FXは一般的に、危険でギャンブル的な印象が強く、実際に、大損をしている方が多いのも事実です。
特に、FXを始めようと思っている方の中には、FXの様々なリスク性について理解していない場合も少なくありません。
FXのリスクを知っておくことは、リスク回避にも繋がり、実際の取引のやり方にも大きな違いが出てきます。
この記事では、FXの様々なリスクについて、詳しくご説明していきます。
そもそもFXとはどういうものか?
そもそもFXとは、どういったものなのでしょうか?
FXとは、Foreign Exchangeの略からきた造語で、外国の通貨を売買しながら利益を得る取引です。
日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれ、れっきとした為替取引です。
一般的に、FXは資金を運用した「投資」と言われていますが、実際は「投機」でもあると言われています。
「投資」と「投機」の意味は混同しがちですが、中身は全くの別物です。
まず、「投資」とは、自分の資金を運用して、企業や経済などにお金を投じることで、その将来的な発展と成長から利益を得ることです。
つまり、企業や経済の価値が上がることに期待し、見返り(利益)を求めることです。
その一方で、「投機」とは文字のごとく、機会に乗じて、短期間で利益を得ようと資金を投じる行為です。
為替取引のFXは、為替相場の変動に乗じて、通貨を両替しながら利益を得ていくものなので、これが「投機的」でもあると言われる所以です。
したがって、FXはタイミングを見計らってお金を投じていくものなので、必ずしも利益を得るとは限らず、大損するケースも少なくありません。
そのため、FXで大損しないためには、起こりうるリスクを理解しておくことが重要です。
次項で詳しくご説明していきましょう。
FXで大損しないために!為替や金利変動のリスクについて
まず、FXで大損しないためには、FXをする上でのリスクを十分に理解しておくことが重要です。
FXのリスクは、なにも大損しないために知るものではなく、FXを始める上では、必ず知っておくべきことでもあります。
では、まずは、市場の変動におけるリスクについて見ていきましょう。
・為替変動
まず、FXで取引が行われる通貨は、24時間常に値動きをする「変動相場制」がほとんどであるため、FXをする上では避けられないリスクです。
例えば、ある銘柄を10万で買い建てた後、その株価が11万に上昇すれば、1万円の利益が出ることになります。
また、その逆で、10万で買い建てた後に、その株価が8万に暴落すれば、2万円の損失になるわけです。
・金利変動
FXには「スワップ金利」というものがあり、これは取引を行っている「通貨間の金利差」のことを指します。
つまり、高金利の通貨を買って、低金利の通貨を売れば、その金利差を受け取ることができます。
しかし、金利の変動によって、低金利だった通貨が高金利になった場合は、受け取った金利を支払わなければなりません。
また、スワップ金利はFX業者によっても異なるため、スワップ金利による利益を考えている方は、スワップ金利の高い業者を選ぶと良いでしょう。
では引き続き、FXのリスクについてご説明していきます。
大損を回避するために!FXに潜む様々なリスクについて
前項では、為替と金利の変動から生じるリスクについてご説明してきました。
では引き続き、その他の様々なリスクについてご説明していきます。
・取引業者の破綻
FXを始める上では、FXの取引業者選びも重要です。
一番良いのは、日本に支店があり、金融庁の管轄になっている業者を選ぶことです。
逆に、日本に支店がなく、金融庁の管轄下にない海外業者との取引は、あまりおすすめできません。
というのも、仮に問題が生じた場合、海外にいるために逃げられてしまう可能性があるからです。
また、海外のFX業者では、レバレッジ規制がないことも多いため、できるだけ避けた方が無難です。
レバレッジに関しては、追ってご説明していきます。
・カバー先の破綻
カバー先とは、FX業者へレートを提示している金融機関のことです。
FX業者では、銀行や証券会社などの金融機関から、常に為替レートの値を受け取っています。
そのため、そのカバー先が破綻してしまった場合、取引ができなくなるリスクがあります。
・パスワードの流出
近年では、パスワードが流出してしまい、不正アクセスをされてしまうケースも少なくありません。
