若い世代の方には、畳よりもフローリングに人気の傾向があるため、大家さんの中には、「床と共に全室フローリングにした」というケースも聞きます。
畳と比べるとお手入れのしやすいフローリングですが、月日の経過とともに、ワックス剥がれが気になりますよね。
今回は、フローリングのワックスについて、お話します。
なぜ床にワックスを塗るの?
床がツヤのあるピカピカな状態と、ワックスが剥がれてツヤのない状態、どちらに住みたいですか?
キラリと光る床のほうが、断然良いですよね。
そう思うのは、入居者様も一緒です。
床がフローリングの場合、材質は木製です。
木製はメリットもたくさんありますが、傷つきやすく汚れやすい性質も、持ち合わせています。
しかし、人が歩く床を傷つけず、汚さないということは難しいことです。
そこで、ワックスの登場です。
ワックスはフローリングの表面に薄い膜を張り、床を保護してくれる効果があります。
よって、傷や汚れを防ぎ、汚れが付いたときは落としやすいといったメリットもあり、こらから入居するお客様がお掃除しやすい環境も整います。
お掃除がしやすい状態であれば、綺麗に部屋を使用してくれる、きっかけになります。
退去の日が訪れるまで、綺麗に使用していただければ、管理している側にもメリットがあるはずです。
なにより、ワックスを塗ることで、ツヤのある綺麗な床に見えます。
床をフローリングにするときの注意点
床から傷や汚れを守るワックスですが、フローリングの材質によって、種類を変えます。
ワックスを塗っても、すぐに剥がれてしまったり、効果が出ないと困ってしまいますよね。
まず、フローリングについてお話します。
日本と韓国で使われている、家庭用フローリングのおよそ95%以上は、世界から見れば一般的ではありません。
海外で扱われているフローリングと呼ばれているものは、無垢フローリングと積層フローリング、集成フローリングです。
国内で使われている家庭用フローリングも、積層フローリングの一種なのですが、海外で一般的に使用される積層フローリングとは異なります。
しかし、国内では、どちらもフローリングと呼んでしまうこともあります。
違ったフローリングの解釈で話を進めていると、間違った判断やメンテナンスをしてしまう可能性があります。
アパートを建てるときや、リフォームをする際は注意しましょう。
ワックスを塗る前にフローリングの種類を確かめよう
フローリングは、大きく分けると、単層フローリングと複合フローリングがあります。
【単層フローリング】
無垢フローリングとも呼ばれ、原木から、そのまま切り出して作られています。
割れや乾燥による変形が生じにくく、研磨によってリフォームが可能です。
床材として、寿命が長いと言えるでしょう。
【複合フローリング】
合板の台板の上に、単板を貼り合わせたものです。
以下のフローリングがあります。
●積層フローリング
作成サイズに幅があり、寸法に狂いが生じにくいと言えるでしょう。
変形や割れなどは起こりにくいですが、台板と単板を糊で接着した構造なので、何かのきっかけで単板が剥がれることがあります。
研磨をすることで、リフォームが可能で、床材としての寿命が長いです。
●集成フローリング
通常の木材ではできない大きな断面や、湾曲した形状にすることができます。
乾燥による変形や割れなどは生じにくく、研磨をすることでリフォームが可能です。
●家庭用フローリング
フローリングというよりも、ボードといったほうが近いかもしれません。
合板の台板の上に、フイルム状にした、木を貼り合わせたものです。
外光に弱く、表面材が変形や割れを起こしやすい傾向があります。
強度は表面の塗装に頼っているため、塗装が摩耗すると寿命は短くなり、研磨もできません。
コストは、格段に安いです。
これらのフローリングの種類によって、ワックスを選びましょう。
単層フローリングにロウのワックスは剥がれやすく危険?
