金の価値を決めるのはその含有量にあります。
金でできたジュエリーなどには、K18、K24、750や416といった金の含有量をしめす刻印が施されています。
その刻印は金の含有量や製品がつくられた国によって違い、また種類も多く存在します。
すべて知っている必要はありませんが、貴金属に施された刻印は、それが本物かどうかを見分けるための手がかりとなるので知っておいて損はありません。
金の刻印の種類
一口に金といっても、その種類はとても多いことをご存知ですか?
同じ金をつかったジュエリーでも、含まれる金の量や金以外の金属によって色味などに違いが出ます。
そして、それぞれの製品には金の量(純度)を示す刻印が施されていることがほとんどです。
この項目では、日本で使われる刻印についてご紹介していきます。
●K24
24金と呼ばれるもので、日本では金の量が99.99%のものに限りこの刻印が押されます。
●K22
22金と呼ばれ、金の量は91.7%、そのほかの金属としては銀や銅、ニッケルなどが含まれます。
●K20
金の量は83.5%でのこりの16.5%には22金と同様に銀、銅、ニッケルなどが含まれます。
●K18
18金と呼ばれ、金の量が75.0%、残りの25.0%に含まれる金属により色味が変わる場合もあります。
●K15
金の量62.5%のもので15金と呼ばれます。
●K10
58.5%の金が含まれるもので10金と呼ばれます。
この他に、メッキ製品にも刻印が施されり場合もあります。
●GP
GOLD PLATED(金メッキ)
●GF
GOLD FILLED(金張り)
例えば18金の金メッキが施された製品には「K18GP」と刻印されます。
日本の金の含有量を示す値は24分率が採用されているため、単位はカラット(karat、記号:K)が使われます。
それでは、海外ではどのような表記がされているのでしょう。
時おり見かける、「750」や「416」といった数値の意味するものは何なのでしょうか。
K18と750は同じ?
日本では24分率を元にしたカラットを使用しますが、1000分率での表記方法もあります。
例えば、「750」は金の重量比率75%を1000分率に直した表記になります。
これは18金と同じ純度を示しており、買取査定の場合にも価格を決める手がかりのひとつになります。
このほか、24金が「999」、10金が「416」というように金の重量比率に応じた表記になっています。
1000分率での表記は主に海外製品に多いようです。
海外では貴金属の盗難、粗悪品の流通を防ぐため、厳しい刻印制度を取り入れている国が多くあります。
特にイギリスでは、刻印制度が700年も続いているといわれています。
そのため、刻印の種類も豊富で純度を示すものの他に鑑定場所、鑑定した年を打刻している場合もあります。
海外の刻印についてもう少しみていきましょう。
イギリスと同じく厳しい刻印制度のあるフランスでは、数字ではなく鷲やサンジャック貝などのモチーフによって金の純度を表します。
金以外にも様々なモチーフがあり、デザインによってつくられた年代が分かることもあります。
一方、アジア圏の中国の金製品は「志那金」と呼ばれ漢字を使って純度を表すことが通例です。
99%の純度なら「足金」、より純度の高い99.9%では「千足金」、さらに高い99.99%になると「万足金」と表記されます。
日本での評価は「足金」が22金、「千足金」が23金、「万足金」が24金となります。
これは、中国の金の純度にばらつきがあることが多いためだとされています。
750に限らない!刻印された貴金属は本物の証
ご紹介したように、日本に限らず世界中にさまざまな刻印の表記方法があります。
国ごとに違いはありますが、どの刻印も打刻された金製品が本物であることを意味しています。
日本での表記方法だけでなく、海外で採用されている表記を覚えておくと、旅行先で金製品を購入するときにも本物かどうかの判断材料になります。
特にイギリスやフランスなどでは金に限らず貴金属製品は刻印制度のもとに厳しく取り扱われていますから、刻印を頼りに製品選びをすると安心です。
また、各国の造幣局等の機関によって貴金属製品の純度を証明するホールマーク(純分認証極印)と呼ばれる刻印が打たれていた場合、その貴金属製品のは国が認めた品物だといえます。
これらのことから、貴金属製品に刻印が打たれているということが信頼の証であるといえます。
しかし、厳しく取り扱われる中にも金製品の偽物が存在しています。
そういった偽物には純度をごまかすために高い純度の刻印を打つ、金の比重と似たタングステンという金属を使うなどの手法が用いられたりします。
さらに、メッキ製を表す「GP」の刻印がされていなかったり、留め具やチェーンなどをつなぐマルカンと呼ばれる部品に金以外の素材やメッキを使用することもあります。
