住宅の増築、改築、あるいは新築などで平面図を書きたくなった事はありませんか?
間取りについて家族や設計事務所の人と相談したりする際、平面図を書けると自分の考えを簡単に伝える事が出来ますよ。
今回はパソコンを使って平面図を書くのに必要なソフトの紹介と、平面図の考え方や書き方について説明します。
パソコンで平面図を書く前に、間取り図との違いを知ろう
書き方をご説明する前に、普段何気なく使ってる「平面図」や「間取り図」という言葉ですが、若干ニュアンスが異なります。
まずは実際にどのような場面で使う言葉なのかご説明します。
◆平面図
「平面図」とは建築に関して言えば、建物を窓の高さで水平に切って壁面の切り口と床面を上から見た図面の事を指します。
「平面図」は「建設現場」で建物を立てる際に用いられ、分かり易い言葉にすると「建物の設計図」と言えるでしょう。
「正確」な寸法や建築記号が記されており、現場では「立面図」や「平面図」、更に詳細に書かれた「平面詳細図」など様々な図面を元に建物を建てていきます。
◆間取り図
「建築現場」で使われる「平面図」に対して「間取り図」は、建物全体のプランや各部屋の広さや位置などが簡潔に表されており、用途としては主に施主との打ち合わせや営業に使われます。
「建物のイメージ図」と言えるでしょう。
家を建てる場合などに各部屋の配置や広さなどの「検討をする場合」に使うのは「間取り図」
実際にプランが固まり「製作をする場合」に使うのは「平面図」と言えます。
「平面図」も「間取り図」も同じ建物の図面ですが、見る人に合わせて必要な情報が違うことを覚えておきましょう。
今回は間取りの検討を兼ねてパソコンを使った「間取り図」寄りの「平面図」の書き方についてご説明していきたいと思います。
パソコンを使った平面図の書き方の種類
では、実際にパソコンを使用した平面図の書き方には、どのような種類があるのでしょうか。
代表的な書き方を2種類ご紹介します。
◆エクセルなどの表計算ソフト
表計算ソフトと平面図は一見関係ないように見えますが、初心者の方にオススメする書き方の一つです。
詳しくは後述しますが、表計算ソフトのマスを正方形、あるいは長方形にしてドット絵を書くような要領で平面図を書くことができます。
普段仕事で使うことの多い表計算ソフトの方が、普段使いなれている方には操作しやすいのもポイントです。
◆CADなどの専用ツール
CAD(キャド)というのは「computer aided design」の頭文字で、コンピュータの設計支援ツールのことです。
元々は産業用として開発されたもので、機械設計や建築設計などで図面を書くことに特化したツールです。
直線、曲線、矩形、線のコピー、縮尺、伸び縮みなどの線を用いて図面を書くのに必要な機能が備わっており、手で書くのが難しい正確な図面も簡単に書くことができます。
図面を書くのに適したCADですが、ソフトの使い方を覚えるのにある程度の時間を要するのが難点と言えるでしょう。
そのため、平面図を書くこと以外にもCADを使用する目的のある方にお勧めします。
CADで平面図の書き方を覚えるにはJWCADがおすすめ。
書き方を覚えるのに少し時間が必要なCADソフトですが、手芸の型紙や家具の平面図、ポスターや販促物など手で書ける大抵のものを書くことが出来ます。
一度覚えてしまえば様々な使い方ができて便利なので、平面図の書き方を覚えることをきっかけにしてCADを覚えてみるのも良いと思います。
個人でCADを使って平面図の書き方を覚えたいという方には、「JWCAD」という国産の二次元CADソフトがおすすめです。
「JWCAD」はリリースから20年以上経つフリーソフトで最新のCADに比べれば使える機能も少ないですが、図面を書くのに必要な機能と操作性は備わっています。
無料でダウンロードすることが可能で、ライセンス料が必要ないという利点も相まって現在でも実務で使っている設計事務所が多い定番CADです。
有名な国産CADなので操作に関する教本もたくさん販売しているため習得しやすく、パソコンのスペックをあまり必要としないのも初心者の方におすすめする理由の一つです。
CADが気になる方は一度試してみてはいかがでしょうか。
平面図を書くオススメの表計算ソフトと特徴
パソコンで平面図を書くのにおすすめの表計算ソフトを2種類ご紹介します。
・Microsoftのエクセル
昔からある表計算ソフトなので、表計算ソフト=エクセルという認識の方も多いのではないでしょうか。
使い勝手もよく安定性も高いですが、ライセンス料が掛かるという点がネックですね。
・Googleスプレッドシート
エクセルをお持ちでない方におすすめしたいのはGoogleスプレッドシートです。
