オフバランスとは何ぞや!メリットは?わかりやすく説明

近年、日本でもオフバランス化するために、あらゆる手法で取り組んでいる企業や投資家が増えています。

ですが、初めて聞いた時に「オフバランスとは?」と首をかしげる方も多いことでしょう。

意味を調べても、よく知るためには難しい説明を読まなければいけません。

「カタカナが多くてわかりにくい!」とため息をついている方のために、かみ砕いてわかりやすくご説明します。

オフバランスとは何か知るために!理解したい「貸借対照表」

難しいものの説明を読むときには、まず出てくる言葉の意味がわからないと頭に入って来ません。

そこで最初に、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」のことを知っておきましょう。

オフバランスとは何かを理解する上で欠かせないワード、貸借対照表、別名バランスシート。

そう、オンバランス、オフバランスの「バランス」はここから来ています。

資産をどうにかしてバランスよくする、というイメージをお持ちの方は、すぐに脳内をクリアにしましょう。

なぜバランスシートというのかというと、この表が左右に分かれて、左側の「借方」と右側の「貸方」が、バランスよく釣り合っているからです。

そして、この貸借対照表が何のためにあるのかというと、株主や債権者、その他の関係者に、経営の状態をわかりやすく報告するためなのです。

また、株式会社の場合は、新聞やインターネットで公にすることになっている書類の一つです。

これを見れば、企業の資産や負債などの情報がわかるようになっていて、開業したり決算の時期だったり、清算の時などに作成されます。

オンバランス・オフバランスとは?わかりやすく説明

貸借対照表についてわかりやすくご説明したつもりですが、会計に関わる方でないと、やっぱりわかりにくく感じますよね。

ですが、今の時代を生き抜くためには、何でもかんでもカタカナにする風潮には慣れなければいけません。

「イノベーション」「マンパワー」「カニバリゼーション」「プライオリティ」「メソッド」……。

会議で使われても、誰か一人は絶対に知ったかぶりをして頷いているはずです。

話がそれてしまいましたが、オンバランス・オフバランスとは何かを、わかりやすくご説明します。

・オンバランス

バランスシートにオンしてる、つまり貸借対照表に載っている

・オフバランス

バランスシートにオフしてる、ということで貸借対照表に載っていない

以上です。

「そういうことじゃないんだけど。」という声が聞こえてきましたので、次項ではもう少し、役に立つご説明をさせて頂きます。

オフバランスとは何か、わかりやすく!

オフバランスとはどういうことか、もう少しわかりやすくご説明します。

「貸借対照表に載せる」つまりオンバランスですが、どのようにとらえられるのかを考えてみましょう。

貸借対照表に載せるということは、「企業や投資家がそれを所有していること」を表わします。

所有するということは負債と関係してきますし、リスクも発生します。

一方で、オフバランスは、それを所有してはいません。

不動産取引で、具体的な事例を挙げてみましょう。

まず、オンバランスですが、不動産を「買って」誰かに貸して家賃の収入を得ます。

しかし、サブリースなどの、自分が持っているわけではない不動産を大家から借りて、人に貸すビジネスもありますよね。

その場合は家賃をすべて頂戴できるわけではなく、大家へ支払うリース料の差額が収入になります。

ですから、収入だけを考えると後者の方が利益が少ない、といえるでしょう。

しかし、その不動産を所有してはいないので、地価の変動や災害などの予期せぬ出来事で失敗するリスクは少ない、と考えられます。

また、不動産がある場所の魅力度や時期によっては、サブリースでも利益が高くなることもあります。

そのため、オフバランス化のためにリースを導入する企業も増えていきました。

オフバランスとはどういうことかの例え

オンバランスとオフバランスとはどういったことか、わかりやすく一言で言うと、「資産・負債とするかしないか」ということになります。

例えば、大量のドーナッツを食べたいとします。

ドーナッツ屋さんを買い取ったり大量のドーナッツを購入する契約書にサインしたなら、もう後戻りはできません。

オンバランスです。

それに対して、ただ単にドーナッツを大量に買い込んできただけなら、その場限りのお買い物。

つまりはオフバランスになります。

ただ、負債を負債として公にしたくない企業に対し、会計基準設定主体側も、会計の基準を変えてきています。

例えば、「リース会計」がそれに当てはまります。

これが導入される前はリースについては資産として計上しなくてもよかったのですが、導入後はリース会社との契約もオンバランスするようになりました。

負債にあてはまるものはオンバランスするように、ルールが少しずつ変わることもあるようです。

企業としては「オフバランス化していきたい」というのが近年の流れで、そうすることで様々なメリットがあります。

次項ではその理由をご説明します。

オフバランスのメリットもわかりやすく!

オフバランスとは、どのようなメリットがあるのかわかりやすく一言で書くと、「企業価値を上げられる」ということです。

企業の目的とは関係ない資産を計上しなければ、その分シンプルになります。

また、計上するとよく思われない資産、負債を貸借対照表に載せないようにすることで、会計が整理されて無駄なく見えます。

そうなれば、純資産利益率(ROA)の改善、つまり「持ってるもので、ちゃんと儲かってるよ」というアピールにもなります。

少ない資産で利益を得ているということは、それだけ効率よく経営しているとみなされるわけです。

また、自己資本比率も向上します。

自己資本比率とは、自己資本と他人資本を合計した総資本に占める、自己資本の割合のこと。

自己資本比率の高さは、企業の安定性をあらわすものとされていますので、これもイメージアップにつながります。

企業価値が上がれば、資金繰りもスムーズになることが期待でき、さらなる効果が期待できることになります。

オフバランス化の手法とリスク

このようにオフバランスとは、企業のイメージアップ戦略の一つとして使えるキーワードで、欧米では早期から注目されてきました。

日本でも、オフバランス化の流れが進んでいます。

「オフバランス化」にはいろいろな手法があります。

わかりやすくご説明するのは難しいのですが、キャッシュフロー経営もその一つです。

売掛債権を早めに売って資金にして、また再投資する手法ですね。

つまりは現金収支に重きをおいた経営のことです。

ただ、どのような手法にもリスクはあります。

キャッシュフロー経営は、時代の流れを読む先見性がないと落とし穴もありますし、リースにしても、賃料が割高になればコストがかかることになり、「オフバランスでは儲からない」と判断する経営者もいます。

不動産の立地条件や自社の経営状態を考慮して、安易にオフバランス化の流れに乗せられないような判断も必要かもしれません。

長期的な視点を持ってオフバランス化を考える

オフバランスとは、貸借対照表に載せないことで、それによって企業価値が高まる場合があります。

しかし、オフバランス化によって資産を失い利益も得られなくなるのでは、「企業価値の向上」という目的は結局は果たせません。

長期的に見て本当に必要なことなのか、また、賃貸にすることで使い勝手はよくなるのか、など慎重に検討して決断することが必要です。