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建築基準法で居室としての採光計算は必要か?~工場の場合~

2019.6.13

建築基準法では、建物に対するさまざま制限がありますが、なかなか解釈の難しいものの一つに「採光計算」があります。

建築基準法や施行令などで、居室に関する採光については詳細に定められていますが、工場の場合はどうなのでしょうか?

居室の採光計算とは違う角度から紐解く、工場の採光計算について、詳しくご説明します。

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建築基準法の中の採光について

「採光」とは、屋外の自然の光を窓などの開口部を通して室内に採りいれることをいいます。

建築基準法の第28条には住宅、学校、病院、寄宿舎、下宿などの居室には採光のための開口部を設けるよう定められています。

採光に関する決まりは、店舗や工場、事務所というよりは、居住、またはそれに近い状態のような居室に対しての規定のようです。

採光が必要な居室の種類や、それらの有効採光面積は居室の床面積に対しての割合も決められています。

詳しくは後程ご説明します。

建築基準法では、「採光のための開口部」という言い方をしています。

しかし、開口部といっても「開く建具」じゃなくてもいいのです。

外からの光を採りいれる開口部なので、嵌め殺し窓(FIX窓)でも有効な開口部となります。

そして、採光とは「日当たり(直射日光)」ではなく、「天空光(自然光)」のことをいうので、北側の部屋の窓などでも「採光に有効な窓」とみなします。

建築基準法上の居室で必要な採光計算

建築基準法で定められている採光が必要な居室には、居室の床面積に対する採光に必要な開口部の面積の割合が決められています。

ただし、地下に設ける居室や、暗室などの用途上やむを得ない居室は除かれます。

(建築基準法第28条1項ただし書による)

採光が必要な居室の種類と、床面積に対する開口部の面積の割合は以下の通りです。

・住宅の居室のうち、居住のために使用されるもの:床面積の7分の1以上

・幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校の教室:床面積の5分の1以上

・保育所の保育室:床面積の5分の1以上

・病院・診療所の病室:床面積の7分の1以上

・寄宿舎の寝室、下宿の宿泊室:床面積の7分の1以上

・児童福祉施設等の寝室(入居者が使用するものに限る):床面積の7分の1以上

・児童福祉施設(保育所除く)の居室のうち、入所者・通所者に対する保育、訓練、日常生活に必要な便宜の供与等の目的のために使用されるもの:床面積の7分の1以上

・先に掲げた学校以外の、学校の教室(大学や専門学校など):床面積の10分の1以上

・病院・診療所・児童福祉施設等の居室のうち、入院患者・入所者が談話、娯楽等の目的のために使用されるもの:床面積の10分の1以上

このように、住宅、学校、病院、寄宿舎などの居室に対する決まりはあるものの、その他の建物には、特に明確には規定がありません。

店舗や事務所、工場などという建物の居室には採光計算に関する規定は、建築基準法には記載がありません。

建築基準法の無窓の居室とは?

それでは、店舗や事務所、工場には窓がいらないのでしょうか。

採光に関する規定だけを考えると、建築基準法上では店舗、事務所、工場などの建築物には窓のような開口部がいらないということになります。

ですが、建築基準法では「無窓の居室」という言葉があります。

無窓の居室とは一体何でしょうか。

建築基準法上で掲げる、無窓の居室の種類には大きく3つあります。

・防火上からくる無窓の居室

・内装制限による無窓の居室

・避難上の無窓の居室

この無窓の居室と、採光が大きくかかわってきます。(内装制限を除く)

結論から言うと、「居室の採光有効面積が居室の床面積の20分の1以下」の居室は、防火措置、避難措置が発生するということです。

ここでいう居室は、前述した建築基準法で定められた採光が必要な居室ではなく、建物の居室すべてになりますので、店舗や事務所、工場などの居室にも関係してくるということです。

無窓の居室になると、主要構造部を耐火構造または不燃材料で作らなければいけません。

避難上では、非常用照明の設置などが出てきます。

工場は居室?

居室の定義は「居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室のこと」です。

「工場」という建物に対し、その中の作業室や休憩室、事務室などがその居室にあたります。

工場の中の倉庫や更衣室、トイレなどという場所は居室になりません。

それを踏まえ、建築基準法の第28条1項で定められている居室には該当しません。

ですが、無窓の居室の判定に対しては該当します。

例えば、工場の作業室には採光に関する規定はありません。

だからといって開口部を設けないと、「無窓の居室」と判断されて、非常用照明の設置や避難通路の設置、主要構造部を耐火構造などにするなどの措置が出てきます。

無窓の居室というだけで、内装制限や防火上、避難上の制限がたくさん出てきて、建築基準法だけではなく消防法などの制限も受けます。

工場の採光の計算方法

「居室の採光有効面積が居室の床面積の20分の1以下」で無窓の居室と判断されます。

無窓の居室になると、前述したような建築基準法や消防法からくる様々な制限を受けてしまいます。

無窓の居室とならないためには、工場の採光計算はどのようにするといいのでしょうか。

工場の居室はおもに作業室、事務室や休憩室などといった部屋です。

これらの部屋に、床面積の20分の1以上の開口部を設けると、無窓の居室にはならないので、防火上の制限、避難上の制限などの制限を受けることがなくなります。

採光のほかにも、有効排煙面積や消防法の無窓階判定などが出てきます。

・有効採光面積:床面積の20分の1以上

・有効排煙面積:床面積の50分の1以上

・消防法の無窓階判定:各階の床面積(居室以外も含む)の30分の1以上(開口部の詳細な規定あり)

この3つをクリアするような開口部を設けることで、さまざまな制限を受けなくても済みます。

工場の採光と換気と排煙

居室の床面積に関する計算は、採光のほかにもあります。

換気と排煙です。

居室の換気設備は、床面積の20分の1以上の開口部を設けることとしています。

20分の1以下は無窓居室となり、換気設備が必要となります。

次に排煙ですが、建築基準法施行令第126条の二に「排煙上有効な開口部の面積の合計が床面積の50分の1未満の居室」(天井から下方80cm以内)という一文があります。

50分の1以下は無窓居室となり、排煙設備が必要となります。

換気も排煙も、採光と違うのは開くことのできる開口部であることです。

換気や排煙は、空気の流れにより、換気や排煙を促すものなので、窓などの開口部が開いた部分の面積が算定されるということになります。

工場に関しては、有効採光面積と換気面積が同じ床面積の20分の1以上なので、「開くことのできる開口部」が20分の1以上あれば、それで採光も換気もクリアすることができるといえます。

排煙に関しては、工場の作業室などは天井が直天井だったり、天井高が高いものが多いと思います。

採光面積も含めた明かり取り用の窓以外に「排煙窓」を設けると、排煙の問題もクリアすることができます。

ちなみに、排煙窓はアルミなどのパネル仕上でも問題ありません。

そして、排煙窓の開口面積も、有効換気面積に含むことができます。

工場の居室には採光は必要ないが無窓の居室を理解して開口部を設けよう

建築基準法では、工場の居室に採光は必要ありません。

しかし、違う角度から法律を紐解くと「無窓の居室」という困難な壁に当たります。

この無窓の居室は正しく理解しておくことが大切です。

工場の作業室のような大きな面積を持つ居室でも、採光や換気の条件をクリアするような開口部を設けると建築基準法や消防法のさまざまな制限が緩和され、かつ設計の幅も広がります。

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