転職する際には、様々な求人を目にします。
「一級建築士の資格を取って、新しい職に就きたい」と考えている方もいることでしょう。
しかし、一級建築士試験の受験には実務経験が必須で、それがなければ受験できません。
そこで今回は、一級建築士の受験に実務経験が必要な理由や試験の制度、実務経験をアピールするための上手な書き方をご紹介します。
一級建築士試験の受験を考えている方は、ぜひ読んでみて下さい。
一級建築士の仕事と試験制度
今回は、一級建築士試験の受験に必要な実務経験の内容やその書き方をご紹介します。
ですがまずは、一級建築士とはどんな仕事をするのかを、簡単にご説明しましょう。
建築士なので、設計業務や工事の監理業務、各種手続きなど、建物に関する仕事というのは、容易に想像がつきますね。
中でも一級建築士は、住宅以上の大きな建物についても申請でき、商業施設の建築といった業務も行うことができます。
一級建築士になるには、「学歴+実務経験」のコースと「他の資格+実務経験」から目指すコースがありますが、今回は、「学歴+実務経験」のコースをご紹介します。
一級建築士の資格を得るには、国土交通省の一級建築士試験に合格し、国土交通大臣から免許を受けることが必要で、その一級建築士試験の受験資格は、以下のようになっています。
●第一号
大学(旧制大学を含む)で指定科目を修めて卒業した者で、建築実務の経験が卒業後2年以上ある者
●第二号
3年制短期大学 (夜間部を除く)で指定科目を修めて卒業した者で、建築実務の経験が卒業後3年以上ある者
●第三号
2年制短期大学(又は高等専門学校)で指定科目を修めて卒業した者で、建築実務の経験が卒業後4年以上ある者
なぜ、実務経験が必要なのかというと、建築士が建築主の願望をかなえる設計をする反面、安全・安心への配慮は行政によって守られているからです。
具体的にどのような建築実務の経験が必要なのかについては、次の章で見ていきましょう。
一級建築士試験を受験するには、どんな実務経験が必要?
一級建築士試験の受験に実務経験が必須なのは、ご理解頂けたことでしょう。
ここでは、どんな実務経験が必要なのかを見ていきましょう。
単純に「実務経験がある」というだけで、安心してはいけないのです。
建築実務も幅が広いので、その書き方にも戸惑いますが、きちんとした実務経験として認められるのかそうでないのかは、一級建築士試験に申し込む前に知っておく必要があります。
平成20年11月28日以降の一級建築士試験で、「建築実務経験」として、認められるものは以下の通りです。
・建築物の設計業務に関する実務
・建築物の工事監理や指導監督に関する実務
・工事の施工の技術上の管理に関する実務
・確認審査等に関する実務
・建築物の耐震診断に関する実務
・大学院の過程で、建築物の設計・工事監理に係る実践的な能力向上を目的として建築士事務所などで行う実務実習など
また、「確認審査等に関する実務」とは、
・建築基準法第18条の3第1項に規定されるもの
・同法93条第1項の規定で消防長(又は消防署長)が行う審査に関するもの
があります。
ただし、「建築実務の経験」には、単なる写図工や労務者としての経験や、庶務、会計事務などに関する経験は含まれないので注意して下さい。
実務経験がないのにあると偽るのは、不正行為!
一級建築士の試験において、実務経験がないのにあると偽って受験申し込みをする人が後を絶ちません。
なぜ、そういったことが起こるのでしょうか。
それには、事前の確認不足があると考えられます。
受験資格を確認しないまま勉強してしまい、いざ申し込む段階になって実務経験がない(=受験資格がない)ことに気づくため、とっさに「ある」と偽って申し込んでしまうのです。
しかし、そうした不正は発覚します。
そして、不正申し込みをした場合は、たとえ一級建築士試験に合格した後でも、合格が取り消されます。
さらに、一定の期間、受験ができなくなるといった処分を受けることもあります。
虚偽の実務経験を書いて提出するという行為は、悪質です。
一級建築士の試験を受けたい人は、勉強を始める前に受験資格を必ず確認することをおすすめします。
そして、もし申し込みの段階になって受験資格がないことに気づいたら、残念ですが、受験を諦めましょう。
不正してまで受けても、意味はありません。
では、次の章から、実務経験の書き方についてお話ししていきます。
一級建築士試験の申し込みでは、実務経験はどう書くの?
