アパートに住んでいると、なるべく部屋を傷つけないように生活されている方は多いでしょう。
しかし、壁掛け時計やポスターを貼るために、壁に画鋲を刺したいと考えることもありますよね。
賃貸住宅では壁に画鋲を刺しても大丈夫なのでしょうか。
また、退去の際に修繕費用がかかるものには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下で探っていきましょう。
アパートの壁は画鋲を刺しても大丈夫なの?
壁掛け時計やポスターなど、アパートで暮らしていて、壁に画鋲を刺したいと考えることもあるでしょう。
アパートは退去の際に原状回復が必要になりますので、壁が傷ついていたら修繕費用が発生すると思う方も多いはずです。
しかし、壁に画鋲を刺しても、基本的に修繕費用はかからないのです。
これは、国土交通省の「原状回復によるトラブルとガイドライン」という、借主と貸主の修繕費用をめぐるトラブルを解決させるためにできたガイドラインによるものです。
上記によると、部屋の汚れや傷のうち、通常の生活でできてしまうものに関しては、貸主の負担になると記されています。
「壁に画鋲を刺す」ことは、普通に生活している上であり得ることと考えられます。
そのため、ガイドラインに沿った考えだと、修繕費用はかからないのです。
しかし、故意にいくつも壁に画鋲を刺した場合はここに含まれません。
また、契約時に交わした賃貸契約書の中で、「画鋲の使用は禁止」と記されていた場合も、ここには含まれません。
ガイドラインには法的な効果はなく、あくまで基準が記されているだけです。
まずは、賃貸契約書を確認し、画鋲についての記載があるか調べましょう。
もし、画鋲についての記載がなかった場合は、最低限の使用数であれば、修繕費はかからないと考えて良いでしょう。
アパートに6年以上住むと壁の修繕費はかからない?
賃貸アパートに6年以上住むと、画鋲を刺したかどうかは関係なく、壁紙の修繕費は0円となります。
これも「原状回復によるトラブルとガイドライン」によるもので、アパートの壁紙や床にはそれぞれ耐用年数が設けられています。
そのため、年数が経過していくと、どんどん価値が下がっていくことになります。
壁紙の耐用年数は6年となるため、6年が経過すると壁紙の価値はほぼなくなり、修繕費を負担するのは貸主ということになるのです。
なお、これは契約から6年後にいきなり価値が下がるのではなく、「1年間で15%」ずつ下がっていきます。
これにならうと、例えば入居から3年で退去したとすると、壁紙の修繕負担は45%ほどとなります。
これ以上の修繕費を請求されたら、支払う義務はないため、意見しましょう。
しかし、6年経過したからといって、すべてが0円になるわけではありません。
長いクギなどで壁の下地まで傷つけた場合や、穴をあけてしまった場合などは、別途補修費を請求されることもありますので注意してください。
アパート退去の際に修繕費用がかかるもの・かからないもの
アパートを退去する際は修繕が必要なものと、そうでないものが存在します。
ここでは、ガイドラインに沿った内容で、修繕費用がかかるもの・かからないものをまとめてご紹介します。
【修繕費用がかかるもの】
・飲み物や食べ物をこぼしたシミ
・キッチンの油汚れ
・らくがきや臭い
・必要以上の画鋲の跡
・壁のクギやネジの穴
・ペットによる糞尿などの汚れ
・引っ越し作業中の傷や汚れ
【修繕費用がかからないもの】
・家具による床のへこみ
・日光による日焼け
・テレビ、冷蔵庫の裏側の汚れ(黒ずみ)
・壁の画鋲の跡
・壁のポスターの日焼け跡
・エアコン設置の際の穴や跡
これらはあくまで目安となりますが、通常よりも乱暴に部屋を使ったり、掃除を怠った場合は修繕費用がかかることが多い傾向にあります。
修繕費用は敷金から支払われることになりますが、損をしないためにも、定期的に掃除を行ってきれいに部屋を使用しましょう。
壁についた画鋲の跡を補修する方法は?
