賃貸契約を結ぶときに、家賃保証会社を利用する大家さんが増えてきています。
これを利用している物件では、入居者には初期および月額で家賃保証料が発生するのです。
もし、借りている部屋を事務所として使用する場合、この家賃保証料はどのように仕訳されるのでしょうか。
この記事で解説していきます。
家賃保証料って何?
まずは、家賃保証料がどのようなものかをご説明していきましょう。
賃貸物件に入居しようと考えた場合、大家さん(もしくは不動産会社)と賃貸契約を結ぶことになります。
その際に、保証会社に加入するように言われる場合もあり、このとき保証会社に支払う保証料を「家賃保証料」といいます。
なぜ、大家さんではなく保証会社に支払うのかというと、万が一、家賃が滞納してしまったときに、自分の代わりに保証会社が大家さんに家賃を支払ってくれるのです。
「保証会社が支払ってくれた!ラッキー!」ということではなく、この後は保証会社が立て替えた家賃を請求してきます。
大家さんの中にも別の仕事をしている方もいますから、家賃が支払われない度に請求にいくのは難しいです。
また、直接請求に行くのが苦手な大家さんもいることでしょう。
そんな大家さんたちにとって、保証会社を間にはさめば請求に行かなくても家賃が未納となることが防げるので、最近利用する大家さんも多いのです。
また、連帯保証人がいない借主にとっては保証会社に加入することで、連帯保証人代わりにもなってくれますから、こういった方にはありがたいかもしれませんね。
それではもし、借りる部屋を事務所として使う場合、この家賃保証料はどのように仕訳されるのでしょうか。
会社ではマスト!仕訳とはどういうもの?
個人事業主や会社を経営している方の中には、事務所として部屋を借りることもあるでしょう。
そういった方の場合、家賃保証料はどのように仕訳されるのでしょうか。
ちなみに仕訳とは、簿記上の取引を仕訳帳に記入することをいいます。
簿記上の取引というのは、会社の財産などが増減する取引を指します。
より具体的にご説明すると、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の5つの要素がそれぞれ増減することで、簿記上の取引が発生するのです。
このような会社の事業として出入りしたお金などを記録していくことが仕訳です。
個人事業主の場合、仕事と私用が混在するケースが多いですが、あくまでも事業や経費として認められるものが仕訳の対象となります。
借りている部屋を事務所として使う!家賃保証料は経費になるの?
事業や経費として認められるものに対して仕訳も行われるわけですが、家賃保証料も経費として認められるのでしょうか。
経費について簡単にご説明すると、事業を行ううえで要した費用をいいます。
よく耳にする水道光熱費であったり、通信費、交際費などは、事業で必要なものであれば全て経費となるのです。
もちろん、事務所としてお部屋を使っているわけですから、当然家賃に関しても経費と認められます。
それでは、家賃保証料はどうなのでしょうか。
結論から申し上げれば、家賃保証料についても経費として認められます。
事務所として使っているわけですから、家賃同様、保証料も事業のために要する費用となるわけです。
そのため、家賃保証料も支払った際には仕訳を行わなくてはなりません。
仕訳をするには勘定科目が必要となりますが、これについては次項でご説明しましょう。
家賃保証料を仕訳!そのときは何の勘定科目を使う?
それでは家賃保証料を支払った場合、どのように仕訳をするのでしょうか。
まず、仕訳をするのに必要になる勘定科目についてみていきましょう。
勘定科目というのは、会社を経営していくうえで発生する収益と費用を記録するための分類項目の名称をいいます。
これを使って仕訳を行うことで、「何でお金をいくら使ったか」や「何で利益を得たか」をいつだれが見ても把握することができるのです。
そのため、お金を使ったり得たりしたときには、その都度仕訳を行わなくてはいけません。
家賃保証料も同様で、保証会社に支払ったときは、そのときに仕訳をしておくことが重要です。
家賃保証料はどのような勘定科目を使って仕訳されるかというと、仕訳の説明の中で5つの要素が出てきましたね。
この5つの要素の中に、数多くの勘定科目が存在しますので、該当するものを選んで仕訳を行います。
家賃保証料の場合は、費用という要素に属する「支払手数料」で仕訳をします。
実際の仕訳のやり方については、次項でご説明していきます。
支払手数料で仕訳!そのやり方について解説!
家賃保証料を仕訳をする際に使用する勘定科目がわかったところで、実際にどのように仕訳をするかをご説明します。
仕訳をする場合は、借方勘定と貸方勘定と呼ばれるところに、勘定科目と金額を記入していきます。
先ほど、支払手数料は費用に属するということをお伝えしましたが、費用が増えた場合は「借方」の方に記入します。
そのため、もう片方の貸方勘定には、支払手数料をどのように支払ったかを説明するための勘定科目を記入しなくてはなりません。
もし現金で支払ったのであれば「現金」、事業用の口座から支払ったのであれば「普通口座」となります。
例として、家賃保証料4,000円を現金で支払った場合の仕訳をみてみましょう。
このときの仕訳は、
(借方)支払手数料4,000円/(貸方)現金4,000円
となります。
「何を」「何で」「いくら」支払ったのかを、これを見れば大体わかりますよね。
このように仕訳を行っていくことで、どのようにお金を使い、そしてどのようにお金を得たのかを把握することができるのです。
事務所兼自宅の場合!仕訳のやり方は同じ?
先ほどまでは、借りているお部屋を全て事務所として使っている場合に仕訳についてお話をしてきました。
しかし、中には、自宅兼事務所にしている個人事業主の方もいるのではないでしょうか。
自宅兼事務所にしている場合でも、仕訳のやり方は同じなのでしょうか?
基本的には同じですが、違う部分もあります。
家賃保証料を会社の経費にできるのは、あくまでも事務所として使っているスペースの分だけです。
そのため、半分半分で自宅と事務所を使っている場合、経費にできる家賃保証料は50%分だけとなるのです。
したがって、家賃保証料を初期で3,000円、月額で1,000円を現金で支払ったときの仕訳は、
初期分:(借方)支払手数料1,500円/(貸方)現金1,500円
月額分:(借方)支払手数料500円/(貸方)現金500円
となるのです。
使用する勘定科目は同じですが、金額が異なってきます。
自宅と事務所をどのくらいの比率で使用しているかで仕訳する金額も違いますから、自宅兼事務所としている場合は金額に要注意です。
家賃保証料も支払ったら仕訳を行おう!
事務所として部屋を借りているのであれば、家賃同様、家賃保証料も経費となり仕訳を行わなくてはなりません。
全て事務所として使っている場合は、使う勘定科目さえわかっていれば問題なく仕訳はできるでしょう。
自宅兼事務所とする場合は金額に違いが出ますが、使用する勘定科目は同じです。
事務所として使っているスペースの割合を把握し、経費として計上するようにしましょう。