なかにはタングステンに金色に加工した銅メッキが施されるなど、全く金を使わないものに金の純度を表す「750」や「K18」といった刻印がされている悪質なものまであるようです。
刻印が無くても偽物を見分ける方法
金製品の多くは「K18」「750」などの刻印があり、一目で金の純度や価値が判断できます。
それでもなかには刻印のないものもあり、そういった金製品の真贋の判定は非常に難しいため、さまざまな方法を試す必要があります。
素人目には偽物であると断定することは、まずできません。
しかし、偽物かどうか疑わしい場合に確かめる方法がいくつかあります。
自宅でも試せる方法なので、判断材料のひとつと捉えて試してみてはいかがでしょうか。
【金製品の真偽を確かめる方法】
●磁石を当てる
金は磁石に付かないので、この方法で純金かどうか確かめることができます。
しかし金合金の場合や金メッキの場合、金と同じように磁石に付かない金属が含まれることがありますので、この方法だけで断定することはできません。
●色味
純金の色は、一般的にオレンジがかった山吹色をしています。
純度が下がるにつれて黄味がかっていき10金程度のものになると他の金属の量が増えていくため暗くくすんだ色になります。
●比重
金製品を水の中で浮いた状態にし、金製品を入れる前と後で水の重量をはかり金製品の体積を求めます。
水の重さを1としたとき、24金の比重は19.13~19.51、18金であれば14.84~16.12となるのでこの比重の差を利用して本当に金でできているかどうか調べることができます。
●試金石
この方法は江戸時代から用いられているものです。
「那智黒石」という黒い石の板の上をで金製品をこすり、色の濃さや残り方で純度を判断します。
ただし試金石を使うには製品を少なからず傷つけてしまう上、ある程度の経験がないと正確な判断ができません。
これらの方法で本物の金を見分ける手がかりをつかむことができます。
しかし、自己判断で決めつけてしまうのは危険です。
一番確実なのは、信頼できる買取店へ持ち込み査定してもらうことです。
750の刻印がされた金製品の価値相場とは
前項で、金製品が本物か偽物かを判断するの難しさについて触れました。
金のジュエリーや金でできた宝飾品を持っているなら、確かな価値を知りたいと思うのものです。
手元の製品に刻印がある場合は、その刻印の情報を元にどれほどの価値があるのか調べることができます。
たとえば「750」の刻印は18金と同等であるので、1gに付きおおよそ3,000円程度、「999」「K24」は5,000円以上の価値があります。
また、純度は低くても人気のあるデザインや色のもの(ピンクゴールドのリングなど)でも、思った以上の価格になることもあります。
査定対象がジュエリーであっても金としての価値が基本となりますが、使われている石の価値が高いと品物自体の価値が上がる可能性もあります。
そして買取を考えるのであれば、相場のチェックも欠かせません。
もちろん、買取店でも売り時かそうでないかの判断をしてくれますが、金の売買は額が大きい取引になるので自分で金相場の変動を確かめておくことも大切です。
金を売りたい!買取店を選ぶときの注意点
刻印の意味が分かってくると、手元のジュエリーや金製品がどのようなものなのか分かってきます。
「750」「416」など、見慣れない刻印があっても、その意味を取り違うことがなくなり、確かな金の価値を判断することができるようになります。
これらの刻印に関する知識を得たうえで、実際に金を売ると決めたら買取店選びは慎重に行いましょう。
いきなり持ち込むことはせず、まずは行く予定の買取店に電話をして、金の買取価格と手数料を訪ねてみましょう。
このときに電話での回答を避けるような店舗には、行くことを考え直した方がいいかもしれません。
電話回答してもらえたら持ち込む予定の金の重さを計り、価格、手数料を試算してみます。
金の量がそれほど多くない場合には、交通費や時間をかけて遠くの店舗に行くよりも近所で買取をしてもらう方が得になることもあります。
また、個人経営の小さなリサイクルショップも避けた方がいいかもしれません。
確かな評判や設備があればいいのですが、金を精密に計量するためのスケールが無いなどで、正確な査定が望めない可能性もあります。
刻印を知ることは金の価値を知ること
金の質や品位は見た目からもわかることですが、それを確かなものにするのが、本記事でご紹介してきた刻印です。
目立たない場所にあり、とても小さなものですが、ひとつひとつの持つ意味は大きなものです。
刻印の情報を正確に読み取り、自身の持つ金の価値を確かなものにしましょう。