自販機の設置にかかる費用やジュースの原価はどのくらい?

街中や駅などでよく見かけるジュースの自販機ですが、これを投資手段として設置する場合、儲けはどのくらいあるのでしょう。

投資といえるくらい儲かるものなのでしょうか。

そこで、ジュースなどの原価がいくらで、どのような条件であれば元が取れ、利益が出るのかを勉強していきましょう。

自販機の「メーカー設置」のシステムとは

以前私が勤めていた会社の自社ビルの前に、ジュースの自販機がありました。

それは、とあるメーカーの営業マンが勤め先に営業にきて、社長が許可して設置したものでした。

夏の暑い日や冬の寒い日は、上司のおごりでよくその自販機で冷たいジュースや温かいコーヒーなどを買ってもらいました。

そして、その会社で経理を担当していた私は、毎月数千円程度のお金が、その自販機の会社から振り込まれていたことを記憶しています。

実は自販機設置にもいくつかのパターンがあり、以前の勤め先では、「メーカー設置」という設置方法でした。

それは、会社が設置する土地を提供し、電気代を負担する代わりに、売り上げの何パーセントかが入ってくるという契約だったようです。

その自販機の電気代が当時いくらぐらいだったのか定かではありませんが、売り上げの何パーセントかに当たる金額が、数千円程度だったわけですね。

ただ会社は、収入云々よりも、社員の利便性を考えて設置したため、商品の原価がいくらで、歩合がいくらでもあまり関係がありませんでした。

しかし、この自販機設置を、不労所得の獲得のために、いわゆる投資の一種としてやる場合があるそうです。

そこで、自販機の設置が本当に投資になりうるのか、検証してみたいと思います。

ジュースの原価も空き缶処理も気にしないお手軽さが魅力

誰でも、働かずして幾ばくかのお金が手に入るのなら、やってみたいと思いますよね。

そこで思いつくのが投資です。

いわゆる株式投資や仮想通貨への投資などは、当たれば大きな金額が手に入ります。

しかし、自販機の収入は、以前の勤め先で月に数千円のだったことを考えると、すごい大金が手に入るというわけではなさそうです。

ただ、電気代だけで確実に毎月安定した収入が得られるのであれば、やって損はありませんね。

なぜなら、先の金融商品への投資は、当たれば大きいですが、同じくらい大きなリスクを抱えているため、確実な収入が得られるわけではないからです。

また、初期投資にある程度まとまったお金が必要ですし、常に値動きをチェックしなければなりません。

本職を持っていて副業的に投資を行うとしたら、結構大変かもしれませんね。

その点自販機は、「メーカー設置」であれば特に何もする必要がありません。

原価や売上、歩合の計算も、ジュースの補充や空き缶の回収も、すべてメーカー側がやってくれるからです。

そして、売上の何パーセントかを、口座に振り込んでくれるというわけです。

これこそ本当の不労所得といえるでしょう。

売上歩合収入の損益分岐点は販売原価の電気代のみ

ただ、メーカー設置は希望すればどこにでもしてもらえるわけではありません。

メーカーの立場で考えると、商品の補充や空き缶の回収には人件費や燃料費がかかります。

そして、その費用以上の儲けがなければ、メーカーは赤字になってしまいます。

つまり、ある程度の売り上げが見込める場所でなければ、メーカーには意味がないのです。

ちなみにあるメーカーでは、1日7~8本の売上が、自販機設置の最低条件だそうです。

それと同じことが、設置してもらう側にもいえるでしょう。

例えば電気代は、売れようが売れまいが、だいたい同じだけかかります。

24時間、冷却や加温が必要ですし、夜間は照明も必要です。

具体的には、メーカーや自販機の種類によっても違いますが、冬期の温かい商品を置く月は3,000円程度、その他の月は2,000円程度の電気代がかかります。

そして、例えばジュースの販売価格が130円の場合、原価の目安は約5割の65円程度、メーカーの取り分が約3.5割で45.5円、残りの1.5割程度が設置した人の取り分です。