Googleスプレッドシートはgoogleの提供する表計算ソフトで無料で使用することが出来ます。
クラウド型なので、同期すればパソコン以外のスマホなどの端末でも閲覧や編集が可能なのもポイントです。
書き方に関してもエクセルに似ているので、普段エクセルを使っている方も違和感なく使うことが出来ると思います。
また、表計算ソフトを使うことで、CADでは苦手な表現も簡単に書くことが出来ます。
・区画の色分けが簡単
お風呂やトイレなどの水周りを水色にしたり、寝室を緑色にしたりという色分けが簡単です。
色分けする事で視覚的に見易い平面図になるので、考えを伝えやすくなります。
・文章の挿入が簡単
元々文章入力も多いソフトですから、文章の挿入が得意でメモ書きなども残しやすいです。
また、計算も得意なので坪計算なども捗ります。
パソコンを使った平面図の書き方の基本的な考え方
パソコンで平面図を書くソフトを決めたら、すぐに書き出したいところですが、闇雲に書いても時間ばかりかかってしまいます。
まずはスムーズな書き方が出来るように、設計のセオリーやゾーニングについてご説明します。
1.玄関と駐車スペースの考え方のセオリー
まずは敷地と道路、周辺環境から玄関の位置を決めましょう。
例えば西側に道路が面している長方形の土地なら、西側に駐車スペース、北東よりに建物を寄せることで建物に日当たりの良い配置になります。
玄関の位置は道路、駐車スペースは近いほうが良いので南東、あるいは北東の位置がベターです。
玄関の位置が決まったら、次は共用スペース、個人スペースなどを配置します。
2.共用スペース、個人スペースのゾーニング
次に共有スペース、個人スペースのゾーニングを行います。
ゾーニングというのは区画分けという意味で、事前に大まかな生活エリアを把握、配置することで暮らしやすい設計をする事ができます。
・部屋を何階に配置するか
・広さはどれくらいにするか
など、設計の前にまずはおおよそのボリュームを考えておきましょう。
◆考え方の一例
・住宅が密集している土地で一階の日当たりが悪いようであれば、二階にリビングを配置する。
・老後を考えてバリアフリーを意識して、玄関からリビング、お風呂、トイレ、個室への動線を広く、短くする。
・夫婦で料理を作るという方はキッチンを広めに、友人や家族を呼んで食事をすることが多いのであれば、ダイニングやリビングを広めに配置する。
・アウトドアの趣味があれば玄関近くに物置、洋服の多い方であればウォークインクローゼットを配置する、など。
すべての要望を詰め込めるのが一番ですが、土地という制約がある以上取捨選択が大事です。
必要な部屋の広さは千差万別ですので、自分の生活スタイルで重視したいポイントを明確にしておきましょう。
パソコンで表計算ソフトを使った平面図の書き方
それでは、実際にパソコンでエクセルを使った平面図の書き方と手順をご紹介します。
今回はマイクロソフトのエクセルを例にしますが、その他のフリー表計算ソフトや、Googleスプレッドでも大体の書き方は一緒です。
1.セルの列と高さのサイズを同じにして正方形にする
行の高さと列幅を同じ数字にして、方眼用紙のように四角にします。
画面の解像度にもよって変わりますが、土地の大きさが画面に入る程度の大きさにすると作業効率が良いです。
今回はサイズ20で統一します。
セルですが、下記のような寸法で設計するとスムーズです。
・セル1つで半畳(910ミリ×910ミリ)
・セル2つで一畳(910ミリ×1820ミリ)
・セル4つで一坪(1820ミリ×1820ミリ)
2.罫線を使って建物の線を引く
上で説明したように1セルを910ミリとして考え、建物の大きさの線を書きます。
二階建てなら2組作ります。
(例)18200ミリ×9100ミリの長方形の建物なら縦に20セル横に10セルを選択して罫線で囲む。
3.罫線を使って部屋、廊下、階段などを配置していく
設計の順番ですが、最初に玄関、その次に廊下、階段という順番に配置しましょう。
特に階段や吹き抜けなどの上下階の要素が大きいものは先に配置することで後々整合性が合っていなくて困ることが減ります。
4.扉や家具の配置
最後に図形を用いて扉の位置や家具の配置をして、実際の生活に沿った設計になっているかイメージ、調整して完成です。
パソコンを使って自分で平面図の書き方を覚える意味
今回はパソコンを使った平面図の書き方についてご説明させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
家は一生に何度もある買い物ではないので、家族や自分のこだわりを反映させたいですよね。
良い家を建てるには設計士さんとよく相談して意見を合わせることが大切です、自分で平面図の書き方を覚えることでその一助になればと思います。