家賃の更新料の帳簿記入!金額によって科目が変わる?

現代人にとって、お金の管理はとても重要ですよね。

そして、それは賃貸物件の借り主も同じです。

賃貸物件に住んだり、事務所や店舗として使ったりしていると、家賃の他に更新料を払いますよね。

しかし、それを帳簿につける際、どの科目で処理するかは、更新料の金額によって異なることをご存知でしょうか。

今回は、更新料を帳簿に記入する際のルールについて学んでいきましょう。

賃貸物件で家賃の他に更新料を払うのはなぜ?

賃貸物件に住んでいたり、賃貸物件を事務所として使っていると、毎月家賃を大家さんや管理会社へ支払いますよね。

しかし、決められた年数(2年など)が経過すると、その物件の契約を更新する時期が必ずやってきます。

そして、賃貸物件を借り続ける(そこに住み続ける、そこを事務所として使い続ける)となると、「更新料」の名目で、家賃の数ヶ月分を大家さんや管理会社に支払わなければなりません。

これは、当たり前のことですね。

もちろん、「なぜ賃貸契約を更新するたびに更新料を払わなければならないのか」と、疑問に思っている人もいることでしょう。

しかし、家賃の「更新料」は、「その物件を次の更新まで使わせていただけることに対してのお礼」と考えれば、多少は納得しやすいのではないでしょうか。

そして、事務所や店舗として物件を借りている場合は、支払った更新料についてもきちんと経理処理する必要があります。

また、住居として住んでいるだけの場合であっても、会社員ではなく、個人事業主であったりする場合には確定申告が必要なケースがあります。

その際、必要になるのが、正しい「科目」での経理処理や帳簿記入です。

これができないと、申告する際にトラブルが発生することがあります。

次の章では、「科目」について学びましょう。

帳簿記入の「科目」とは?間違えるとどうなる?

先ほど、「科目」という言葉がいきなり出てきましたが、科目とは帳簿に記入する「勘定科目」のことです。

そして、この「勘定科目」は、家賃の更新料に限らず、全ての経理処理をする際にとても重要な意味を持ちます。

なぜなら、正しく経理処理をしないと、税務署から「不正な経理処理をしているのでは?」と疑われ、指導されたりするからです。

知らなかっただけなのに、不正を疑われるのは嫌ですよね。

そして、経理処理の間違いが発覚したら、そのたびに修正して申告をしなければなりません。

その他にも、間違った経理処理をしてしまったら、出てきた数字は本当のものではなくなります。

今、事務所や店舗に資産や利益がどれだけあり、負債がどれだけあるのかは数字で判断しますが、その根拠となる数字が間違っていては、会社の本来の姿も見えなくなってしまいます。

それを防ぐためにも、正しい帳簿記入をすることがとても重要になってくるのです。

また、更新料の帳簿記入を考える際には、その金額の大小によって勘定科目が変わるという点もよく理解する必要があります。

詳しくは、次の章で見てみることにしましょう。

更新料はその金額によって科目が違う?

先ほど、「更新料は、その金額の大小によって勘定科目が変わる」とお伝えしました。

家賃の更新料を帳簿記入する際の勘定科目は、「経費(支払手数料)」か「長期前払費用等(繰延資産)」になることが多いです。

しかし、支払った更新料をそのどちらで処理するかは、更新料として支払った額が「20万円を超えているかいないか」を基準に判断します。

ここで疑問がわいてきますよね。

・賃貸物件を事務所や店舗として使う場合も、住居として使う場合も、同じ家賃の更新料なのに、なぜ金額よって勘定科目が違うのか

・なぜ更新料の科目が20万円で区切られているのか

の2点が気になるのではないでしょうか?

もちろん、それには理由があります。

まず、更新料は、「支払いの効果がすぐではなく、数年後に影響してくるもの」です。

そのため、賃貸物件の利用目的に関わらず金額で判断し、「支払った時点では、経費にできない」というのが原則になっています。

また、基準が20万円となっているのは、他の支払いとの兼ね合いのためです。

礼金など、一時的に支払うものは、経費になるかどうかの境が20万円のことが多いので、分かりやすくするために合わせているのです。

では、いよいよ次の章から、更新料の額が20万円未満とそれ以上で、どう科目や処理方法が変わってくるのかお伝えします。

家賃の更新料が20万円未満の場合の科目や計算方法は?

