住宅平面図の手書きの書き方を知って自分の理想の家造り

人は一生の間に3回家を建てると、自分の理想どおりの家が建てられるそうです。

しかし、家は服やお菓子と違い、簡単に捨てて新しいものを買うというわけにはいきません。

できるだけ1回で自分の理想とする家を手に入れたいものです。

そのためにも、家の平面図の見方や書き方がわかることは大切です。

今回は、家の平面図を手書きで書くときの書き方をご紹介します。

平面図の書き方を知って家の購入時に活用

家を購入するときは、土地だけを購入しその上に好みの家を建てる方法と、建売という既成の家を購入する方法があります。

土地だけを購入して、オーダーメイド方式で家を建ててもらうことを「注文住宅」と言います。

また、親から受け継いだ土地や以前から持っていた土地に家を建てる時も、この方法を利用します。

一方、建売は住宅メーカーや不動産業者が所有する土地に家を建てて販売する方法です。

この場合でも、ある程度決められた建売用に用意された平面図の中から、自分好みの家を建てる方法もあります。

住宅メーカーが販売する建売には、同じような外観の家が何件も建ち並ぶことがあります。

街並みをそろえるために、外壁やベランダ、庭の造りまでほとんど同じということもあります。

しかし、その中で自分の家だけはオリジナリティを出したいと相談すると、半注文住宅のような家を建てることもできます。

何軒も同じような家が建ち並ぶ住宅街に、ときおり家そのものの造りや外壁などの外観が違う家がありますね。

建売の家の中にも、自分で好みを加えたいと希望する時には、こういった選択をすることができます。

自分の希望する家を建てるためには、住宅の平面図の段階で、希望を申し出ることが重要です。

しかし、家を購入する、あるいは家を建てる時に平面図の見方がわからないと、全てお任せしてしまうことになってしまい、自分の希望が通らないこともあります。

そこで、住宅の平面図の見方や書き方が自分でもできたら良いと思いませんか?

書き方は手書きで、大丈夫です。

ぜひ、自分の家の平面図を手書きで書いてみましょう。

平面図を手書きするための準備

それでは、住宅平面図の手書きの書き方についてお話をする前に、あらかじめ調べておくべきことをご紹介します。

土地を買ったら、その土地のことをしっかりと把握しましょう。

まずは土地の面積と形です。

次に周辺に何があるか、境界線と隣接している土地には何があるかを調べます。

道路なのか、空き地や公園なのか、それとも隣家になるのかによって、家の向きや駐車スペースの位置・広さが違います。

道路の状況も大切です。

家の前がいつも車の通りが激しい道路の場合、車の出し入れが大変です。

住宅街で道路が狭い場合は、大型の車を駐車するときに、何回も切り替えが必要になるということもあります。

駐車スペースは、土地の中で上手に確保することが大切です。

また、土地は市街化調整区域や第一種住居専用地域など、どんな場所にあるのかによって、土地の中に建てることができる家の広さも違ってきます。

敷地面積に対する建築面積の割合を建ぺい率といいます。

また、敷地面積に対する延床面積の割合を容積率といいます。

建ぺい率や容積率は、家を建てるための土地がどんな用途の土地かによって違ってくるのです。

例えば駅前の近隣商業地域で、土地の建ぺい率が80パーセントだとします。

この土地を使った場合、1階部分の面積100平方メートルの家を建てるためには、125平方メートルの土地が必要です。

しかし、郊外の第一種低層住居専用地域では、建ぺい率が30パーセントという土地もあります。

ここに同じ100平方メートルの家を建てるためには、333.3平方メートルの土地が必要です。

さらに、東京や大阪の近郊、ベッドタウンと呼ばれる市町村の住宅街では、建ぺい率が50パーセントという場所が多く、100平方メートルの家を建てるために必要となる土地は200平方メートルです。

