住宅を建築するとなれば、設計図などの図面を多く目にすることになります。
さらに、見取り図といった図面もあり、1つの建物に数多くの図面が作成されるのです。
しかし、あまり建築に関する知識がないと、これらがどのような図面なのかいまいちよく分かりませんよね。
そこでこの記事では、平面図や見取り図を中心に、これらにどのような違いがあるのかを解説していきます。
建築に欠かせない図面!その目的とは?
住宅を建てるときには、図面を目にすることが多くあるかと思います。
しかし、建築専門の学校に通っていたり、建築関係の仕事に就いたりしなければ、あまり各図面にどのような違いがあるのかわかりませんよね。
この記事では、平面図と見取り図を中心にお伝えしていきますが、まずはなぜ図面が建築に欠かせないか、その目的についてご説明していきます。
目的は全部で3つあります。
●注文者である建て主と請負業者の間で食い違いが起きないようにするため
特に注文住宅の場合は、車のようにあらかじめ形が決まっておらず、全て注文者のオーダーに沿って決められます。
土地から間取り、住宅に使用する素材まで注文者がオーダーするわけですから、どのように設計するかを図面に落とすことで、注文者と請負業者のお互いが意思疎通できるようになっているのです。
●建築確認の申請手続きのため
住宅を建てる場合は建築確認が必要で、この申請を行う際には図面が必要となるのです。
●工事現場へ伝達するため
実際に工事を行う人に、どのような工事をするか伝えなければなりません。
そのときに図面が大いに活躍するのです。
以上、3つの目的があるため、住宅の建築には図面がなくてはならないのです。
建築に関わる図面の一つ!平面図とは?
住宅建築における図面は数多くあります。
あまり知識がないと、それぞれに何が記載されているかわかりませんよね。
まずはじめに、平面図についてご説明していきます。
平面図は間取り図ともいわれていて、各階の床面から一定の高さの水平断面を図面化したものをいいます。
断面の高さはだいたい1メートル程度です。
平面図に何が記載されているかというと、まず建物の主要部の寸法が書き込まれています。
ほかにも、間取りや部屋の用途、面積、壁の構造など主要設備や作り付けの家具を表記しています。
多くの種類がある図面の中でも最も基本となる図面で、ほかの図面の見出しや索引としても使われることがあるくらい重要な図面です。
平面図の多くは縮尺して書かれていて、50分の1が一般的とされています。
次の項では、見取り図についてお話しし、平面図と何か違いがあるのかもお話をしていきます。
見取り図とは何?平面図と違いはあるの?
建築の図面では、平面図のほかにも見取り図というものがあります。
この見取り図について、ここでご説明しましょう。
見取り図は、立体の全体像がつかめるように、見た様子をそのまま平面に写して描いた図面をいいます。
例えば、住宅内部の間取りなどの様子をおおまかに示している図面のことです。
平面図では寸法など細かく書き込まれていますが、見取り図の場合は物や場所などの状態や概要、概形を描いていきます。
そのため、見取り図はパッと見ただけで全体がわかるように、おおまかにスケッチしたものなのです。
ですから、見取り図である程度の全体像を把握し、平面図で全体の細かい寸法などを把握するといった役割の違いがありますね。
書き方についても違いがありますので、次の項でご説明します。
平面図と見取り図では書き方にも違いがある!
平面図と見取り図についてお話をし、その役割の違いについてもお伝えしました。
しかし、役割だけでなく、書き方にも違いがありますので、ここでお話をしていきます。
前の項でもお話ししましたように、見取り図は住宅の内部などをスケッチしたものです。
全体像をつかめれば問題ありませんから、正確である必要はあまりありません。
一方、平面図は、建築において基本となる図面であることをお伝えしましたように、かなり重要度の高い図面です。
ですから、見取り図のように大まかに描くことはできないものです。
もちろん手書きで描くこともできますが、定規などを用いて正確・丁寧に描かなくてはなりません。
時間もかかってしまうでしょうから、多くの設計士や建築士の方は、パソコンを使って平面図を作成しています。
エクセルを使用する人もいれば、CADや間取り作成ソフトを用いて作成する人もいます。
このように、図面の書き方でも、大まかに描くことと、正確・丁寧に描くことでも違いがあります。
付近見取り図という図面も!見取り図とは何か違いはあるの?
平面図と見取り図の違いについてお話をしてきましたが、建築に関わる図面の一つには、付近見取り図という図面もあります。
先ほどまでお話ししてきた見取り図とは、少し違いがありますのでここでご説明します。
この付近見取り図とは、対象となる建物を中心に、その周辺環境を表した図のことをいうのです。
特に、建築確認申請を行う際に必要となる図面です。
書き方には特に決まりはなく、建て主をはじめ誰が見ても分かる図であれば、縮尺などを書かなくても問題はありません。
ただし、記載しておかなければならないことがあり、方位や道路は必須で、目印となるような建物があるようならそちらも記載しておきます。
大まかに描くという書き方については見取り図と変わりはありませんが、描く範囲に違いがありますし、使われる目的にも違いがありますね。
平面図など!住宅の設計で使われる図面の種類
ここまで平面図、見取り図、付近見取り図についてお話をしてきましたが、ほかにも住宅の設計に関わる図面は多くあります。
最後に、どのような図面があるかをご紹介していきます。
●特記仕様書
各工事別に使用する材料の規格などといった、ほかの図面では表せない事項が記載されている図面です。
●概要書
建て主の住所や氏名、工事名や建設地の地名地番、面積や構造、工事範囲、そして建材メーカーリストなどの工事に関する概要が記載されている図面です。
これに基づいて、さまざまな手続きがされます。
●仕上げ表
打ち合わせどおりの仕上げになっているかを確認する図面です。
小さな文字が違っているだけでもコストに大きな違いがあります。
この段階では、変更点などもはっきり伝えると良いでしょう。
●立面図
東西南北の四方からの外観が描かれている図面です。
屋根の形であったり、外壁の材料だったりを、この図面で確認することができます。
住宅では、100分の1もしくは50分の1の縮尺で記載されていることが多いです。
●断面図
床の高さや軒高、天井高などの寸法や、北側斜線制限や道路斜線の検討がしてある図面です。
2階以上の住宅の場合は、部屋の上下関係がどのようになっているかも確認することが可能です。
●展開図
それぞれの部屋の中心に立ち、そこで見た四方の壁部分を描いた図面です。
建具や造りつけの家具などの形状や位置、寸法などを確認することができます。
ここでは、6つの図面をご紹介しましたが、まだまだ多くの図面が住宅建築ではあります。
建て主であれば、全ての図面を知らなくても差し支えはないですが、どのような図面なのかを理解するだけでも、素敵な家づくりに活かすことができます。
もちろん全て覚えるのは大変ですが、人生に一度きりかもしれない家づくりを後悔のないものにするためにも、各図面の知識をつけることは決して無駄ではありません。
ぜひ、ここから住宅に関わる図面に目を向けてみてはいかがでしょうか。
図面の違いを理解して家づくりに活かそう!
専門の学校に通うなどをしない限り、住宅設計の図面を見ても何を示しているのか分からないことも多いでしょう。
しかも、図面は1種類ではなく数多くありますから、全て覚えるのも一苦労です。
しかし、人生の中で家を建てることは一度しかないかと思いますので、後悔のない住宅にするためにも、各図面の知識を身に付けてみてはいかがでしょう。