引っ越しすることが決まって、アパートを解約するときは、やるべきことがたくさんあります。
解約の手続きや契約書の確認ポイントをわかりやすくご説明致します。
その中でも、あまり馴染みのない賃料の「日割り清算」について詳しく説明していますので、参考にしてください。
アパートの解約が決まったら
賃貸のアパートに住んでいて、何かの理由で退去することが決まった場合、まず何をすべきでしょうか?
解約の手続きについては、恐らく、入居するときに仲介業者かアパートの管理人から説明があったと思いますが、覚えていない場合が多いです。
心配する必要はありません。
必要な主な手続きは以下の通りです。
・契約書(賃貸借契約書)の確認(解約予告や日割り清算等について)
・解約の連絡(電話・書面・ファックス)※退去日を伝える
・退去立ち合いの日程を確定
・水道・電気・ガスなどの解約手続き
・住民票の転出届け
・各種契約の住所変更
・引っ越しの手配
・鍵の返却
・清算内容の確認
やるべきことをリスト化して、整理しておくとスムーズです。
アパート解約時の契約書確認ポイント
先ほどご説明しましたアパートの解約手続きの中で、契約書の確認について詳しく見ていきましょう。
契約書とは、部屋を借りる時に締結している書面です。
「建物賃貸借契約書」や「不動産賃貸借契約書」、単に「賃貸借契約書」など書面のタイトルは様々ですが、賃料や契約期間などが記載されているものです。
その中で確認すべき箇所は、「解約」について記載されている以下のところです。
・解約予告:何日前までに連絡することになっているのか
・短期解約違約金:「1年未満の解約は賃料の1ヶ月分を違約金として支払う。」などの記載がないか
・賃料清算:退去する月の賃料の清算方法はどうなっているのか(日割りか月割りか)
・敷金精算:借主負担の費用を敷金で清算するのか
契約書には、「第◯◯条(解約)」のように、条数の横に何について記載されているかカッコで説明されている場合が多いです。
契約書の最後や別のページに「特約事項」として様々な条件を追加している場合もありますので、契約書は一通り確認するようにしましょう。
アパート解約時の「日割り」清算とは?
先ほどご説明しました契約書確認ポイントの中で、賃料清算について詳しく見ていきましょう。
賃料の支払い方法は、振り込みか引き落とし、最近はクレジットカード決済も増えてきていますが、当月分の賃料を前月に支払うのが一般的です。
つまり、2月分の賃料は、1月末日までに支払うことになります。
契約によっては、当月分の賃料を当月◯日までに支払う場合もあります。
つまり、2月分の賃料は、2月の5日や10日までに支払うことになります。
いずれにしても、当月の1ヶ月分(1日から末日)の賃料を全額支払うことになります。
しかし、解約や退去する日は、末日とは限りません。
月の途中で退去する場合も当然考えられます。
その場合、1ヶ月分の賃料を全額支払うのではなく、1日から退去する日までの賃料だけを支払う方法を「日割り」といいます。
では、全ての契約が「日割り」清算するのでしょうか?
