高層マンションなどの窓に、三角のマークがついているのを見かけたことのある方もいるのではないでしょうか。
なぜこのマークが窓についているのか深く考えたことがない方もいるでしょうが、これはとても重要なマークなのです。
この記事で三角マークを窓につける意味についてお話をしますので、大家さんたちも、このマークが所有するマンションの窓についているか確認してみてくださいね。
マンションの窓にある三角マーク!これにはどんな意味があるの?
普段何気なく見ているマンションやビルですが、窓に赤い逆三角形のマークがついているのを見たことはありませんか?
「そういえばついていたな…」と思い返す人もいるかもしれませんね。
しかし、このマークの意味についてはいかがでしょう。
中には知らない方もいるかと思います。
そこでまずはじめに、マンションなどにつけられた赤い逆三角形のマークの意味についてご説明していきましょう。
このマークの正式名称は、「消防隊進入口マーク」といいます。
「非常用進入口」とも呼ばれています。
このマークには、「火災などの非常事態が起きたときに、このマークがついている窓を破って救助にきてください」という意味がこめられているのです。
そのため、どちらかというと、消防士やレスキュー隊に向けたマークといえます。
ほかにも意味がある!窓周辺の決まり
マンションなどの窓についている赤い逆三角形マークには、消防士たちが救助する際の進入口としての意味がこめられていますが、室内にいる人に対しても意味がこめられています。
三角マークには表と裏があり、外からは裏面の赤一色のマークを見ているのです。
しかし室内にいる人は、三角マークの表面を見るわけですが、表面には「消防隊進入口」と書かれています。
そして下部には「この付近に物を置かないでください。」と小さく書かれているのです。
ではなぜ、このマークの周辺には物を置いてはいけないのでしょうか。
マンションに住むとなれば、窓の近くに配置したい家具もありますよね。
なぜ物を置かないようにしなくてはいけないかは、次の項でお話ししていきます。
意味と一緒にマークをつける目的を考えよう!
三角マークは「消防隊進入口マーク」のことを指し、非常事態の際に消防士たちが進入するための出入り口にもなります。
また、室内にいる人に対して「このマークのある窓周辺には、救助の障害となるような大きな家具などを置かないように」といった意味も、三角マークには含まれています。
なぜ、このマークの周辺には物をおいてはいけないかは、目的を考えれば察することができるでしょう。
もし、マンションで火災などが起きれば命に関わる重大な事態ですので、消防士たちは1秒たりとも無駄にはできません。
多くの命が助かるためにも、救助の妨げになるような行為は避けるのが賢明といえますよね。
そのため、三角マークのついた窓周辺には家具などの物を配置しないように、マークからも促しているわけです。
ところでこの三角マークですが、どこの窓にもつけられるというわけではありません。
三角マークの設置基準についても、みていきましょう。
どこにもつけられるわけではない!三角マークの設置基準
窓についている三角マークの意味についてお話をしてきましたが、どこの窓にもつけられるということではありません。
次のような設置基準が設けられているのです。
●3階以上の階層、もしくは地上から31m(おおよそ8階くらい)までの階層に設置すること
●建物の外壁に沿って40m以内の間隔で設置すること
●幅員(歩道や通路を含む)4m以上の通路や、道路に面する各階の外壁に設置すること
このような高さが定められたのは、高層階に救助する場合にはしご車を使うことが関係しています。
はしご車が届くことのできる範囲として、以上のように定められているのです。
また、通路の幅員も、消防車が迅速に進入できる通路の広さとして定められました。
そのため、どこの窓に設置できるというわけではなく、消防士たちがスムーズに救助できるように基準が設けられているのです。
そして先ほどもお伝えしたとおり、室内にはこのマークの周辺には物を置かないようにしなければなりません。
条例等で明記されているわけではありませんが、スムーズに人命を救助できるよう配慮が大切です。
万が一、マークの周辺に物を置いていて、救助の際に破損されても訴えることはできませんので注意しましょう。
窓やマークの大きさにも基準がある!?
定められているのは、設置するための基準だけではありません。
実は、窓と三角マークの大きさにも基準があるのです。
救助するための進入口ですから、小さい窓では室内に入ることは難しいですよね。
そのため、スムーズに進入できるように、三角マークを設置する窓の大きさは「高さが120cmで幅が75cm以上」とされています。
スムーズに進入するだけでなく、救助にあたって作業を行ったりしますので、ある程度の大きさが窓には必要であることは予測できますね。
三角マークに関しては、条例で「赤色反射塗料による、一辺が20cmの正三角形でなければならない」と定められています。
反射塗料であることで、夜間でもどこが進入口になるのかすぐに確認することが可能です。
このように窓や三角マークにも基準が定められているのは、何度もお伝えしているとおり消防士たちが迅速に救助に向かい、多くの命を助けるためです。
三角マークがついていることで、より安心・安全にもつながりますから、賃貸マンションを所有する大家さんたちはに三角マークをつける意味を理解し、所有するマンションの窓ついているか確認してみてください。
高層マンションでも窓に三角マークがないことも!
窓に三角マークをつける意味などについてお話をしてきましたが、なかには設置基準を満たしているのに、三角マークがついていないマンションなどもあります。
三角マークがついていないと、もしもの事態の際、消防士たちの進入口がわからないので、スムーズに救助ができなくなってしまいます。
また実は建築基準法という法律の中でも、高層マンションなどの窓に三角マークをつけなくてはいけないよう決められていますので、法律違反になりかねません。
ところが、三角マークをつけなくても問題ない場合もあるのです。
高層マンションやビルに、あるものが設置されている場合は、三角マークをつけなくても良いとされています。
そのあるものとは、「非常用エレベーター」です。
非常用エレベーターは、火災時などに消防士たちが消火や救助作業を行うために使用するものですから、たしかにこれが設置されていれば、三角マークがなくても問題ありませんね。
ちなみにこの非常用エレベーターも、建築基準法で「高さ31m以上の建築物に設置すること」が義務づけられています。
そのため、8階以上のマンションの場合は、三角マークではなく非常用エレベーターが設置されていることが多いでしょう。
以上のように、三角マークがついていなくても問題ない場合もあります。
所有するマンションに三角マークがなくても、非常用エレベーターがあればOKですので、どちらも設置されている場所の把握はしておくようにしましょう。
住人の安全を守るため!三角マークなどがついているか再確認しよう
マンションなどの窓についている三角マークについてお話をしてきました。
建築基準法でも定められていますから、高層マンションを所有する大家さんたちは、これらの設置をしなくてはいけません。
8階以上の場合は三角マークよりも非常用エレベーターの設置が義務付けられています。
これらが設置されているのかを今一度確認し、マンションに住むみなさんの安心・安全をより守れるようにしてくださいね。