FX業者によっては、スマートフォンアプリと連携した、二段階認証でセキュリティ強化を図ることもできます。
二段階認証とは、ログインパスワード以外にも、認証コードによる確認を行うことで、不正アクセスを防ぐためのものです。
上記以外にも、FXには多岐に渡る様々なリスクが潜んでおり、大損を回避するためにも、これらについてはよく理解しておく必要があります。
では次に、レバレッジのリスクについてご説明していきます。
FXでよく耳にするレバレッジとは?そのリスクと注意点
前項では、FXの様々な大損のリスクについてご説明してきました。
その中で、「レバレッジ」という言葉が出てきましたが、そのリスクについてご説明していきます。
「レバレッジ」とは、自分の資金を証拠金(担保)として預け入れることで、その証拠金の何倍もの取引を可能にするものです。
これは、証拠金にかける「てこ」のようなもので、日本の為替においては、最大25倍までのレバレッジをかけることができます。
例えば、10万円の証拠金がある場合、それに最大の25倍のレバレッジをかければ、250万円として取引が可能です。
したがって、このようなレバレッジをかけて損失した場合、持っている証拠金が消し飛ぶことはおろか、マイナス口座になるリスクもあるのです。
そういったリスクを防ぐためにも、FXには「強制ロスカット」という決済システムが設けられており、仮に証拠金がそのロスカットラインに達した場合には、強制的にロスカットがされるようになっています。
また、証拠金がロスカットラインに近づいた場合、「マージンコール」という追証警告が発せられます。
追証とは、証拠金に対して追加入金することです。
つまり、「強制的にロスカットされる前に、追加入金してくださいね」という警告がマージンコールになります。
そのため、一部の例外を除けば、マイナス口座になることは基本的にはないのです。
では、その一部の例外というのは、どのような場合なのでしょうか?
次項で詳しく見ていきましょう。
ロスカットが作動しない?レバレッジの大損リスク!
前項でも述べたように、FX会社にはロスカットシステムが設けられているため、口座がマイナスになることは通常ありません。
しかしながら、為替相場にとてつもない変動があった場合には、強制ロスカットが正常に作動しないリスクがあるのです。
これには前例がいくつかあり、例えば、記憶に新しい「スイスフランショック」が当てはまります。
スイスフランショックとは、2015年1月に発生したスイスフランの大暴騰で、スイス中央銀行による、対ユーロ介入の中止を宣言したことが引き金になりました。
このとき、スイスフランのレートは直滑降に大暴落し、強制ロスカットも間に合わない事態となったため、多くのマイナス口座が発生することとなりました。
こういった為替の大暴騰は、時として突然起こるため、FXを行う上では決して無視できません。
したがって、大損にならないためにも、事前に自分のルールをしっかりと決めておくことが重要と言えます。
戦争やテロも為替相場に影響する?
これまでに、FXで大損をしないための、様々なリスクについてご説明してきました。
前項でご紹介したスイスフランショックは、いわゆる「有事」による為替変動です。
このような有事による為替相場への影響は、戦争やテロが起こった場合にもあります。
例えば、テロといって思い起こされるのは、2001年9月に起こったアメリカ同時多発テロです。
この歴史的大事件の際には、市場が閉鎖される異例の事態となりましたが、NYダウは722ドルも値下がりしました。
この時、多くのアメリカ人は、愛国心でドルを売らなかったと言われていますが、事件直後はドル売りが殺到しました。
しかし、それは一時的なもので、翌月には通常の水準まで戻っています。
このように、テロが起こると、一時的ではありますが、その当事国の通貨は急落します。
戦争やテロのような有事は、当然起こらないことが一番良いのですが、こういった不測の事態も、為替相場に影響を及ぼすということを理解しておきましょう。
FXはリスクを理解した上で行おう
FX取引で大損を回避するためには、FXと切り離すことのできない様々なリスクについて、十分に理解しておく必要があります。
特に、レバレッジには注意が必要で、FXを始めて利益が続いたりすると、高いレバレッジをかけたことで大損失をするケースもあります。
基本的に、マイナス口座になることはないですが、レバレッジをかける際には、リスクをよく踏まえた上で行いましょう。