現在日本は、世界でもトップクラスの経済力を誇り、GDPも世界上位に位置しています。
しかし、世界の中でも圧倒的な経済力を誇るのがアメリカです。
アメリカの大きな経済は、日本だけではなく、世界においても多大な影響力を与えており、決して無視することはできません。
この記事では、GDP推移から見るアメリカの経済力が、どのように日本や世界に影響しているかなどを、詳しくご説明していきます。
アメリカと日本のGDPは?そもそもGDPとは?
アメリカと日本のGDPについてご説明する前に、まずはGDPそのものについてご説明していきます。
そもそもGDPとは、「Gross Domestic Product」の頭文字を取ったもので、日本では「国内総生産」を意味します。
GDPとは「1年間にどれだけのモノやサービスが生産されたか」を指すもので、つまりは、国内でどれだけ活発に経済活動が行われているのかを表す指標とも言えます。
また、そのGDPは、大きく分けて三つの利益から構成されています。
・民需(民間の需要):消費(生活者の支出)と投資(企業支出)
・政府支出:政府が使うお金
・貿易収支:輸出額から輸入額を差し引いたもの
上記の民需において、消費支出が含まれていることに疑問を持たれる方がいるかもしれませんね。
消費というのは、お金がなければできないもので、つまり、消費額が多ければ多いほど、それだけ収入を得て儲かっている人がいるということになります。
したがって、消費額からどれだけ利益があるのかが分かるのです。
では、GDPについて分かったところで、次にアメリカと日本における、近年のGDPについて見ていきましょう。
アメリカと日本における近年のGDPについて
IMF(国際通貨基金)によれば、2017年時点のGDP世界ランキングでは、アメリカが断トツの1位に位置し、2位に中国、3位に日本と並んでいます。
日本のGDPについては、2011年には約468兆円となっていましたが、この時点で中国に抜かされ、日本のGDPは世界3位へと後退しました。
それ以降、日本のGDPはおよそ500兆円前後で推移しており、ここ20年においてほぼ横ばいになっているのです。
その一方で、アメリカのGDPは1991年が約6兆ドル、そして、2011年が約15兆ドルとなっているのですから、ここ20年で約2.5倍にまで成長していることが分かります。
確かに、近年においてのGDPはやや減少傾向にあるアメリカですが、近年は回復の兆しも見え始め、いずれにしても、世界においては揺ぎの無いGDPを誇る国です。
アメリカは日本と比べれば、国土も大きければ、経済や消費においてもスケールが違いすぎます。
しかし、その点から見ていくと、小国でもあり、ましてや敗戦国でもある日本が、GDPの世界3位に位置していることすら、驚きであるとも言えるのです。
日本のGDPについては、今になっては現状維持ではありますが、第二次世界大戦後の日本の高度経済成長は、類に見ないほどの成長があったことは、皆さんご存知かと思います。
では次に、日本のGDPについて、少し歴史を振り返ってみましょう。
歴史から日本のGDPの成長を見てみよう!
では早速、日本におけるGDPの成長を、ざっくり遡って見ていきましょう。
・戦後復興期~高度経済成長期
第二次世界大戦後に敗戦した日本は、産業においても壊滅的打撃が避けられず、GDPは著しく縮小していました。
しかし、1950年に勃発した朝鮮戦争の特需により、経済水準は徐々に回復していき、1954年からは高度経済成長期に突入していきます。
1964年にはアジア初となる、東京オリンピックも開催されたともあり、経済成長率は平均約10%という驚異的な成長を遂げ、世界から注目を浴びることになります。
・安定成長期
1973年には、オイルショックが起きたことで高度経済成長にも終止符が打たれましたが、1985年に入ると、日本の経済は安定期に突入していきます。
経済成長率は平均約4%を維持し、オイルショックで打撃を受けた重厚長大産業の代わりに、自動車や機械などの加工産業が台頭していきます。
・プラザ合意
1985年には、為替レートの安定化を図ったプラザ合意により、安定成長期は終わります。
これにより円高が進み、自動車を始めとする輸出産業は大打撃を受けます。
この円高不況を受けた日本銀行は、公定歩合を2.5%に引き下げる「低金利政策」に舵を取り、国内景気は回復に向かいます。
・バブル景気
この日本銀行による過度の貸出が、不動産や株式の価格高騰を生み、いわゆるバブル景気を起こします。
これを受けた日本銀行は、1989年に公定歩合を引き上げたことで、1991年にバブル経済は終焉します。
バブル景気のGDP成長率は、平均約6%でした。
これ以降、日本のGDPは、デフレによる個人消費の減少や少子高齢化といった、様々な理由で停滞を迎えています。
しかし、戦後の焼け野原から、1968年までの約20年間で、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になったことは、驚くべき復興とも言えますね。
では次に、アメリカの近年のGDP推移について見ていきましょう。
アメリカのGDPはどのようになっている?
