1軒の家を購入することでさえ、人生では大きな決断になります。
家を手に入れる代わりに、長期間の住宅ローンの支払いをすることになるからです。
人生で一度の大きな買い物ですよね。
しかし、人によっては家をもうひとつ買うということもあります。
その場合、住宅ローンを二重で払うことになりますが、これは可能なのでしょうか。
二重の住宅ローンは可能?
住宅の購入は、ほとんどの人にとって一生に一度のことです。
したがって、通常、住宅ローンを組むのも一生に一度のことです。
しかし、さまざまな事情で、もうひとつ家を持つこともあります。
もうひとつの家を購入するので、もうひとつ住宅ローンを組むことになります。
住宅ローンを二重に組むことを、ダブルローン(二重借り入れ)といいます。
ひとつの住宅ローンを組むことも大変なことですが、それを二重に組むことは可能なのでしょうか。
答えは、可能です。
条件はありますが、絶対に出来ないというわけではありません。
人生では、いろいろなことが起こります。
例えば、住宅ローンを組んで購入した住宅を売却して、新しい住宅を購入するという場合です。
売却する住宅が、ローンの残債よりも高い値段で売れれば問題はありませんが、ほとんどの場合そうは行きません。
ローンの残債があると、抵当権を消すことができないため、住宅を売却をすることができないのです。
そのようなときに、ダブルローンが必要になります。
ダブルローンは、残債のある住宅ローンをそのまま残し、新たなローンを組むということになります。
現在の家の売却が成立するまで、二重のローンになりますが、売却が成立すれば大きな負担になることはないでしょう。
住宅の売却と購入のタイミングを合わせる必要がなくなるため、気に入った物件を自分のペースで選ぶことができます。
セカンドハウスでも可能なの?
前項のようなケース以外にも、ダブルローンを組むケースがあります。
セカンドハウスです。
例えば、週末を過ごす郊外の家が欲しい、便利な都心にマンションを購入したい、というときです。
このような場合にも、すでに自宅の住宅ローンを組んでいる状態で、二重で住宅ローンを組む必要があります。
しかし、そもそも一般的な住宅ローンは、本人が居住する家を購入するためのローンです。
本人が住むためであることを前提として、金利が安く設定されています。
そのため、多くの金融機関では、ひと世帯にひとつのローンが原則となっています。
それではこのケースでも、住宅ローンを新たに組むことは可能なのでしょうか。
答えは、こちらも可能です。
セカンドハウスローンや親族居住用住宅ローンなどの商品を取り扱っている金融機関があります。
このようなケースでも、条件を満たせば、二重でローンを組むことは可能なのです。
次の項では、その条件に付いて具体的にお話します。
住宅ローンを二重で借りるための条件①
それでは、住宅ローンを二重で借りるために必要な条件についてお話します。
まずは、「返済能力があること」です。
これは、一般の住宅ローンと同様です。
すでに借り入れている住宅ローン+新たな住宅ローンになりますので、返済が可能かどうかは厳しく審査されます。
現在の住宅ローンの返済額が8万円だとします。
新たな住宅ローンの返済額が10万円とすると、月の返済額は18万円です。
返済額は年間で216万円です。
これが、年収の35%以下であれば、ダブルローンを組むことが可能です。
この審査は金融機関によって多少違いがありますので、確認が必要です。
例えばフラット35では、返済比率が、
・年収400万円未満は30%以下
・年収400万円以上は35%以下
という基準が設定されています。
年収が500万円であれば、年間の返済額の上限が175万円ということになります。
ただ、注意が必要なのは、この返済比率には住宅ローン以外の借り入れも含まれているということです。
自動車ローンなどがある場合は、借入可能額がその分低くなります。
住宅ローンを二重で借りるための条件②
続いて、二重に住宅ローンを組む条件は、「投資用ではないこと」です。
セカンドハウスローンや親族居住用住宅ローンは、本人やその親族が居住することが融資の条件です。
投資目的で購入する物件に利用することは不可能です。
例えば、賃貸にするために購入するマンションなどにはこの住宅ローンは使えません。
近年、投資として賃貸物件を所有する人が増えています。
しかし、不動産投資目的の場合、金利が高い不動産投資用のローンを組む必要があります。
不動産投資目的の人が、金利を抑えるためにこの住宅ローンでマンションを購入し、いったん住んだあと別の人に貸し出したとします。
そのようにすれば、バレないのではないかと思う人もいるでしょう。
しかし、そのことが発覚すると、金融機関に一括返済を求められることになります。
住宅ローンを組む際は、虚偽の報告をしないことが、ご自身のためといえます。
買い替え時の住宅ローンの注意点
住宅を買い替えする場合のダブルローンには、注意点があります。
二重のローンを組んで、新たな住宅を購入し、売却予定の住宅が売却できていない場合です。
このとき、二重の住宅ローンを支払う事になります。
単純に考えても、今まで支払っていたローンを2倍支払う事になります。
これは、住宅が売却できるまで支払い続けなければなりません。
これが困難になると、安くても早く売却したいという気持ちになってしまいます。
それによって、思わぬ安値で売却してしまうことにもなります。
となると計画が狂い、完済できると思っていた住宅ローンが残ってしまうという結果になります。
また、売却予定の住宅がマンションの場合、値引きを打診されることが多くあります。
マンションを希望額で売却できることは稀です。
値引きによって、住宅ローンを完済することが不可能になるといったことも考えられます
ダブルローンは、そのような事態になったことも考えて組む必要があります。
セカンドハウスはぜいたく品!控除は不可能!
セカンドハウスローンを組む場合にも、注意点があります。
それは、金利の設定が高くなっていることです。
先ほどもお話した通り、通常住宅ローンとは、本人が居住するための住宅のためのものです。
そのため、金利が低く設定されているのです。
しかし、セカンドハウスはそうではありません。
居住のための住宅でないため、ぜいたく品とみなされて金利が高く設定されているのです。
金利が気になるようでしたら、先ほども出てきた「フラット35」がおすすめです。
フラット35は、住宅ローンと同じ金利で借りることが可能です。
さらに、全期間固定金利のため、返済額が金利に左右されません。
フラット35の借入限度額は8000万円ですので、借入金額がこれ以下でしたら、セカンドハウスローンとしてフラット35を選択肢に入れても良いですね。
さらにもうひとつ、注意点があります。
住宅ローン控除です。
二重の住宅ローンの場合でも、住宅ローン控除を受けることは可能なのでしょうか。
これの答えは、不可能です。
住宅ローン控除は、簡単にいうと「本人が住んでいること」で毎年控除することが可能になります。
居住が目的でないセカンドハウスは対象外です。
ローンを二重に組む場合は慎重に
二重の住宅ローンには、それなりのリスクもあります。
特に、セカンドハウスローンを組む際は慎重に検討することが求められます。
返済の負担、目的や利用価値などさまざまなことを考慮し、絶対必要だと確信した場合にのみ購入すると良いでしょう。