準防火地域の窓は高価格!防火窓にはどんなものがあるの?

「準防火地域」というものをご存知でしょうか。

この地域に住宅を建てるとなると、いろいろ注意をしなければならないことがあります。

その中には「窓」も含まれていますが、一般的な住宅よりも価格が高くなってしまいやすいです。

ここでは、そんな準防火地域の家の窓についてご説明していきます。

窓が高価格になる?準防火地域とは

準防火地域というのは、「防火地域」と呼ばれる地域の外、周辺の地域のことを指します。

防火地域には主に町の中心部が指定されていることが多く、役場や銀行、幹線道路沿いの商業施設などがある場所になります。

準防火地域で建物を建てる際には以下の規制があります。

・4階建て以上もしくは延べ面積1500m²以上の建築物は耐火建築物にすること

・延べ面積500m²以下であれば、一般的な2階建ての木造住宅・防火対策のされた3階建ての木造住宅を建てても問題なし

「耐火建築物」は主に鉄筋コンクリート造の建築物を指します。

木造2階建ての住宅や平屋を造る際には、外壁・軒裏などを防火構造にしなくてはなりません。

また、木造3階建ての住宅に関しては、窓などの開口部の構造・面積などにも基準が設けられています。

そのため、住宅を建てようとすると、準防火地域外の住宅よりも価格が高くなってしまいやすいのです。

窓の価格も関係している!準防火地域と一般地域の住宅価格の違い

準防火地域での家づくりでは、一般的な住宅を建てるにしても細かな制限があることがおわかりいただけたかと思います。

どのような地域に住宅を建てようとしても、誰しもが「こんなデザインの窓がある家がいい」、「こんな設備のある家がいい」などといったように、理想の住宅を思い描くことでしょう。

しかし、準防火地域のような、建物を建築する際に制限のある場合では、理想を実現することが難しくなることもあります。

そのため、可能な限り理想に近づけるためにも専門家によく相談する必要があるでしょう。

また、住宅に抱く理想と共に、現実的な住宅の価格についても考えなければなりません。

準防火地域外で住宅を建てることになっても、価格は決して安いものではありませんが、耐火建築物を建てようとなると、その価格はさらに高くなります。

住宅に取り付ける窓1つとっても、一般的な透明なガラス窓ではなく、防火窓という網の入った窓を取り付けなければなりません。

また、自治体によっては、準防火地域や防火地域とは別に「不燃化促進地域」という地域があります。

文字通り建物の不燃化を推進している地域で、ここに耐火建築物を建てると助成金が出ることもあります。

詳しくは、専門家に相談してみましょう。

では、住宅に必ず取り付ける窓について、さらに詳しく見ていきましょう。

高価格なものが多い…準防火地域の家に使う窓

まず、準防火地域の家の窓に関する条件を見てみましょう。

・一階部分は道路の中心線からもしくは隣家の境界線より3mにかかる開口部は、すべて防火仕様にする

・二階部分は道路の中心線からもしくは隣家の境界線より5mにかかる開口部は、すべて防火仕様にする

想像してみるとわかりますが、建物の外に広大な土地を持っていない限り、この条件に当てはまるでしょう。

つまりは、防火仕様にすることが基本ということです。

また、準防火地域の家に使用する窓は、デザインの種類の幅が狭いため、自由に選ぶことは困難になります。

このことに加え、一般的なガラス窓ではなく網の入った窓になるため、見た目は決していいとは言い難いでしょう。

おしゃれで取り入れることを考えている方も多い「出窓」も準防火地域の家では取り入れることはできません。

さらに、防火窓は防炎性能を備えなくてはならないため、その分コストもかかり、価格も一般的な窓よりも高価になっています。

では、実際にはどのような防火窓があるのでしょうか。

次項からご説明していきます。

準防火地域の窓【網入りガラス】

網入りガラスは、準防火地域の家では一般的なものでしょう。

見た目は決していいとは言い難いですが、防火窓ということで、その機能は実に高いものになっています。

例を挙げてみましょう。

住宅の窓のメーカーとして名高い「YKK AP」が販売している防火窓「APW 330」は防火窓の中でも、国土交通大臣認定防火設備の窓で美しいデザインのものになります。

また、これは樹脂フレームを採用した二重窓で、室外側に網入りガラス6.8mm、室内にはLow-Eガラス(特殊な金属膜をコーティングしたもので「低放射」の意味を持っている)を採用しています。

これによって熱が通りにくくなっています。

そして、この防火窓は、小さな窓から大きな窓まで大きさを選ぶことができます。

ちなみに価格は、防火窓の中では安価な部類と言えますが、性能は十分です。

準防火地域の窓【網の無いガラス】

準防火地域の家でも「どうしても、窓に網が入ってしまうのは嫌だ!」という方もいらっしゃるでしょう。

確かに網入りの窓ガラスでは、眺望性やデザイン性が気になるかもしれません。

しかし、そのような方のために、網なしの防火窓も販売されています。

それはYKK APの「防火窓 Gシリーズ」です。

網入りの窓ガラスと比較すると、価格は上がりますが、防火性能は保ちながらも見た目は一般的な窓ガラスのようなスッキリとした印象です。

また、ガラスの中に網が入っていない分だけ軽いので、普段の生活での窓の開け閉めも容易に行うことができます。

とはいえ、価格が高価なため、すべての部屋にこの窓を採用するとなると、その分住宅の価格も上がってしまいます。

そのため、玄関・リビングなど人の集まる場所や寝室・子供部屋に使うなど部分的に使うとよいでしょう。

このようにすることで、大幅に価格が上がってしまう心配は減ります。

準防火地域の窓【シャッターを採用する】

「網入りの防火窓にはしたくない」と考えていても、「網の入っていない防火窓は価格が高くて無理」という方もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合、網入りの防火窓にするしか選択肢はないのかというと、そうでもありません。

実は準防火地域の住宅の窓は、防火シャッターを取り付けることで、窓ガラスは一般的なものでも採用できます。

ただし、このようにする場合には、窓は引き違いのものにする必要があります。

また、シャッターは開け閉めが面倒なのがネックですよね。

しかし、YKK APの販売しているシャッターには、リモコンで操作可能なものがあります。

従来であれば、窓を開けてシャッターを閉め、また窓を閉めるといった作業が必要でしたが、リモコンであればその必要はなくなります。

ただ、コスト的には手動の方が低くて済むので、どちらがいいかは考え方によるところがあります。

また、準防火地域外の住宅にもシャッターはおすすめで、防犯性を高めることにもなります。

準防火地域で防火窓を採用したくないと考えているのであれば、シャッターを取り付けるようにしましょう。

準防火地域での家づくりは予算をしっかり考えて

準防火地域では、一般的な家づくりではかからないような費用がかかることになり、価格が高くなりやすいです。

そのため、準防火地域での家づくりには、他と比べてどのようなところにお金がかかるのかということを考えておくといいでしょう。

また、土地を購入する際には、準防火地域になっているのか予め確認しましょう。