2017年時点でのアメリカのGDPは、約19兆ドルにも上り、世界3位である日本の4倍以上にも及びます。
それだけでも、アメリカがどれほどの超大国なのかが分かります。
しかし、アメリカのGDP成長率は、長期的に見てみると減少傾向にあり、個人消費以外の内需(国内の需要)の減少が原因となっています。
例えば、設備投資や住宅投資、そして政府支出などが減少していることが、GDP全体の減少を引き起こしているのです。
それでも、2008年のリーマンショック後の経済打撃時から比べると、賃金の上昇や雇用の安定など、低成長ではありますが、経済的には回復傾向にあります。
2017年時点での経済成長率は、約2.27%と回復しており、依然として世界トップの経済力を誇っています。
では、アメリカ経済の世界的な影響について、次項で詳しく見ていきましょう。
経済大国アメリカの世界的な影響とは?
前項では、アメリカの近年における、GDP推移についてご説明してきました。
では次に、アメリカ経済の世界的な影響を見ていきましょう。
アメリカのGDPは、世界でも1位を誇る推移があることから、世界各国のGDP推移にも大きな影響を与えています。
例えば、2008年のリーマンショック後は、ユーロ加盟国の財政にも悪影響を与え、その金融危機はギリシャ債務危機、そして欧州債務危機にまで及びました。
そして、その影響はそれだけでは終わらず、日本にまで飛び火することになり、日本の株価や景気の指標ともいえる日経平均株価を暴落させました。
つまり、日本の大企業の株価が、ほとんど半分になることを意味し、日本の景気を悪化させることに繋がったのです。
その後、世界全体のGDP成長率においては低迷が続き、結果的にはアメリカで起こったリーマンショックは、世界規模の金融危機にまで発展することになったのです。
今後においても、アメリカのGDP推移や経済力は、良くも悪くも、日本や世界経済に大きな影響を与えていくと考えられます。
そこで次に、アメリカの経済力が与える、日本への貿易利益についてご説明していきます。
アメリカのGDP増加が日本の貿易を潤す?
前項では、世界トップのGDP推移を誇るアメリカの影響力についてご説明してきました。
では続いて、日本の貿易相手国である、アメリカの経済力の影響についてご説明していきます。
日本とアメリカは、貿易や経済、軍事関係において、切っても切り離せない密接な関係にあります。
まず、アメリカのGDPの推移には、国民による個人消費が最も大きな割合を占めています。
したがって、個人消費の拡大によりGDPが増加すれば、輸入も増えることに繋がるので、つまり、貿易相手国である日本の輸出増加に期待されているのです。
また、日本企業の経営は、アジアに最も多く分布しています。
アメリカの経済は、アジア地域の経済に大きな影響をもたらすので、アメリカのGDPが成長することは、日本のアジアに対する輸出を潤すことに繋がるのです。
以上のことを踏まえると、アメリカ経済が今後伸びていくことは、日本の景気にも良い影響を与えてくれるかもしれませんね。
アメリカ経済は世界規模に影響する
アメリカのGDP推移は、現在においては減少傾向にあるものの、世界においては断トツの経済力を誇ることは間違いありませんし、今後もそれは維持されていくでしょう。
また、アメリカと日本は、貿易や経済、そして防衛の観点といった、実に様々な面で密接な関係があるため、良くも悪くも、アメリカの影響は日本にも及ぶことがあります。
それを考えると、アメリカ経済を始めとする情報は、決して無視することはできませんね。