投資信託では、定期的なリバランスを行うことで、安定したポートフォリオの維持を図ることができます。
しかし、資産ごとの配分をその都度計算しながら調整していくことは、骨の折れる作業でもあります。
そこで、注目されているのが、自動的にリバランスを行ってくれる「ロボアドバイザー」というツールです。
この記事では、投資信託でリバランスをしていく上で、おすすめしたいロボアドバイザーツールについてご紹介していきます。
投資信託で欠かせないリバランスとは?
全ての投資に通じる基本は、適切なリスクヘッジで安定した資産運用をしていくことです。
投資信託の場合、「リバランス」という言葉をよく耳にすることが多いですが、これは安定したポートフォリオ(資産配分)を維持するための「リスクヘッジ」と言えます。
投資信託初心者にとっては、定期的に行うリバランスの感覚を掴むことに苦労することも多く、継続したリバランスは非常に面倒な作業です。
リバランスは、時間とともに変動していく資産構成比率を当初の割合に整え、ポートフォリオの崩れを防ぐ作業を指します。
例えば、国内株式10万円、外国債券10万円、比率は50:50のトータル20万円のポートフォリオがあるとします。
株式・債券に対し、定期的にそれぞれ同額を積立していれば、資産構成比率は当初の50:50で変わりませんが、相場は時間経過とともに常に変動していきます。
その後、株式が20万円に値上がりした場合、国内株式20万円、外国債券10万円のトータル30万円となります。
総資産額は当初よりも増加してはいますが、資産構成比率は大きく変化しており、当初に比べてハイリスク・ハイリターンなポートフォリオになっていることが分かります。
そこで、大きなリターンが望めれば良いですが、現実的には、比率の高い資産に対して以下のようなリスクヘッジが優先されます。
①比率の高い資産を一部売却
②売却で得た資金で比率の低い資産を追加購入し、比率を当初の割合に戻す
つまり、このようなリバランスを通じることで、「高いものを売って、安いものを買う」という投資の基本に結び付けることができるのです。
しかし、言葉にするのは簡単ですが、その都度計算しながら定期的なリバランスを行うことは、非常に大変な作業です。
そこで便利なのが、資産運用に関して自動的に提案・代行をしてくれる「ロボアドバイザー」ツールです。
投資信託のリバランスを代行するツール!ロボアドバイザーとは?
「ロボアドバイザー」とは、投資信託などの資産運用に対して、人工知能が助言、提案、代行するツールです。
まず、ロボアドバイザーには、大きく分けて以下のような2つのタイプがあります。
①アドバイス型:助言・提案のみを行う
②投資一任型:助言・提案+自動的な運用代行を行う
「アドバイス型」の場合、投資運用に関わる簡単な質問に答えることで、その投資者に合った運用スタイルやポートフォリオの提案をしてくれます。
助言・提案のみのツールであるため、そのほとんどは無料で利用することができます。
一方、「投資一任型」は、助言・提案に加え、その提案に沿った買い付け・運用を自動的に行ってくれるツールです。
また、ポートフォリオの管理も自動的に行ってくれるので、人の手でリバランスをする必要がありません。
投資信託で長期的な運用する上では、特に定期的なリバランスが重要になってきますが、このロボアドバイザーを利用することができれば、面倒な作業に骨が折れることはありません。
リバランスまで行うロボアドバイザーツール!その「手軽さ」にも注目
投資信託の運用に関わる助言・提案だけでなく、その代行やリバランスまで行ってくれるのは、大変便利なツールと言えます。
ロボアドバイザーのメリットは前項で触れた通りですが、「手軽さ」というメリットについても掘り下げていきましょう。
従来、投資信託のアドバイスや代行を求めるには、証券会社や金融機関の窓口に出向き、説明を受けた上で口座開設、運用開始とステップを踏んでいく必要がありました。
そのため、特に日頃仕事で忙しい方にとっては、その手間暇をとることがなかなかできないため、決して手軽に行えるものではありませんでした。
また、口座開設にも高額な資金が必要だったため、手軽に投資を始めるには難しい条件だったと言えます。
