木造住宅は、鉄骨造やコンクリート造と比べると、「騒音問題が起きないだろうか?」と心配する方もいるかもしれません。
これは木材が鉄骨やコンクリートよりも軽いため、音を通しやすいという性質が要因の一つに挙げられます。
しかし、新築の際に防音対策をしっかり行えば、騒音によるストレスを軽減させることが可能なのです。
今回は、木造住宅の騒音のお話を中心にしていきます。
これから木造住宅を新築する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
夢の新築!木造住宅の魅力とは
まずは、木造住宅にはどのような魅力があるのか、くわしくお話ししていきましょう。
木造住宅は騒音や耐震など、さまざまな事柄で鉄骨造やコンクリート造に劣っていると思われがちですが、決してそんなことはありません。
木造住宅には、ほかにはない良いメリットがたくさんあるのです。
まず言えるのは、精神的なメリットが多いという点でしょう。
建材に天然素材を使っているため、木のぬくもりが感じられ、その香りにリラックス効果が期待できます。
日々の仕事や、家事・育児で疲れた体を、木のぬくもりが癒してくれることでしょう。
また、木材には調湿する効果があるため、部屋の湿度を自然にコントロールできる点も魅力の1つです。
さらに、価格が安いという点も魅力です。
坪単価が平均で40~70万円くらいとされているので、鉄骨造などと比べるとだいぶ安く建築することができます。
建築費が安くとも、耐震性には何も問題はありません。
昨今の新築は、厳しい耐震基準をクリアしないと建築することができなくなっているため、木造住宅でも十分な耐震性能を誇ります。
このように、木造住宅には、新築に選びたくなる嬉しいメリットがたくさんあるのです。
木造住宅は騒音が気になるの?
ここからは、新築の木造住宅の騒音についてお話ししていきましょう。
木造住宅は鉄骨造やコンクリート造などに比べて、遮音性が低いと言われているのはなぜなのでしょうか。
それには、素材の重さや厚さが関係してきます。
木材は鉄骨造やコンクリート造よりも軽量のため、音が通りやすい性質があるのです。
また、騒音は気密性と密な関係にあります。
鉄骨造やコンクリート造は気密性が高く、例えるなら「四角い箱の中に隙間がまったくない状態」です。
隙間がないと、音だけでなく空気も遮断されるので、断熱効果が高いことも分かりますね。
木造住宅に使われる木材は、収縮を繰り返すという特徴があるため、縮んだ際に隙間ができやすく、この時気密性は低い状態だと言えます。
それと同時に、断熱効果もほかの建築物よりも低いということが言えるでしょう。
これらを踏まえると、木造住宅は鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると、騒音が気になる傾向があると言えます。
しかし、近年では木造住宅でも気密性が高い住宅が増えてきているため、窓や扉をきちんと閉めれば、ある程度騒音は抑えることができるでしょう。
また、新築時にさまざまな防音対策を行うと、騒音はほとんど気にならなくなります。
木造住宅の騒音の基準とは
私たちが出す生活音は、生活する上では仕方のないものばかりです。
日常生活で「騒音」だと感じるものは、飛行機の飛行音や、自動車の走行音だと言われています。
ここで、さまざまな騒音の基準をまとめてご紹介しましょう。
【家庭用設備】
・エアコン……約41~59db
・ファンヒーター……約44~56db
・扇風機……約42~58db
・排水管……約57~75db
【家庭用機器】
・洗濯機……約64~72db
・掃除機……約60~76db
・目覚ましの音……約64~75db
・電話の音……約64~70db
【音響機器】
・テレビ……約57~72db
・ピアノ……約80~90db
・エレクトーン……約77~86db
・ステレオ……約70~86db
【その他】
・人の話し声(通常)……約50~61db
・人の話し声(大声)……約88~99db
・犬の鳴き声……約90~100db
・子供の足音……約50~66db
・布団たたきの音……約65~70db
・車のアイドリング……約63~75db
環境省の基準によると、昼間は55db以下、夜は45db以下にすることが望ましいとされています。
