GDPと一人当たりのGDPの意味に違いはある?投資する判断?

GDPと一人当たりのGDPの違いをご存知でしょうか?

どちらも海外で投資する場合は、1つの判断材料になるものです。

しかし、これら2つは大きく意味が異なるため、投資する場合はどちらでどのように判断するか注意しなくてはなりません。

ここでは、GDPと一人当たりのGDPについてみていき、投資する場合どのように判断すれば良いのかをお話ししていきます。

GDPとはどういう意味?

まずは、GDPと一人当たりのGDPの意味の違いについてみていきましょう。

はじめはGDPについてご説明します。

GDPの正式名称は、「Gross Domestic Product」といい、3つの単語の頭文字をとった言葉です。

日本語訳では、「国内総生産」と表されています。

国内総生産とは、「一定期間(主に1年間)に生み出された付加価値の総額」のことを指します。

もっと簡単にいってしまえば、「国内で1年間にどれだけ儲けたか?」を表した指標のことです。

どのようにして求められるかは、以下の式で計算されます。

【GDP=民需+政府支出+貿易収支】

民需とは消費と投資のことを指し、「消費=生活者が行った支出」と「投資=企業が行った支出」を足したものです。

政府支出は政府が使うお金のことで、貿易収支とは「輸出額-輸入額」で出された金額のことです。

この3つのトータルを、GDPとして示されるのです。

GDPによって、その国の企業の株価の推移も変わることがありますので、GDPで出された数字を参考に、海外に投資するか判断する材料となるのです。

名目GDPと実質GDPの意味は何?

GDPの意味についてご説明しましたが、このGDPには名目GDPと実質GDPがあります。

この2つについても、ここでみておきましょう。

名目GDPとは、モノやサービスが取引された「実際の金額」のことをいいます。

一方、実質GDPは、名目GDPに物価の影響を加味したもののことです。

つまり、取引された「実際の金額」を、ある時点の貨幣価値に直すといくらになるか表された数字を、実質GDPといいます。

海外投資を行う場合、その国の経済活動がどのような状態が知りたいですよね。

その国の経済活動の実態を知りたいのであれば、名目GDPよりも実質GDPを参考にしたほうが良いでしょう。

なぜなら、国ごとに通貨があるように、貨幣の価値も通貨によって変わってきます。

韓国の通貨「ウォン」と、アメリカの通貨「ドル」を例に挙げてご説明します。

韓国の100ウォンとアメリカの100ドルの価値に、違いはあるのでしょうか。

円で換算すると、100ウォンは約10円で、100ドルは約11,100円となります。

見てわかるように、同じ100でもウォンとドルでは1,000倍近く貨幣の価値が違ってくるのです。

そのため、その国の貨幣価値として表されている名目GDPよりも、他国との貨幣価値を基準に合わせた実質GDPのほうが、実際の経済活動がプラスなのかマイナスなのかが判断しやすくなります。

ちなみに、その年の名目GDPがプラスであっても、実質GDPがマイナスであれば、その年の経済活動はマイナス成長だったといえるのです。

この2つの意味をきちんと把握していないと、投資でも損してしまう恐れもありますので、しっかり覚えておくと良さそうです。

それでは、つぎの項で、一人当たりのGDPについてお話をしていきます。

一人当たりGDPの意味も知ろう!

GDPについてお話をしたところで、一人当たりのGDPの意味もみていきます。

一人当たりのGDPとは、名前のとおり各国のGDPの値をその国の人口で割ったものです。

ですから、一人当たりのGDPが高いほど、その国民の一人当たりの生産量が大きいということになります。

つまり、一人当たりのGDPとは国民の生活水準などを示す指標のことをいい、一人一人が豊かであることを表しているのです。

こういった意味合いがあると、先進国が上位を占めるイメージを持ちますが、必ずしもそうではありません。

また、この一人当たりのGDPはあくまで指標ですので、これが本当に国民一人一人の豊かさを表しているとはいえません。

なぜかというと、このGDPの値はドル換算だということが挙げられます。

ドル換算ということは、つまり円高ドル安になれば日本のGDPは増えて、円安ドル高になれば減少することになるからです。

また、一人当たりのGDPは単純にその国の人口で割るので、経済格差が起こっている国では一人当たりのGDPの値よりも少ない人もたくさん存在します。

全員が全てその値になるわけではありませんから、一人当たりのGDPは正確な指標とはいえないことも多いのです。

そのため、一人当たりのGDPを投資の判断材料にする場合は、その国の内情などをきちんと把握しないと大損してしまうことも十分にあり得るのです。

GDPと一人当たりのGDPはどちらの方が投資の判断材料になる?

