なにかと物騒な世の中ですから、防犯のために、自ら対策をしている入居者も多いのではないでしょうか。
部屋の窓から泥棒の侵入を防ぐ効果のある、防犯フィルムが人気ではありますが、このフィルムをはがすことは、なかなか難しいです。
今回は、入居者が貼った防犯フィルムのはがし方を、ご紹介します。
窓ガラスを割って侵入してくる
住宅を襲う空き巣ですが、どこから侵入してくるのでしょうか。
以前はピッキングで玄関からの被害が多かったのですが、現在は複雑な構造の鍵が多いため、ピッキング被害が減少してきました。
しかし、空き巣自体が減ってきたのではありません。
どこから侵入するかというと、およそ7割近く窓から侵入しています。
窓の鍵がかかっていたとしても、鍵の近くの窓ガラスを割って鍵を開ければ、部屋に入ることができるのです。
大家さんからしたら、狙われやすい物件にしたくありませんし、もし空き巣被害に遭ってしまったら、住んでいる人も気が気ではないですよね。
はがすことが難しい防犯フィルムを入居者が「貼ろう」と考える前に、大家さんができる防犯対策はないのでしょうか。
住宅侵入に5分以上の時間が掛かりそうな物件は、約半数近くが、侵入を諦める傾向があるようです。
そこで、窓を破壊するまでに時間が掛かる、面格子の取り付けを視野に入れてみてはいかがでしょうか。
大家さんができる窓の防犯対策は?
住居の窓からの防犯機能を高める面格子ですが、種類がたくさんあります。
防犯機能が高いと言える面格子は、以下の通りです。
●ステンレス面格子
硬い素材でできているステンレス面格子ならば、簡単に破壊することは困難なので、防犯機能は高いです。
●室内面格子
室内に面格子があるので、外から破壊ができません。
こちらも値段は高くなりますが、防犯機能の高い面格子と言えます。
どちらも普通の面格子と比べると、値段は高くなりますが、入居者の安全を考えて、こうしたことも視野に入れてみましょう。
反対に、破壊されやすい面格子とは、どんなものなのでしょうか。
▼ビスが外部に露出した取付方法
ネジやボルトが露出していれば、ドライバーなどで簡単に外されてしまいます。
▼接合部が少ない
縦格子などはバールを使えば、すぐに破壊できてしまいます。
こういった面格子では、防犯機能としては高くありません。
せっかく取り付けていても、こうした面格子に防犯機能が高くないことを知っていれば、防犯フィルムを貼ろうと思う方もいることでしょう。
後ではがすことが難しい防犯フィルムを、入居者が貼らなくてもよい防犯対策は、他にあるでしょうか。
窓に雨戸を付けて防犯対策
窓からの侵入被害を高める方法は、まだあります。
雨戸やシャッターです。
雨戸やシャッターは、開け閉めする必要があり、音がします。
雨戸やシャッターが閉まっていれば当然、開けなくては中に入れません。
そのため、空き巣をするには、手こずる物件と言えるでしょう。
手こずる物件ということは、空き巣が嫌う物件とも言えるでしょう。
雨戸やシャッターは防犯以外でも、断熱や防音、プライバシーの確保もできます。
自然災害である暴雨や台風など、防雨の対策にもなります。
従来の引き違い方式の雨戸は、開閉するときに室内の窓を開けなければいけません。
寒い冬は、冷たい風が入り込んできて、室温が下がってしまうといった難点がありました。
しかし、窓の内側に取り付けられる室内タイプの雨戸もあります。
室内から取り付けることができるので、アパートなどの賃貸物件でも設置可能です。
そして、開閉するときに、冷たい風が入り込んでくる心配もありません。
また、鍵をかけられる構造で、万が一隙間から手が入れられても、鍵が開かない仕掛けになっているものもあります。
内窓が付いていたり、木枠の幅がある程度確保できないと取り付けられないですが、防犯機能面でいえば、検討してみる価値があります。
しかしながら、大家さんがこうした対策をする前に、入居者が防犯フィルムを貼って防犯対策をするかもしれません。
なかなかはがすことが難しい防犯フィルムですが、どういった効果があるのでしょうか。