では、ワックスの種類についてご紹介します。
先ほどお話した、床に使用しているフローリングの種類によって、使い分けてください。
【単層フローリング】
単層フローロングにワックスを使う場合は、以下の3種類から選びましょう。
・主成分がロウのワックス
・主成分が油のワックス
・主成分が樹脂のワックス
主成分がロウのワックスは、最も古いワックス素材ですが、耐久度が低いです。
耐久度が低いということは、剥がれやすいと言えます。
また、ふすまの滑りをよくするために使われるほど、ロウは滑りやすい素材です。
小さな子供や、お年寄りがいるご家庭には不向きなワックスです。
主成分が油のワックスは、塗装していない単層フローリングに適しています。
しかし、塗りすぎてしまうと滑りやすくなるので、気をつけましょう。
そして、現在、最も使われているものとして、主成分が樹脂のワックスが挙げられます。
種類が豊富なので、木材の性質に合わせて選びましょう。
【複合フローリング】
マンションで使われているフローリングは、軽い複合フローリングを使っている所が多いのではないでしょうか。
この複合フローリングに使うワックスは、主成分が樹脂のワックスを使用しましょう。
主成分が、ロウや油のワックスは適しません。
床のワックスが剥がれてもすぐに塗ってはいけない
ワックスが剥がれている所があったとしても、新しいワックスを、ただ塗れば良いのではありません。
すでにワックスが塗ってある場合は、まず床に付いている古いワックスを落とす「剥離(はくり)作業」が必要です。
古いワックスは、時間とともに劣化していきます。
変色やホコリなどの汚れが、ワックスに付着している状態で新しいワックスを塗ってしまうと、新しいワックスで、汚れを挟み込んでしまいます。
これでは、ツヤのある綺麗な床にはなりません。
専用のワックス剥離剤を使って、古いワックスを剥がしてから塗りましょう。
しかし、入居者様が剥離作業をしないでワックスを塗っていると、これまで塗ってきたワックスが、地層のように重なり合っています。
そして、床に塗布後3年以上経過したものは硬くなり、こびりついてしまいます。
こうなると、素人で剥がすことは、とても難しいです。
今後のことも考え、多少お金は掛かりますが、プロに依頼しましょう。
剥がれたワックスを剥離して新たにワックスを塗る
剥離作業により、古いワックスが剥がれたら、床にワックスを塗っていきましょう。
ワックス塗りは時間が掛かり、作業にもコツが要ります。
プロに頼むのが一番負担がありませんが、コストが掛かります。
なるべくコストをかけず、ご自身でワックスを塗りたいという方もいらっしゃいますよね。
最後に、ワックスの塗り方のコツについて、お話します。
①ワックスを塗る準備
雨天時は、ワックスの乾きが悪くなり、仕上がりに影響が出てしまいます。
晴れた日に行いましょう。
砂ボコリなどが入ってこないように、作業中は窓を閉めます。
塗っているときに、髪の毛が落ちて、ワックスに混じらないように、服装や髪型も気を付けましょう。
②ワックスを塗るルート
1部屋を3つ以上に区切り、ワックスを塗っていく順番をシミュレーションします。
ムラにならないように、ワックスが乾く前に、素早く重ねて塗るのがコツです。
③ワックスの塗り方
水拭きをするように、ゴシゴシとこすりながらワックスを塗るのではなく、力を入れずにワックスをのせるように、スーっと滑らせるように塗ります。
まずは、一番奥の壁側や窓際から、コの字に塗ります。
続いて、真ん中・コーナー・出口と、向かっていきます。
半分重ねるイメージで、ワックスを塗っていきましょう。
夏で40~60分、冬はその倍の1時間30分~2時間置いて、ワックスを乾かせば、作業終了です。
④片づけ
使用した道具などは、すぐに水洗いし干してください。
ワックスが固まってしまうと、取り除くことが大変になってしまいます。
新たな入居者様のためにも
退去後、そのままにしておくのではなく、空室になったところのメンテナンスをしましょう。
「内見したい」と突然お客様がいらした場合も、すぐに対応できます。
床のワックスが剥がれた物件に案内したところで、入居したいとお考えにならないですよね。
ご自身でワックスを塗るのが心配な方は、コストは掛かりますが、プロの方にお願いしましょう。