先ほどまで、GDPと一人当たりのGDPの意味についてお話をしてきました。

どちらも海外へ投資する際の判断材料となるのですが、どちらの方が判断しやすいのでしょうか?

投資家によって意見は異なるでしょうが、リスクが低いのはGDPの方だと考えられます。

なぜなら、GDPは「国内で1年間にどれだけ儲けたか?」を表した指標ですので、国外からみればその国の経済力を示す目安にもなるのです。

毎年発表されているものですので、去年や一昨年などと比較することもできます。

前年と比較してどのくらい成長したかもわかりますから、その国の経済が景気になっているのか判断しやすくなります。

また、GDPを発表することで、株価の変動を動かす要因にもなり得ます。

例えば、インドなどの国では近年、経済成長の伸びが大きくなってきています。

そのため、インド株が各証券会社でも取り扱われるようになり、投資するインド以外の国の方も増えているのです。

このように、GDPの伸び率で、その国の経済がどのような状態であるかを判断しやすくなります。

ですから、海外投資を考えている場合は一人当たりのGDPよりも、GDPのなかの実質GDPを参考にするのが良いでしょう。

GDPでみる!投資するかどうかどのように判断すれば良い?

GDPと一人当たりのGDPの意味の違いについてお話をし、投資ではGDPを参考にするのがオススメだとお話もしてきました。

ここからは、実際にどのように判断すれば良いかをご説明していきます。

まずは、GDPからみていきましょう。

GDPで投資するか判断する場合は、「per」という言葉を知っておくことが重要です。

この「per」とは、「Price Earnings Ratio」が正式名称で、「株価収益率」と呼ばれています。

perは、その株式がeps(1株当たりの利益)の何倍まで買われているかを示していて、現在の株価が割安か割高なのかも判断する材料として使用されています。

perは以下のように計算されます。

【per=株価÷eps】

例えば、ある銘柄の株価が現在10,000円で、epsが200円だとします。

その場合のperは、株価10,000円÷eps200円で、「50倍」ということがわかります。

このあと、株価が上がって15,000円になりepsはそのまま200円の場合のperは、株価15,000円÷200円で「75倍」となるのです。

50倍だったperが75倍になったら、50倍だったときと比較して「割高」になったと判断することができます。

一方、株価は10,000円のままでepsが250円に上がった場合は、株価10,000円÷eps250円で「perは40倍」となりますね。

このときは、50倍だったperが40倍に下がってしまいますので、「割安」になってしまったことが判断できるのです。

GDPが伸びている局面では、perも伸びやすくなるといわれています。

先ほどもお話をしましたが、GDPはその国の経済力を表す指標ともなっています。

前年などと比較してもGDPが伸びている場合は、次期のepsも上昇しやすくなりますので、epsが上がればperも伸びやすくなることも考えられるのです。

ですから、GDPを見て海外投資を判断する場合は、GDPの伸び率からperの伸び率を予測し、割安か割高になるかを判断したうえで行うのが良いでしょう。

一人当たりのGDPでみる場合!どのような判断が大切?

最後に、一人当たりのGDPを参考に投資を行う場合についてお話をします。

一人当たりのGDPでみるときは、どのようなことが投資するうえで重要なのでしょうか?

一人当たりのGDPのところでもお話をしましたが、これはその国の国民の生活水準などを示す指標のことですね。

ですから、「一人当たりのGDPが高いからその国は潤っている」と、意味を勘違いしてしまうこともあるのです。

一人当たりのGDPのランキングで上位にいる国は、近い将来発展に期待できるといえるでしょう。

このような国であれば、将来経済成長率もアップする可能性が高いでしょうから、今から投資しておく価値は充分にあります。

しかし、政治の動向や世界の市場の動き次第で、株価が揺らぐ可能性もあり得るのです。

こういった情報をこまめに入手しておかないと、いざというときに大損になってしまうことも大いにあります。

損にならないためにも、一人当たりのGDPで投資するかを判断する場合は、その国の政治の状況をしっかりと把握し、短期的でなく長期的な視野でみることが大切です。

海外投資は豊富な知識と情報が大切!

海外投資は、国内の株式投資同様、多くの知識や情報を身につけることが重要になってきます。

海外投資の判断材料となり得るGDPも、その年だけのものを見るのではなく、過去の数値などもみることで分析することも可能になり、利益を得ることにもつながります。

海外の企業などに投資する場合は、GDPやper、そしてその国の内情などの情報をしっかりつかんだうえで、投資をするか判断するのが良さそうです。