では、ここからは、実際に支払った家賃の更新料が「20万円未満だった場合」の確定申告時の経理処理について見ていきましょう。

この場合には、全額「経費」として処理することができます。

先ほどは、「支払いの効果がすぐではなく数年後に影響してくるため、原則、支払った時点では経費にできない」とお伝えしました。

ですが、実は、更新料の額が20万円未満であれば少額と見なされるので、更新料であっても「経費」で全額処理できるのです。

その際は、「支払手数料」の科目での処理となります。

そして、書き方も重要なポイントです。

仮に、支払った家賃の更新料が10万円だったとしましょう。

その際は、「支払手数料」の欄の「借方」(かりかた:左側の欄)に「支払手数料 100,000」と書き、「貸方」(かしかた:右側の欄)に「現金預金 100,000」と書くことになります。

この場合は、難しい計算なども必要ないので、帳簿記入の仕方も比較的分かりやすいですね。

ですが、支払った家賃の更新料が「20万円を超えた場合」には、ちょっとした計算が必要になってきます。

次の章で、その計算式もお伝えするので、間違えないようにしっかりと理解していきましょう。

家賃の更新料が20万円以上の場合はどの科目でどう処理する?

では、続いて、家賃の更新料が「20万円以上だった場合」について見ていきましょう。

この場合は、先ほどからお伝えしている通り、全額は経費として扱うことができません。

そのため、間違っても「支払手数料」としては処理しないようにして下さい。

税務署から不正な経理処理だと疑われます。

家賃の更新料として、20万円以上を大家さんや不動産会社(管理会社)に支払った場合は、「長期前払費用等」という勘定科目で処理します。

その際は、「繰延資産」の位置に、支払った金額を記載することになるので注意して下さい。

また、家賃の更新料が20万円以上の場合では、「契約時間にかけて計算し、出た額を経費にする」という方法が取られます。

その計算は、以下の式に当てはめて行います。

例えば、7月(残り半年なので6ヶ月)に支払った更新料が5年分(12ヶ月×5=60ヶ月)で30万円ならば、

1年目は、「支払った額(例:30万円)×6ヶ月/60ヶ月」で「3万円」になり、

2年目以降の分は、「支払った額(例:30万円)×12ヶ月/60ヶ月」で「6万円」になります。

そして、この場合の書き方をお伝えしておきましょう。

1年目の分なら、「繰延資産」の「借方」(かりかた:左側)に「更新料 30,000」を書き、「貸方」(かしかた:右側の欄)に「現金 30,000」と書きます。

賃貸物件の家賃の更新料は帳簿の正しい科目欄に記入しよう!

ここまで、賃貸物件の家賃の更新料について、どう扱えば良いのかをお伝えしました。

繰り返しますが、個人事業主などが確定申告する際には、正しい帳簿記入をすることがとても重要になってきます。

税務署では、納税者一人ひとりがきちんと帳簿記入をしているか、しっかりと見ています。
確かに、帳簿記入では、その科目がとても多いので、このお金はどの科目でどのように処理すれば良いのか分からなくなることも多いです。

しかし、どうすれば良いのか分からないからと言って、更新料の支払いを申告しなかったり、適当な科目で処理してしまうことのないようにしましょう。

税務署に「不正な経理処理ではないか」と、疑われてしまいます。

そして、確定申告や税金などの制度は何かのきっかけで、その考え方や処理の仕方が変わることがあります。

確定申告前になって慌てないためにも、そうしたことに関するニュースをチェックしておくと安心ですね。

また、普段から正しい知識をつけ、きちんと帳簿記入をしておくことも重要です。

賃貸物件の更新料は金額によって科目が異なる!

今回は、更新料を支払った際の正しい帳簿記入についてお伝えしましたが、参考になりましたか?

これまで見てきたように、家賃や事務所として使う賃貸物件の更新料は、その金額によってどの科目に振り分けられるのかが決まります。

更新料の帳簿記入では、正しい知識をつけることが重要なので、きちんと理解しておきましょう。