つまり設置者には、130円の商品が1本売れると、19.5円の歩合が入ってくる計算になりますね。

しかし、まだそこから電気代を支払わねばなりません。

赤字にならないためには、最低限3,000円程度の電気代分の歩合収入が必要ということになります。

月にジュース1000本売上で年間20万円の利益

もし、上記の条件のメーカーの自販機を設置し、130円のジュースなどが1日10本売れたとしたら、月に300本で、収入は5,850円です。

そこから電気代3,000円を差し引くと、利益は2,850円ということになります。

原価計算なしの歩合制とはいえ、かなりシビアな金額ですね。

しかし、銀行の普通預金金利が0.001%程度の今、100万円を預けていても年利は10円、スーパー定期でも年利0.01%程度で、年利100円です。

それに比べると、月2,850円の儲けは決して少ないとはいえません。

もし300本ではなく500本売れれば、利益は6,750円、1000本売れれば16,500円です。

月16,500円を年額に換算すると198,000円で、約20万円になります。

そして月1000本といえば、1日33~34本で、日中6時から21時の15時間で、1時間当たり2本程度売れればよいわけです。

場所によっては不可能とも言えませんね。

これを捕らぬ狸の皮算用といってしまえばそれまでですが、戦略を練ればちょっとしたサイドビジネスにならないとも限りません。

所有している土地があり、それなりに人通りがあって近隣に同種の自販機がない場合などは、投資の一環として検討してみてもよいのではないでしょうか。

ジュース補充も原価交渉も売価決めも自分でする自販機設置方法

ところで、自販機の設置パターンには、他に「リース」と「購入」という方法があります。

「リース」は、毎月自販機の業者などにリース料を支払い、自販機を設置する方法です。

そして「購入」は、文字通り自販機の機械自体を買い取って設置する方法です。

どちらも「メーカー設置」に比べて初期投資や月間の経費が必要で、それを回収できる目算がなければ設置に踏み切るのは難しいでしょう。

ちなみに、リース料は月額12000円~15000円程度で、もちろん電気代も自己負担ですので、15000円~18000円程度は費用がかかります。

購入の場合は、新品だと40万円~100万円程度ですが、中古品の場合は10万円から購入することができます。

ただ、その場合、最新の省エネの自販機と比較すると、電気代が倍以上かかることもあります。

そして両者とも、仕入れ、ジュースの補充、空き缶の処理等を設置者自身がやらなければなりません。

つまり、仕入れルートの開拓や原価の交渉も、販売価格の設定もすべて自分次第で、いわゆる商売と同じです。

そして「メーカー設置」の収入が歩合であったのに対し、「リース」や「購入」では実際の売上金額が収入になります。

そこから、初期費用の回収分や電気代、商品の仕入れ原価などを差し引いたものが、利益として手元に残るのです。

自販機のジュースの定価販売に打撃を与える価格破壊とは

ところで、自販機の世界にも一部価格破壊が起こっています。

街中の自販機で、本体に大きく「激安100円」などと書かれている自販機を見たことはないでしょうか。

メーカーは選べませんが、ジュースが100円で買えるのです。

実はうちから徒歩圏内のある自販機では、50円や60円、80円といった激安価格で買えるジュースまであります。

これは、恐らく「購入」で設置している自販機で、設置者がかなり安い原価で商品を仕入れているのでしょう。

そして、他との差別化をするために、敢えて薄利でこのような価格に設定しているのだと思います。

ところで、このような激安販売の自販機の登場で、定価販売の自販機の売上が脅かされているといいます。

また、各コンビニが100円程度でおいしいコンビニコーヒーを販売し始めたのも、売り上げに打撃を与えているそうです。

このように、ジュースやコーヒーなどの飲料の需要は一定量あっても、小売店やコンビニ、自販機などの中でシェアの奪い合いをしているわけですね。

このような激戦の中で、初期投資が回収できなければ危険です。

そこで、もし売上シュミレーションをして勝算があるようならば、メーカー設置から始めてみるのが一番無難かもしれませんね。

まずは自販機のメーカー設置から始めよう

今回は、自販機の設置が投資になりうるのかという観点で見てきました。

結論からいうと、メーカー設置なら電気代のみの投資で「低め安定の利益は得られる」と言えるでしょう。

そして、その他の方法で設置する場合は、設置者の腕次第ということになります。

もし少しでも不労所得をという人は、一度検討してみてもよいのではないでしょうか。