【アパート経営】エアコン等・設備の修理代は絶対貸主負担?

アパート経営を始めてまもない新米オーナーさんにとって、高額な設備の修理代や交換費用などの出費は悩ましいものですよね。

エアコンなどの備え付けの設備は、交換しようと思うとどのくらい費用がかかるものなのでしょうか。

また、修理代を少しでも安くする方法はあるのでしょうか。

エアコンなどの設備の修理代を借主が負担するケース①

アパートの設備に関する入居者の要望には、オーナーとして、できる限り迅速に対応していきたいものです。

どんなものでも必ず経年劣化していきますから、突然設備が故障して修理代が発生しても対応できるように予算を準備しておくことが必要です。

また、アパートの設備において、どの設備に関する修理費や交換費用を貸主側が負担するのかについては、契約書でも取り決められていることと思います。

一般的に、入居者が入居時に持ち込んだものや、個人的に購入して後から設置したものについては、貸主がその修理費を負担する必要はありません。

ガスコンロやエアコンについても、入居者による設置であれば修理費は入居者自身が負担することになります。

しかし、長年アパートに住み続けると、入居者側が設置した設備なのかもとからあった設備なのかを忘れてしまう入居者もいます。

その場合は、しっかりと「こちらには修理する義務がない」ことを説明しましょう。

また、エアコンなどの備え付けの設備を、入居者が管理会社や貸主に連絡なしに交換してしまった場合、その費用を支払う必要はありません。

もちろん、逆の立場でも同様です。

当然ですが、入居者の了承を得ずに勝手に交換して、費用を家賃に上乗せすることはできません。

エアコンなどの設備の修理代を借主が負担するケース②

アパートの設備の修理代を、貸主と借主のどちらが負担すべきかということに関しては「もともとの備え付けの設備だったか」という基準以外にも考慮すべき点があります。

それは、借主の故意や過失によって故障してしまった場合です。

例えばエアコンの場合なら、水漏れが発生していることに気が付いても貸主に連絡せず、そのまま使い続けてしまったことでエアコンが修理不可能な状態になり、壁も水濡れによって傷んでしまって被害が拡大してしまったというようなケースです。

「賃貸物に異常を確認したら、速やかに貸主に通知する」という義務があることは、多くの場合は契約書にも明記されているかと思います。

早めに判明していれば修理費用が嵩まずに済んだところを、借主が放置したことによって被害が拡大し、必要以上の修理費用がかかる状態になってしまったのであれば、エアコンに加えて壁の修理についても借主負担が発生すると考えるのが妥当なところです。

また、借主の退去時に、経年劣化の観点から考えても納得ができないほどの設備の故障や、部屋の著しい損傷状態を確認した場合にも、修理費の一部を借主が負担すべき状況であると言えるでしょう。

部屋の損傷の例としては、家具の不適切な使用が原因で起きた床の大きな傷、冷蔵庫まわりの黒ずみやカビ、錆については、経年劣化には該当しません。

退去時は、こうしたことでトラブルになりやすいのですが、貸主に支払いの責任がない範囲まで修理費用の負担をしないように注意してください。

アパートの設備に関するオーナーとしての心得

繰り返しになりますが、アパートの入居者から「エアコンの修理代を払って欲しい」といった要望があった場合、その対象となる設備が部屋にもともとあったものかどうかを確認しましょう。

契約書には、必要な設備については修理費用を負担する、という内容を記載していることが多いですが、細かな点についてもう一度確認してみるのもいいでしょう。

また、もし契約書に記載がなかった場合でも、民法606条1項にあるように「賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」のですから、こちらが修理費を負担することになります。

ただし、必要以上に高機能で高価なエアコンへの交換であったり、単なる経年劣化とは考えにくい修理内容だった場合は、その限りではありません。

具体的には「子供がエアコンにボールをぶつけてしまって故障した」というような場合の修理費まで貸主側が支払う必要はないということです。

時には借主が「必要な修繕」の意味を誤って理解しているケースもありますから、双方でよく話し合い、お互いが納得できるような形で対処してください。

アパート設備の修理代が「小規模修繕」にあたる場合

原則的に、設備の修理代は貸主の義務だとしても、「小規模修繕」については借主に行ってもらう、という契約にしておくことが可能です。

小規模修繕とは、エアコンの修理といった費用が高額になる修繕ではなく、電球の交換や水道パッキンの交換といった少額な備品の交換がこれに当たります。

他にも、障子の張替えや給水栓の取り替えなども借主に行ってもらうことができます。

これは、賃貸借契約の際に特約事項として定めることで、双方にとってスムーズに物事を運ぶために、多くの賃貸アパートで取り入れられていることです。

貸主にとっては修繕費用の負担が少なくなりますし、借主にとってはわざわざ連絡して部屋に来てもらう手間が省けてすぐに対処できるので、お互いに都合がいいことだと考えられます。

しかし、借主が修理や交換を拒んだ場合は、借主側での対応を強要できるものではありません。

小規模修繕に関しての特約を結んでいたとしても、本来はこちらが修繕費用を支払うべき分費用を、借主側に善意で負担してもらっているという見方をしておくことが好ましいでしょう。

アパートのエアコンの修理代・交換費用を割安にする方法

アパートのエアコンの故障は、中古物件において頻繁に起きやすいトラブルの一つです。

エアコンの修理代だけでは済まず、丸ごと交換しなければいけないとすると、撤去代や処分費、取り付け工事、交通費などを考えると、交換費用として10万円近くかかってしまいます。

この費用を少しでも節約するには、何部屋かまとめて交換して割引してもらったり、自分で大規模家電量販店を回って型落ち商品や格安品を購入し、取り付け工事を依頼する方法などがあります。

また、できれば、所有しているアパートの近所で電気工事が得意で一人親方として仕事されている方や、業者を調査しておくことも役に立ちます。

内装から電気設備まで請け負うことができる多能工の職人が少人数で仕事している業者なら、多少、割安におまかせできることがあります。

貸主として信頼できる業者と取引し、毎回の修理をしてもらえるように話をつけておくことで、一軒一軒の修理費を安くできますので、事前に対策を練っておくことが重要です。

エアコンの修理の際の注意点

貸主側でアパートのエアコンの修理代を負担したり交換したりする場合の注意点はいくつかありますので、ここでお伝えしておきます。

まず、エアコンの故障が起きた場合には、故障の原因をしっかり把握しておくことが重要です。

何らかの不手際によってエアコンが破損した場合に、同じ間違いによるエアコンの破損を防ぐことができるからです。

また、エアコンの型番が古い場合は、修理で解決できるとしても、交換してしまった方がお得な場合もあります。

なぜなら、修理で直ったとしても、またすぐに交換ということになるケースが多いからです。

エアコンを新品で設置してから使用不可能になるまでの期間は、だいたい10年~15年だと言われています。

ものによっては20年くらい持つこともありますが、この年数を超えていれば交換したほうが得かもしれません。

賃貸アパートの不具合に適切に対処しよう

以上、賃貸アパートに備え付けの設備について、修理・交換費用を貸主側が負担しなければならないケースと、借主側が負担するケースについてご紹介してきました。

貸主側が負担しなければならないケースには、ここまでに紹介したような様々な工夫をして、なるべく安くエアコンの修理・交換を行えるようにしましょう。

また、修理か交換かの見極めもコスト削減に重要ですから、エアコンの型番は意識してチェックしてみましょう。