新築が完成して数カ月が経過したころ、ふと壁を見ると、クロスとクロスの間に隙間ができているのを目にすることがあります。
このクロスの隙間は、主に部屋の角の方で起こることが多く、新築の木造住宅ならではの問題なのです。
今回は、新築のクロスに隙間ができる原因についてのお話をしていきます。
また、できてしまった隙間の対処方法も一緒にご紹介していきましょう。
新築のクロスに隙間ができる原因とは?
木造住宅を新築して生活を始めた方の中で、クロスとクロスの間に隙間を発見したという方もいるでしょう。
部屋の角の部分で、クロスが縦に避けるような形の隙間ができるこの現象は、実は新築の木造住宅では割と多く起こる問題です。
クロスの隙間を見つけると、「十分な加湿をしなかった」「欠陥住宅だった」などと不安に思う方もいらっしゃるでしょうが、そうではありません。
実は、木造住宅を新築すると、建ててから一定期間の間は「木が動いている」のです。
つまり、木の収縮によってクロスが引っ張られ、その結果隙間や亀裂ができてしまうのです。
したがって、これはどの木造住宅でも起こりうる問題で、加湿不足や施工不良というではありませんので安心してください。
一般的な木造の新築ですと、動きが安定するまでは1~2年くらいかかるといわれています。
そして、この木材の収縮には木の「含水率(がんすいりつ)」が深く関係しています。
木材の含水率とは?
含水率とは、その物体がどのくらいの水を含んでいるかの目安となります。
木造住宅で使用する木は、もともと水分を多く含んでいます。
しかし、建築資材として使用するにあたっては、木が含んでいる水分を抜かなければなりません。
この乾燥させる作業が十分でないと、新築した後に木は時間をかけて乾燥されていき、収縮がより起こりやすくなってしまいます。
しかし、乾燥のさせすぎも良いことではありません。
建築する前に木を乾燥させすぎると、新築後に湿気などの水分を吸いすぎて、木の収縮が起こる原因となるのです。
上記の事柄を防ぐためには「平衡含水率」にする必要があります。
平衡含水率とは、木にとって水分を吸ったり出したりしなくなる、最も良い状態のことを指します。
しかし、平衡含水率は地域によって変わり、季節や気温に合わせて細かく調整をする必要があるため、容易なことではありません。
ローコストのハウスメーカーは、木の乾燥作業においても経費削減が必要となるので、クロスの隙間ができる確率は自然と上がってしまうのです。
見えない部分にしっかりと目を向けて、ハウスメーカーを選ぶように心掛けることが大事です。
新築のクロスの隙間はハウスメーカーに補修してもらおう
もし、新築のクロスに隙間を見つけてしまったら、どのように対処したら良いのでしょうか。
クロスの隙間は自分でも補修できますが、新築したばかりの家を自分で補修する自信のない方は、ハウスメーカーに連絡をしましょう。
担当の方が補修に来てくれるはずです。
しかし、隙間を補修する時期をきちんを見定めなければなりません。
というのも、先述の通り新築が完成してからの木材は、だいたい1~2年は動き続けます。
せっかくクロスを補修してもらっても、収縮を続けているうちはまた新たな隙間が生まれてしまう可能性があるのです。
一般的なハウスメーカーの場合、1年点検を実地していることがほとんどですよね。
そのため、木材の動きが収まってきた1年点検の際に、一緒に隙間の補修をお願いすることをおすすめします。
どうしてもすぐに補修したい方は、ハウスメーカーに連絡を入れて相談してみると良いでしょう。
新築のクロスの隙間は「ジョイントコーク」で塞ごう
新築のクロスの隙間は、自分でも簡単に補修することができます。
ハウスメーカーの点検が済んでから隙間を発見した場合や、仕事が忙しくてハウスメーカーに依頼しにくい方は、自分で補修するのも良いでしょう。
ここでは補修の仕方をご説明します。
まず、用意する道具ですが、「充填剤」と呼ばれる種類の中の「ジョイントコーク」を用意しましょう。
充填剤はクロスの剥がれを補修する専用のボンドのようなもので、ホームセンターなどで購入することができます。
値段も数百円と高価なものではありません。
このジョイントコークの先端を、クロスの隙間に合わせてハサミでカットします。
その後、隙間に先端を当てて、上から下へとスーッとなぞるように埋めていきます。
ジョイントコークは出しすぎると、その部分にほこりや汚れが溜まりやすくなってしまいます。
はみ出した部分は、スポンジを使い、軽く叩くようにして拭き取ってください。
きれいにクロスと馴染んだら、隙間の補修作業は完了となります。
この機会に、家中のクロスの隙間をチェックして、すべてきれいにふさいでしまいましょう。
クロスは隙間だけでなくねじれも起こる!
新築のクロスは隙間ができることがありますが、実は「ねじれ」もよく起こります。
ねじれも隙間同様に、部屋の角で起こることが多く、縦にねじれて部屋の見栄えを悪くしてしまうのです。
ねじれの原因は、「クロスを1枚で貼っていく施工」のせいです。
一般的なクロスの貼り方は、隅でクロスを切って、繋がるように貼り合わせていく方法です。
そのため、木の動きによって、クロスに隙間ができてしまうことがあります。
しかし、ねじれができるクロスの貼り方は、1枚のクロスを続けて貼っていく施工です。
一見して、隙間ができない良い施工方法にも思えますが、建物のずれや木の動きによって、クロスが引っ張られることがあります。
クロスが引っ張られることによって、角が力に耐えられず、ねじれとなってしまうのです。
では、このクロスのねじれを直す方法はあるのでしょうか。
クロスのねじれを補修するにはハウスメーカーに依頼しよう
新築にできたクロスの隙間は自分で簡単に補修することができますが、クロスのねじれに関してはハウスメーカーに依頼することをおすすめします。
クロスのねじれの補修は難しく、素人にはまず無理でしょう。
補修費用を抑える方法としては、ねじれている部分のクロスを切断するといった方法があります。
これはあまり築年数が経過していない住宅の場合に可能な作業方法で、ねじれ部分を縦に切断して、手できれいにならし、できた隙間を先ほどのジョイントコークで塞ぐといった方法です。
ねじれを無理に切断するので、完全にきれいにすることは難しいですが、ねじれ自体は補修することができます。
また、あまりにねじれがひどい場合や、築年数が経過したお宅はどうしたら良いのでしょうか。
その場合は、クロス自体の貼り替えをすることをおすすめします。
貼り替え費用は負担しなければなりませんが、ねじれだけでなく、クロス全体をきれいにすることが可能です。
新しく貼り替えるクロスは、1枚で貼らないように注意して依頼してください。
新築のクロスの隙間は補修できる
新築の木造住宅では、クロスとクロスの間に隙間ができることが多いです。
それは新築後にも木が動き続けて、収縮を繰り返すために起こるものです。
木の収縮は1~2年は続くので、ハウスメーカーの1年点検の際についでに補修してもらうことをおすすめします。
また、隙間の補修はジョイントコークを使って自分でも簡単に直すことができます。
急ぎの方や、多忙でハウスメーカーに依頼しにくい方は、こちらを使って簡単に修繕してしまいましょう。