建物の購入は大きな買い物です。
それだけに、なるべく失敗はしたくないものです。
失敗する原因は、建物の要望を設計士にきちんと伝えられていないからかもしれません。
簡単な建築の図面の書き方を知っておけば、平面図を手書きして要望を正確に伝えることが可能になります。
平面図の書き方と、手書きするために必要な道具をご紹介します。
平面図の書き方が分かるとこんなに便利
新しく建物を建てる時には、「こんな家にしたい」という希望が少なからずあるものです。
そうした希望、要望を設計士に伝える時に、手っ取り早く書けるのが「平面図」と言われる図面です。
平面図というと難しく聞こえますが、不動産広告でよく見かける間取り図が平面図です。
間取り図という言葉からわかるように、部屋の種類や部屋同士の繋がりなども平面図から分かります。
設計者にとっても建て主にとっても、これから建てる建物をイメージしやすい図面であるため、建物の希望などがあれば、平面図を描いて説明するとより伝わりやすいと言えるでしょう。
実は、建築の専門家は平面図を見るだけで、色々なことが分かります。
生活しやすい間取りかどうかや空気の流れ、一般住宅ぐらいの大きさであれば、耐震性能も把握することができます。
また、ある程度の見積もりも、平面図から計算することができます。
そのため、平面図の書き方を覚えて手書きでアイデアを伝えると、双方にとってわかりやすく、話が早く進みます。
平面図の書き方はCADが主流でも手書きのほうが早い
今では、建築の図面を書く時には、CADを使うのが一般的です。
建築会社や不動産会社ですと、何十万円もするCADを使っていたりしますが、フリーソフトのCADもあります。
しかし、図面の書き方を勉強したことがある人でなければ、CADを使いこなすのはハードルが高いでしょう。
図面の書き方とCADの操作、両方を覚える必要があります。
それよりも、まずは手書きでの平面図の書き方を覚えてしまいましょう。
もちろん、設計士も、パソコンが普及する前は手書きで図面を書いていました。
今でも手書きで平面図の書き方を習いますし、建築士の試験では手書きで図面を書くことが求められます。
また、平面図は書き方が分かってしまえば、簡単に手書きで書くことができます。
CADはたくさんの図面や規模の大きな図面を書く時にはとても便利な道具ですが、平面図を書くだけなら手書きのほうが早いかもしれません。
特に、役所に提出するような確認申請用書類でなければ、圧倒的に手書きのほうが早いでしょう。
平面図を手書きする時に必要な道具
平面図を手書きする時に必要な道具は、鉛筆です。
建築の図面では、線の太さにも色々と意味があり、書き方で何を表現するのかが変わります。
そのため、濃さや太さの違う鉛筆を複数用意しておきましょう。
壁の線などは、太く、濃い鉛筆で線を書きます。
窓ガラスなどは、中ぐらいの太さの鉛筆を使用します。
床の模様などは、薄く細い鉛筆で書き込みます。
平面図を書く際に必要な道具の2つ目は、定規です。
建築士の試験の時には、「平行定規」という定規を持ち込むことができます。
平行定規は製図台に固定された定規で、上下にスライドすることによって、平行な線がすぐに書けるようになっています。
しかし、平行定規は高価なうえに場所を取るため、建築やインテリアの仕事をしている人以外はほぼ使うことがないでしょう。
昔は「T定規」と呼ばれる定規もありましたが、今ではほとんど見かけることがありません。
簡単な平面図を手書きするのであれば、三角定規を2枚使って直角や平行を取るようにして書くとよいでしょう。
小学校の時に使った三角定規のサイズですと少し小さいため、1回り大きな三角定規を使用した方がよいと思います。
設計士は、線を引く定規と寸法を測る定規では別のものを使っています。
なぜなら、図面の縮尺によって1センチの長さが変わってくるからです。
そんな時に便利な定規が、「三角スケール」と言われる定規です。