実は、必ずしもそうとは限りません。
アパートによっては、「半月割り」「月割り」という清算方法もあるのです。
賃料の「日割り」「半月割り」「月割り」の計算方法
アパートの解約の清算方法を契約書で確認します。
契約書の「家賃」や「賃料」と記載されている条文を確認します。
「1ヶ月に満たない期間の賃料は、日割り計算した額とする。」などと記載されていると思います。
しかし、先ほどの条文の後に、「ただし、契約終了月は、日割り計算は行わないものとする。」などと記載されている契約もあります。
この場合は、「日割り計算を行わない。」つまり「月割り計算を行います。」ということになります。
又、特約事項に、「契約終了月は、日割り計算は行わず、半月単位で計算した額とする。」などと記載されている契約もあります。
具体的な計算方法を確認します。
・日割り
3/10に解約する場合、3/1から3/10までの10日分の賃料を支払うことになります。
つまり、1ヶ月分の賃料を31日分で割って、10日分を掛けることになります。
月によっては、28日間、29日間、30日間、31日間とバラバラですが、それぞれの月の日数で割る契約と、どの月であっても30日分で割る契約もありますので確認しておきましょう。
・半月割り
3/10日に解約する場合、3/1から3/15までの半月分の賃料を支払うことになります。
つまり、3/1から3/15までに解約する場合は「半月分」、3/16日以降に解約する場合は「1ヶ月分」の賃料を払うことになります。
・月割り
3/10に解約する場合、1ヶ月分の賃料を支払うことになります。
何日に解約しても、必ず1ヶ月分の賃料を支払う必要があります。
解約を行うときの家賃の日割り計算の仕方
解約を行うときに、日にちを表す表現がいくつか出てきます。
それは、「解約日」「契約終了日」「退去日」「引越日」「立会日」などです。
アパートのオーナーさんや管理会社によっても表現がバラバラです。
気を付けないといけないのが、賃料が何日まで発生するのか?ということです。
「解約日」と「契約終了日」は、どちらも契約が終了する日、つまり賃料が発生する最終日を表すのが一般的です。
「退去日」は、「解約日」を表す場合もありますが、引っ越しする日を表すのが一般的です。
又、立ち合いは、引っ越しが完了した後に部屋の状態を確認することですので、引っ越しの後になるのが一般的です。
契約の条件や解約連絡日によっては、引っ越しや立ち合いは完了していても、まだ解約していない(賃料が発生している)場合があります。
いくつか例を挙げながら考えていきましょう。
条件1:2/1解約連絡、1ヶ月前予告、日割り清算
3/1以降いつでも都合のいい日に解約でき、早く解約する方が3月の賃料が安くなります。
1ヶ月の予告期間内(2月中)にどうしても退去する必要があるときは、2月分の賃料は日割りできず、2月の1ヶ月分を支払う必要があります。
条件2:2/1解約連絡、1ヶ月前予告、月割り清算
3/1以降いつでも都合のいい日に解約できますが、月割清算のため急いで解約する必要がありません。
しかし、引っ越し先の都合によっては、急いで引っ越しする必要があるかもしれません。
その場合は、早く立ち合いを行っても、3/末日が解約日になり、住んでいないのに賃料が発生することになります。
条件3:1/10解約連絡、2ヶ月前予告、日割り清算、3/15まで短期解約違約金発生
3/10以降であれば都合のいい日に解約できますが、3/15までは違約金が発生しますので、3/16以降に解約した方が得策です。
このように、退去時の日割り計算には解約日が関係してきますので、契約書を確認の上、解約日と引越日を決めていきましょう。
アパート解約に伴う敷金精算について
引っ越しが終わり、アパートから荷物を持ち出した後、立ち合いを行います。
立ち合いでは、管理会社の解約担当者と部屋の確認を行います。
契約書上、借主の負担になる傷や設備の不具合がないか確認を行い、鍵を返却します。
普通の使い方をしていれば借主の負担はありません。
又、入居する時点で既にあった傷や不具合も借主が負担する必要はないので、立ち合いの時にしっかりと説明するか、入居時に管理会社の担当者としっかりと確認して記録を残しておきましょう。
立ち合いの結果、借主の負担額が確定し、契約終了月の日割り賃料や日割りの水道料金等が確定します。
そのお金は、敷金を預けている場合、敷金からそのお金を引いて、残ったお金を返還してもらうことがあります。
敷金が無い場合は、そのお金を請求されることになりますので、請求金額の内容をしっかり確認するようにしましょう。
かしこく解約する方法
アパートを解約するときの手続きや賃料の清算方法をご説明してきました。
契約終了月の清算方法には「日割り」「半月割り」「月割り」があります。
賃料の清算方法を理解した上で契約書を確認すると、かしこく解約手続きを進めることができるでしょう。
又、春の引っ越しシーズンは、貸主や管理会社にとっても大切な時期です。
出来るだけ早く退去してもらい、早く次の入居者と契約したいと考えています。
解約予告期間や短期解約違約金、清算方法等、貸主や管理会社との交渉によっては、柔軟に対応してくれる可能性がありますので、引っ越しが決まったら、直ぐに契約書を確認して、貸主や管理会社に相談しましょう。