2階にトイレや浴室を増築する場合は、配管を2階まで引っ張る必要があるため、自然と工事費用は上がってしまいます。
以下で工事費用の目安をご紹介しましょう。
【トイレの増築費用の目安】
・0.5坪(1畳)……70~200万円
【浴室の増築費用の目安】
・1坪(2畳)……75~250万円
また、家族が増えたことでキッチンを増築するお宅もあるでしょう。
こちらも一緒にご紹介します。
【キッチンの増設費用の目安】
・新しくキッチンを設置……50~100万円
・間口の狭いミニキッチン……28~50万円
浴室のすぐそばに洗面台を新設する場合は、10~50万円の費用がかかりますので、予算の中に組み込んでおくと良いでしょう。
続いては、3坪の部屋を増築した際の固定資産税について見ていきましょう。
3坪増築したらどのくらい固定資産税は増えるの?
増築したら、床面積が増えることとなります。
その場合、工事から1ヶ月以内に建物表題変更登記を行わなければなりません。
登記が済むと、土地家屋調査士が住宅を調査し、評価額を決めます。
この新たな評価額により、固定資産税の金額が決定するのです。
例えば、3坪の部屋を増築したとします。
1部屋くらいの増築であれば、それほど大きな金額ではありません。
さきほどの土地家屋調査士が決めた評価額ですが、これは「固定資産評価基準」に定められた方法で決定されるものです。
実際に出た評価額に、「1.4%」の税率をかけたものが固定資産税となるのです。
概算での計算で例えてみましょう。
木造の部屋の場合、工事費の40%程の金額に、「1.7%」をかけた金額で算出されます。
これにならうと、工事費が500万円だったとして、
500万円×0.4×0.017=3万4千円
となるため、3万4千円の金額が、毎年支払っている固定資産税にプラスされるというわけです。
一見して、3万4千円は高いと思う方もいるでしょう。
しかし、これを支払い4期分に分けると、1期分は8千5百円となりますので、驚くほど高額ではないと言えるでしょう。
同じ敷地に3坪の小屋を建てる!固定資産税はかかる?
同じ土地の中に「離れ」として、小屋が建っているお宅を見かけませんか。
およそ3坪程の小さな小屋でも、生活するには十分なスペースです。
このような小屋を増築する際のポイントや、固定資産税について見ていきましょう。
まず、1つの土地には1つの建物しか建てられないことはご存知でしょうか。
建築基準法により、1区画には2つ以上の土地は立てられないと決められているのです。
しかし、母屋に付随する小屋として、風呂や水まわりのないものであれば、上記には含まれません。
そのため、水まわりのない小屋であれば、建ててそこで生活することは可能です。
では、固定資産税はどのくらい上がるのでしょうか。
小屋の固定資産税の金額は、小屋の基礎があるかないかで変わってきます。
つまり、土地への定着性があるものは固定資産税がかかりますが、地面の上にブロックを積んで、その上に建物を建てた場合は固定資産税はかからないのです。
増築したのに固定資産税がかからないのは一見して良いと思いますが、基礎がないことで、地震や台風の際に安全性にかけてしまいます。
3坪分増築したら固定資産税は上がる
家族が増え、部屋やトイレなどの増築をした際に、かかるお金は工事費用だけではありません。
増築すると床面積が増えるため、資産が増えることと固定資産税が上がることは比例すると言って良いでしょう。
固定資産税は評価額によって変わりますが、3坪の部屋であっても、窓や収納が多く、床材や壁紙にこだわると、その分固定資産税は上がる傾向がありますので注意してください。
固定資産税は毎年支払うものなので、よく検討してから増築を行いましょう。