一級建築士試験の受験を申し込む際、実務経験を記入する「実務経歴書」の書き方に悩む人は多いです。
ここからは、一級建築士試験の受験に必要な建築実務経験の書き方を学んでいきましょう。
一級建築士試験の受験申し込みに必要な実務経験の書き方は、その方法がわかればそれほど難しいものではありません。
まず、実務経歴ですが、これは勤務先(職場)ごとに分けて書きます。
しかし、勤務先は同一であっても、行った実務の内容が変われば、「実務経歴書」に書く実務内容コードも別のものになります。
そのため、同一の勤務先で実務内容が変わった場合には、同欄にその内容を分けて書きます。
落ち着いて、一つ一つの実務内容と対応するコードをよく確認してから書くことで、うっかり書き間違えるということを防げます。
そして、「在職期間」の欄には、西暦ではなく元号(平成ならば、平成またはH)で書くので、これも忘れないようにして下さい。
そして、一番重要な「実務経験」は具体的に書くことが必要ですが、これについては後述します。
実務経験の書き方で気を付けるべき点
先ほどは、一級建築士試験の申し込みの際に必要となる実務経験(実務経歴書)の書き方をご紹介しましたが、その書き方で気を付けるべきことがいくつかあります。
一番大きな注意点が、平成20年11月27日以前と平成20年11月28日以降で、「建築実務経験」に扱いに差があるということです。
平成20年11月27日以前は実務経験として認められていたことが、平成20年11月28日以降では一部、認められなくなりました。
しかし、それにも関わらず、その確認をしなかったために、受験資格を満たしていない人が見受けられます。
もう一度、受験要領をよく読みましょう。
「実務経験要件」の「実務経験に該当する例(新旧対照表)」に目を通し、平成20年11月28日以降は実務経験として認められないものは、「実務経歴書」には書かないようにして下さい。
自分が受ける試験です。
その確認も含めて、受験の準備はきちんと行いましょう。
さらに、受験資格の審査の際には、他の書類の提出を求められることもあります。
その場合に備えて、年金の加入記録や設計図などもすぐに出せるようにしておくとよいでしょう。
実務経験の上手な書き方は?
では、実務経験の上手な書き方についてご紹介しましょう。
建築の実務経験として認められる経験が指定の年数以上あれば、あとはそれを間違いのないように書類に書いていくだけです。
そうは言っても、やはり少しでも上手にアピールしたいですよね。
その場合には、以下の「建築実務の内容」の記入例を参考にしてみて下さい。
・○○駅前事務所ビル設備工事(〇〇造〇階建)の設計補助
・○○商業ビル新築工事(〇〇造〇階建)の施工管理
・○○マンションの耐震診断
・○○増築工事(1階店舗部分約〇平方メートルの工事監理補助)
上手に書くと言っても、見やすく分かりやすく書いた、上記のような書き方で十分です。
また、今回は実務経験の書き方についてご紹介しましたが、一級建築士の試験では、この他にも、実務経歴証明書の作成・提出も求められることが多いです。
そのため、一級建築士の資格を取りたいと思う方は、自分にとって有効な情報を集めることから始めることをおすすめします。
実務経験がない(あるいは認められない経験しかない)、経験年数が足りないといったことで受験できないということにならないように、きちんと確認しておきましょう。
受験資格をよく確認して試験に挑もう!
今回は、一級建築士試験についてご紹介しました。
一級建築士試験の受験には、実務経験が必須であることがよくわかりましたね。
知らずに勉強していて、受験するときになって気づき、経歴を偽ってしまうのは悲劇です。
あらかじめ受験資格をよく確認し、実務経験の上手な書き方も含めて、準備しておきましょう。