とはいえ、もちろんこの範囲であれば何をしても良いというわけではなく、節度を守った行動をとることが大事です。
続いては、木造住宅の新築を予定している方へ向けた、防音対策のポイントをご説明します。
新築の木造住宅の防音対策で気を付けること
外からの騒音も、家の中の音漏れも、生活する上ではストレスになり得ます。
そのため、木造住宅を新築する方は、新築工事と一緒に防音対策をすることをおすすめします。
ただ、防音対策には費用がかかりますので、どの部屋のどの場所に対策を行うのかを、しっかり決めなければなりません。
やみくもに防音対策をして、あまり意味がないのでは費用がもったいないので、各部屋の使い方を見直しましょう。
家族でリビングで過ごす時間が多いお宅は、リビング全体を防音しましょう。
これで、家の中での談笑も外に漏れる心配はありません。
また、ピアノなどの楽器を演奏するお宅は、ピアノが置いてある部屋を防音室にしましょう。
先述の騒音の基準でもご紹介したように、ピアノの音は約80~90dbと高い数値になっています。
ピアノ部屋を防音にすることで、時間を気にすることなく練習することができるでしょう。
さらに、寝室に防音対策するのもおすすめです。
睡眠を邪魔されたくない方や、夜勤の仕事で日中眠ることが多い方は、防音することで良質な睡眠をとることに繋がります。
どの部屋を防音するのか、よく検討しましょう。
新築の際に「床」「壁」「天井」を防音対策しよう
防音対策する部屋が決まったら、どのように工事を進めていくのかご紹介していきましょう。
ここでは「床」「壁」「天井」を防音仕様にしていきます。
木造住宅の新築で、8畳の部屋と仮定しましょう。
床・壁・天井を防音にするには、部屋全体を「二重構造」にする方法があります。
3方向を二重にすることで、部屋の中にもう1つ部屋を作るようなイメージになります。
天井部分には吸音工事を行い、床の下地にも防音工事を施します。
さらに、壁の下地には吸音材を入れ、仕上げのクロスには凹凸がついたデザインを選べば、防音部屋が完成します。
このように工事で対策をすると、90dbあった騒音を50db以下まで抑えることができるとされています。
気になる費用ですが、8畳の部屋で400万円~450万円と、かなり高額になります。
しかし、新築した後で行うと十分な工事が行えなくなってしまう可能性があるため、新築の工事と同時に行うことをおすすめします。
新築の際は窓の防音対策も忘れずに
木造住宅の新築工事の際、同時に壁や床、天井に防音工事を行うのは良いことですが、もう1つ防音対策をおすすめする場所があります。
それは「窓」です。
窓の厚さに注目してみると、一般的な外壁が約20cmの厚さがあるのに比べて、窓はたった5mm程度しか厚みがありません。
そのため、どんなに壁に防音対策を行っても、騒音は窓から部屋に入り込んでしまうのです。
窓の防音対策で意識することは、次のようなことです。
・窓のサイズ
・窓の位置
・窓の構造
窓のサイズは大きければ大きいほど音を通してしまうため、住宅密集地では小さめの窓にすることをおすすめします。
しかし、窓が小さければ採光の問題も出てきますので、その部屋にベストなサイズの窓を設置しましょう。
また、窓の位置ですが、隣の家の窓の位置と離して設置することを心掛けます。
騒音となる空気音は、距離が離れているほど届きづらくなる傾向があるため、なるべく離して設置すると良いでしょう。
そして、防音対策に有効なのが「二重窓」です。
二重窓は、窓の内側にもう1つ窓を作るという方法で、ガラスとガラスの間に空気の層が生まれ、この空気の層が音を遮断する働きをします。
ただし、二重窓はほかの防音対策よりも費用がかかりますので、よく検討しましょう。
新築の工事と一緒に防音対策をしよう
木造住宅は魅力的なメリットがたくさんありますが、鉄骨造やコンクリート造と比べると、防音性が低いと言われています。
また、完成してからでは十分な防音対策は難しいため、新築工事と同時に防音工事を行うことをおすすめします。
騒音は家で過ごす上で、時に我慢できないほどのストレスとなってしまいます。
ハウスメーカーとよく相談し、予算を見ながら、理想の防音対策を行いましょう。