はがすことは考えず防犯フィルムを貼ると
窓からの侵入で多いのは、ガラスを割って鍵を開ける手口が多いとお伝えしました。
メディアでも、こうした手口から住宅侵入を防ぐ方法を放送していることから、賃貸アパートに住んでいる方も、防犯対策に踏み切るのではないでしょうか。
誰も、空き巣被害には遭いたくないですからね。
手軽に、そしてコストも掛けずに窓からの侵入を防ぐ方法として、防犯フィルムがあります。
この防犯フィルムは窓に貼るだけで強度が増し、空き巣をしようと窓ガラスをたたき割っても、簡単に割れない仕組みになっています。
防犯の面でお話すると、窓全体に防犯フィルムを貼るのが一番です。
しかし、貼る面積が大きくなればコストは掛かりますし、なかなか素人ではうまく貼れません。
そこで、窓の鍵付近だけ、防犯フィルムが貼れる商品が販売されています。
鍵付近に防犯フィルムを貼るといっても、できるだけ広範囲に貼る必要があります。
なぜなら、防犯フィルムが貼られていない場所を割られて、手を伸ばせば鍵に行き着くようでは、何の意味もないからです。
そういったことから、窓全面に貼っていなかったとしても、広範囲で防犯フィルム貼ることになるのです。
防犯のためと入居者が対策をしたまでは良いのですが、この防犯フィルム、なかなかはがすことが容易ではないのです。
窓に貼られた防犯フィルム。はがす?はがさない?
入居者が防犯のためにと貼った防犯フィルムですが、退去時に、はがさなくてはいけないのでしょうか。
大家さんは、はがすか、はがさないかで、とても迷いますよね。
通常であれば、防犯フィルムや窓ガラスフィルムは、部屋の資産価値があります。
大家さん側としては、資産価値の上がる防犯フィルムを、わざわざはがさなくても良いのではないでしょうか。
新しく入居する人も、「防犯フィルムが貼られていて困る」といった人は、おそらく少ないでしょう。
しかし、以下のケースでは、フィルムをはがすかはがさないかは、大家さんの判断が必要になってきます。
・防犯フィルム自体の劣化(防犯効果が薄れている)
・正しい位置に貼られていない
・見た目が汚い
・新しい入居者がはがして欲しいとの要望
中には、粘着力がある業務用のフィルムが貼られている場合があります。
この場合は、専用の道具や工具を使い、専門的技術を持っている人がはがさないと、窓ガラスの表面を傷つけてしまう原因になります。
窓ガラスの交換となると、大きな出費になってしまいます。
ご自身ではがせない状態であれば、専門の方にお願いをして、はがしてもらいましょう。
窓に貼られた防犯フィルムをはがす工程
先ほどお話した通り、粘着力の強い防犯フィルムの場合は、ご自身ではがそうとすると、窓ガラスに傷が付いてしまいます。
専門の方にお願いすると、どのように防犯フィルムをはがしていくのでしょうか。
まず、防犯フィルムをはがすことに適した工具を使い、専用の洗剤でフィルム部分をはがしていきます。
接着面が残るので、窓用スクレーパー(三枚刃)を使い、丁寧にはがすといった工程です。
時間も労力も掛かり、正しい順序で進めていかなくてはなりません。
窓用スクレーパーを使いこなせていなければ、窓ガラスに傷をつけてしまう危険性があります。
必ず、専門の方にお願いしましょう。
ホームセンターなどで販売されている粘着力の弱い防犯フィルムなら、大家さんでもはがすことができる場合もありますので、ご紹介します。
①防犯フィルムにドライヤーを当てて温めていきます。
②温めながら窓ガラスを傷つけないように注意し、カッターなどで一方向に5~10cmの筋を入れましょう。
③接着面が残るので、中性洗剤を薄めた水溶液を吹き付けて、5分ほど放置しましょう。
④糊が浮いてきたら、ヘラを使い、取り除きましょう。
空き巣被害に遭わないために
一番は空き巣に遭わないことが良いですが、いつ何時、被害に遭うかは誰にも分かりません。
大家さんからしても、ご自身の所有する物件が、空き巣被害に遭うことは避けたいですよね。
入居者の安全をまもるためにも、様々な防犯対策をすることが、求められている時代なのかもしれません。