しかし、ロボアドバイザーでは、少額での口座開設が可能になり、家にいながらアドバイスや代行を求めることができるようになりました。
つまり、従来に比べて、手間・時間・費用のデメリットを最小限に抑えられるようになったのは、まさに画期的なロボアドバイザーツールのお陰と言えるでしょう。
投資信託でロボアドバイザーを使うときの注意点!安い手数料のツールを選ぶ
これまでに、投資信託の資産運用からリバランスまでを自動的に行ってくれる、ロボアドバイザーツールについてお話してきました。
しかし、優秀な機能を備えるロボアドバイザーにも、注意したい点があります。
それは、投資一任型のツールの場合は、できるだけ安い手数料のサービスを選ぶという点です。
まず、投資一任型の手数料では、実質的な内訳として以下の2つに分けることができます。
①手数料:ロボアドバイザーが代行する契約手数料
②信託報酬:投資信託の運用会社に支払う手数料
これらの手数料を含めて、年率で約1%前後の手数料がかかってきます。
基本的に、どこのサービス会社も年率は似たり寄ったりですが、できるだけ安い手数料の会社を選ぶことが重要になってきます。
と言うのも、例えば、年率が1%の場合、年間投資額に対して10%の手数料が発生しますが、年率2%になってしまうと、年間投資額の20%を支払わなければなりません。
両者を比較した場合、長期になればなる程その差は大きくなるため、手数料が安いほうが投資をする上では有利ということになるのです。
ちなみに、ロボアドバイザーにかかる年率1%の手数料に対して、中には「高コスト」だという意見も少なくありません。
確かに、自己投資と比べれば運用効率は下がりますが、簡単な設定で投資運用からリバランスまでを丸投げできるわけですから、コストパフォーマンスは決して悪くないと言えます。
NISAで丸投げするには注意!その理由は?
投資信託の運用を一任できるロボアドバイザーツールでは、手数料以外にも注意したい点があります。
それは、投資一任型では、非課税口座をメリットとする「NISA」などには対応していないということです。
「NISA」とは、投資運用に関わる売却益や分配金の運用益に対し、年間120万円が非課税になる制度で、5年間利用することができます。
NISAには、他にも「つみたてNISA」や「ジュニアNISA」という種類があり、それぞれのNISAごとに年間の上限額や利用期間が決まっています。
一方、ロボアドバイザーは、そもそもが課税口座を前提としたツールなため、非課税となるNISA枠の上限を考慮せずに資産を運用してしまいます。
特に、投資一任型ではポートフォリオの管理も行われますが、定期的なリバランスが自動で行われるため、その都度NISA枠が消費されてしまうことも、上限額を超えてしまう大きな要因です。
したがって、NISAで資産運用をする場合は、投資一任型のロボアドバイザーではなく、アドバイス型のツールを利用することがおすすめされます。
リバランスが面倒な場合はバランスファンドもおすすめ
投資信託の運用を全て丸投げできるロボアドバイザーは、利用するにあたりいくつか注意点がありますが、いずれにしてもリバランスの作業が面倒な方にとっては魅力的なツールなことが分かりました。
しかし、実はロボアドバイザー以外にも、面倒なリバランスを考えることなく資産運用をしていく方法があります。
それは、「バランスファンド」です。
「バランスファンド」は、複数の資産対象がセットになっている1本の商品で、手軽に分散投資をすることができます。
このバランスファンドの大きなメリットは、運用会社が自動的にリバランスを行ってくれることで、つまりは投資者の手によるリバランスが必要ありません。
投資先にバランスファンドを選ぶことで、ロボアドバイザーというツールを必要とすることもなく、自分でリバランスをする必要もないため、非課税口座のNISAでも運用しやすい投資信託と言えます。
ロボアドバイザーで投資が手軽に
リバランスを継続的に行うことは、投資初心者だけでなく多くの方が苦労する作業です。
しかし、ロボアドバイザーの登場によって、資産運用に関わる助言・代行を手軽に受けることができるようになったことは、非常に画期的なことと言えます。
これによって、投資に挑戦するハードルも少し低くなったと言えるのではないでしょうか。