また、土地の面積を表す単位に坪というのがあります。

1坪はおよそ3.3平方メートルになります。

住宅街にある販売されている土地に、1区画50坪というのがあるとします。

1坪およそ3.3平方メートルで、50坪はおよそ165平方メートルになります。

165平方メートルの土地に建ぺい率50パ―セントの家を建てる場合は、1階部分の面積が82.5平方メートルの家を建てることになります。

手書きで平面図を書く前に、上記のような土地に関することをあらかじめ把握しておきましょう。

家の平面図の手書きで書き方~その1~家の外壁

それでは、平面図の手書きの書き方についてお話をしていきます。

方眼紙と電卓、鉛筆、定規を用意しましょう。

【書き方~土地】

①方眼紙に、土地の広さに合わせて線を引きます。

実寸1メートルを方眼紙1センチ、100分の1にすると書きやすいです。

大きめの土地なら、A4の方眼紙1枚目に土地の面積と一階部分の平面図を書きます。

②土地を書いたら、その端に東西南北の方向を書きます。

地図のように、北を上にすると書きやすいです。

道路や周辺の土地にあるものを簡単に分かりやすく入れておきます。

③土地の線の中に一階部分の外壁の線を書きます。

一階部分を決める時、建ぺい率を計算します。

建ぺい率が50パーセントの50坪(165平方メートル)の土地なら、家の一階部分は82.5平方メートルです。

【書き方~外壁】

①土地が165平方メートルの正方形に近い形で、北側に側道がある場合の書き方をご説明します。

先に庭や玄関前、駐車場のスペースをある程度決めておきましょう。

②北側(方眼紙の上)に側道があるため、北側に1メートル(1センチ)以上のスペースを空けて、内側に線を引きます。

東側、または西側に駐車スペースを取りましょう。

道路から車の出し入れがしやすい場合は、最低限5メートル(長さ)×2.5メートル(幅)のスペースが必要です。

出し入れが難しい土地の場合は、少し広めのスペースを取りましょう。

車を2台置く場合は、縦列で2台を置くのか、横列で2台を置くのかによって、スペースの確保の仕方は違います。

西側(方眼紙の左側)に縦列2台分の駐車スペースをとる時は、土地の線よりも5メートル(5センチ)分内側に南北の縦長の線を入れます。

この5センチの幅に駐車場と、隣の家との境界線の塀などを作ることができます。

③土地の線の内側に、上から1センチ、左から5センチの線が入ったので、この線を始点として、一階部分の外壁の線を書いていきます。

④外壁は正方形、または長方形の四角い線を入れます。

しかし、一階部分の面積が82.5平方メートルといっても、どれくらいの大きさになるのかピンときませんね。

82.5平方メートルなら、9メートル×9メートル、8メートル×10メートル、7メートル×11メートルの正方形や長方形を作ると、平面図の書き方が簡単になります。

方眼紙の上では、9センチ×9センチの正方形や、8センチ×10センチの長方形です。

⑤9センチ×9センチの正方形を書いた場合、面積は81センチメートル、実面積は81平方メートルになりますので、不足分の1.5マスを足します。

これで、一階部分の外壁ができました。

⑦2階部分は、始点となる線に合わせて、同じようにもう一枚の方眼紙に書きます。

家の平面図の手書きの書き方~部屋の間取り

外壁ができたら、平面図に大切な家の中の間取りを入れていきましょう。

【書き方~間取り】

①まず、キッチンや風呂・トイレ・玄関・階段の位置を決めます。

上水道や下水道の長さは長いよりも短い方が、水のくみ上げも水道管の詰まりなどのトラブルも少ないので、できるだけ道路に近い位置でまとめます。

特に、2階にトイレや洗面台を作る場合は、可能な限り1階の水回りの上に設けます。

細かいマークなどの書き方は後回しにして、手書きでトイレ、風呂場などのスペースに文字だけを入れて書いておきます。

②階段は1階と2階の位置に矛盾がないようにします。

階段の書き方も色々ありますが、こちらも位置だけがわかるようにしておきます。

③次に、寝室や子ども部屋、リビング、キッチンなど部屋の役割を決めて、1階と2階部分に入れていきます。

1階には玄関を、2階にはベランダやバルコニーを入れます。