その名の通り三角形をした定規で、この定規1本で1/100から1/600までの縮尺の図面を測ることができます。
三角スケールは図面を書く時だけでなく、図面を読むときにも便利なものなので1本は用意しておきましょう。
平面図をフリーハンドで書くときの便利道具
フリーハンドでの平面図の書き方は、まっすぐな線が引けるかどうかが問題になります。
そんな時には方眼用紙を使うとよいでしょう。
5ミリ角の方眼用紙が使いやすいと思います。
マス目に沿って線を書けば、手書きでもまっすぐな線が引けます。
一般的な住宅の平面図を1/100スケールで書くときには、マス目2つ分で約1メートルにすると書きやすいです。
完全なフリーハンド、というわけではありませんが、簡単に平行の線が引ける定規もあります。
定規にローラーがついており、それをスライドさせることで簡単に平行線が引けます。
ただし、三角定規を組み合わせたり、平行定規を使ったりして平行線を引く時に比べると、きっちりとした平行を出すことはできません。
簡単に綺麗に平面図を描きたい時に、使ってみるとよいでしょう。
平面図を手書きする時の注意点は
しかし、平面図を手書きする時には、注意すべき点もあります。
平面図の手書きでの書き方で気をつけるべき点は、定規の使い方です。
鉛筆で図面を書いている時には、定規を引きずらないように気をつけましょう。
1本の線を書いたら、定規を持ち上げて、次の線を書くところまで移動させます。
そうしないとあっという間に、図面が鉛筆の粉で汚れてしまいます。
平面図を鉛筆で書いたあと、ペンでなぞって仕上げをすることがあるかもしれません。
そのような時には、定規と紙を密着させるのではなく、定規を少し神から浮かせることがコツです。
そうしないと、ペンのインクが定規と紙の間に入ってしまい、図面が汚くなります。
定規を上から少しだけ浮かせるシールが売られていますので、そうしたものを活用するのもよいでしょう。
平面図の書き方
では最後に、上手な平面図の書き方を見てみましょう。
まずは、外壁となる壁の中心線をぐるりと書いていきます。
その後、室内の間仕切り壁となる所の中心線を書いていきます。
壁と壁がぶつかるところには、柱が入ります。
壁の中心線が書けたら、壁の厚みを書いていきましょう。
先ほど書いた線を中心に二重線を引きます。
これで、壁の厚みを書くことができました。
次は、窓やドアの位置を書いていきましょう。
窓の書き方は、窓の幅を決めたら壁の二重線の中に引き戸のマークを記入します。
引き戸のマークは、窓の幅のちょうど真ん中に、中心線とクロスするように短い線を1本書きます。
そして、中心線と壁の外側の線のあいだに窓の端から真ん中まで1本線を引き、中心線から室内側の壁の線のあいだに中心からもう一方の端まで線を引きます。
ドアのマークは、1/4円の扇型をドアのあるところに書き込んでいきます。
これで大まかな間取りを書くことができました。
あとはシステムキッチンやカウンター、浴槽、トイレ、また家具などを書き込みましょう。
部屋の名前や、和室なのか、洋室なのかも記入していきます。
実際の生活がイメージしやすいように、細かい家具やインテリアの飾りなども手書きで書き込んでおくと、雰囲気が出るでしょう。
また、1階部分の平面図であれば配置図を兼ねることもあります。
玄関のポーチ周りや庭のデザイン、駐車スペースなども書き込んでおきましょう。
これで手書きの平面図を書くことができました。
平面図を書いて希望を伝えよう
「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、どんなに言葉で説明するよりも、平面図を見せたほうが、要望が伝わることがあります。
平面図は、書き方を覚えて鉛筆と定規を用意すれば、簡単に手書きで書くことができます。
設計士も図面があると新しい提案がしやすいので、いい物件に仕上げるために、ぜひ平面図の手書きにチャレンジしてください。