バルコニーやベランダは南側に作ることが多くあります。

南側に側道がある土地なら、南側に玄関とバルコニーやベランダを配置することができます。

しかし、今回は北側に側道がある土地を例にしていますので、玄関も北側になります。

そのため、バルコニーやベランダを南に配置すると、玄関と反対方向になります。

部屋の場所が決まったら、どこから入るのか、部屋の入口を決めましょう。

④次は廊下です。

廊下から、それぞれに部屋に入れるようにするのも大切ですが、風呂場や脱衣場・キッチンなどの共有スペースは、廊下がなくても共有となるスペースから入ることもできます。

⑤リビングとキッチン、ダイニングはそれぞれの動線を考えて、使い勝手が良いように、動かしてみます。

それぞれの部屋の出入りや、家族の動きがスムーズになるように、部屋の割り振りや出入り口の場所を考えておおよその間取りを決めていきます。

間取りまでは、住宅平面図の記号がわからなくても書くことができますので、まずはここまで書いてみましょう。

家の平面図の手書きの書き方~部屋の詳細

間取りが決まったら、平面図の中に収納スペースや窓、トイレなどを入れてみましょう。

【書き方~平面表示記号と設備】

①家の玄関やベランダ、庭に出るための出入り口、部屋のドアを入れていきます。

出入り口には、引き違い戸と片開き戸がよく使われます。

玄関や洋室は片開き戸が良いですが、片開き戸は戸が開くための1マス分の面積が必要です。

押し入れやベランダの出入り、和室の出入りは引き違い戸が使いやすいですが、こちらは戸の開け閉めに2マス分の長さが必要になります。

それぞれの部屋の用途や広さに合わせて、面積や長さが取れない場合は、片引き戸などを使います。

また、風呂場やクローゼットなら折りたたみ戸というのを使うこともできます。

②換気や採光を考えて、部屋には窓を設けましょう。

窓も引き違い窓、上げ下げ窓、ルーパー窓などの色々な種類があります。

窓を付ける場所や部屋の広さによって、窓の種類を選んでみましょう。

③子ども部屋や寝室、廊下にできたちょっとしたスペースに、収納スペースを設けます。

和室なら押し入れ、洋室ならクローゼット、玄関には靴入れ、廊下なら物置などを設けましょう。

④トイレやキッチン・浴槽のマークを入れましょう。

出入り口や窓、トイレやキッチンの記号の書き方は、住宅メーカーのサイトなどでも紹介してありますし、中学生や高校生のお子様がいれば、家庭科の教科書や資料集に載っています。

解らなければ、手書きで言葉を入れておくだけでも、住宅メーカーの人には伝わります。

手書きの平面図をさらに構築

方眼紙に手書きで書くときは、正確な寸法ではありません。

住宅メーカーの人と打ち合わせをすると、この壁にはこの広さの窓はつけられません、と言われることもあります。

その時は、メーカーの人との話し合いで、できるだけ希望に近いものをお願いしてみましょう。

特に、採光や換気を考えて窓を大きく取ると、家全体の強度が弱くなることもあります。

他にも外壁には、電気や水が通るための配管などが必要になります。

エアコンを取り付ける場所も必要になります。

地方によっては玄関や窓を二重にする必要がある場合もあります。

カッコいい対面キッチンを付けても、そこに壁や柱がないと、強度が弱くなることもあります。

デザイン性を重視しすぎて、防犯対策に不向きな間取りを作ってしまうこともあります。

最終的な平面図を書いてもらう時は、手書きで書いた平面図の矛盾点や、難しい点を修正してもらい、自分たちの希望をできるだけ取り入れてもらった家の平面図を書いてもらいましょう。

平面図の書き方を知っておくと、最終的な平面図を見て、どんな家になるかイメージすることができるでしょう。

平面図の書き方を知って理想の家造り

家を建てる土地によって、側道の位置や側道が2方向にある角地、駅前の商店街、田舎の広い土地に建てる一戸建て、と建て方は色々あります。

条件よって書き方は様々です。

しかし、平面図の基本の書き方を知っていると、応用することはできます。

まずは手書きで書いてみましょう。

住宅平面図の書き方を知っていると、見方もわかってきます。

理想の家造りを目指すためにも、自分が建てる家の住宅平面図を書いてみませんか。