アパートの部屋の壁についた画鋲の跡は、最低限の数であれば修繕費用はかかりません。
しかし、たくさんポスターを貼ってしまったり、子供が画鋲をたくさん壁に刺してしまうことも考えられます。
壁についた画鋲の跡は自分でも補修できるのでしょうか。
ここでは3つの補修方法をご紹介しましょう。
①白鉛筆を使う
まず、白い色鉛筆を用意します。
カッターなどで画鋲の穴のサイズくらいに芯を削りましょう。
画鋲の穴に芯を差し込み、カッターで削って目立たないように馴染ませたら完成です。
②ティッシュとボンドを使う
ちぎったティッシュをつまようじや竹串で画鋲の穴につめます。
その後、木工用ボンドで上から塗っていきましょう。
ボンドは乾燥すると盛り上がることがあるため、塗りすぎないように注意しましょう。
③専用キットを使う
1つ200円ほどで、壁の画鋲の穴を補修する専用のキットが販売しています。
ホームセンターやインターネットで購入できるため、色鉛筆やボンドの補修方法に自信のない方は、専用アイテムに頼ってみてはいかがでしょうか。
画鋲より目立たない!ホッチキスで壁用の棚「壁美人」を設置
アパートの壁に画鋲を刺す際に、修繕費用はかからないとしても、なるべく傷をつけずに刺したいと考えますよね。
壁に画鋲を刺すと、意外にも穴が大きく、気になる人には気になるものです。
そのような場合におすすめなのが「ホッチキス」です。
ホッチキスの穴は画鋲と比べるととても小さく、目立ちにくくなっています。
実際に画鋲の穴と見て比べると、1/5ほどの大きさなのです。
180度に開くホッチキスであれば、針が出ている側を壁に押し付けるようにして、針を差し込むことが可能です。
また、壁に棚を取り付ける際におすすめしたい「壁美人」という商品があります。
これは、金属性のフックをホッチキスを使って壁に留めて使うもので、通常ではクギなどを使って棚を設置するところ、「壁美人」はそれを必要としないのです。
壁もあまり傷つかず、余ったスペースに棚が設置できるため、おすすめです。
画鋲の代わりに!傷が目立たないアイテム
先ほどは画鋲の代わりにホッチキスを使用しましたが、他にも代用できるものはあるのでしょうか。
ここでは、アパートの壁が傷つきにくい、画鋲の代わりとなるアイテムをご紹介していきましょう。
●ひっつき虫
こちらは貼って剥がせる粘着剤で、ガムのような粘着剤を、ポスターなどの四隅に貼り付けて使用するものです。
軽量のものを壁に貼る際に使用でき、穴が開かないので安心して使用できます。
ホームセンターなどで1つ1,000円ほどで購入できます。
●虫ピン
本来は昆虫標本に使用するものですが、重量のあるものも支えられるので、壁掛け時計などもかけることが可能です。
クギのような細いピンで、画鋲よりも穴が小さいため、アパート暮らしの方におすすめです。
なお、壁に刺す際は金槌が必要となります。
ななめ45度の角度で差し込むと、より強度が上がります。
●針が細い画鋲
無印良品の「針が細い画鋲」もおすすめのアイテムです。
その名の通り、普通の画鋲よりも針が細くなっているため、壁に傷がつきにくくなっています。
しかし、上記の虫ピンよりも耐久力がないため、紙などの軽量なもの専用となるでしょう。
アパートでは壁に画鋲を刺しても問題ない
賃貸アパートの部屋の壁に画鋲を刺しても、修繕費用がかかることはありません。
しかし、それは生活する上で必要な傷であると判断された場合に限るため、故意にいくつも穴をあけた場合は修繕費用を請求される可能性が高いでしょう。
また、契約から6年が経過したアパートでは、耐用年数により壁紙の補修費が発生しなくなっています。
基本的には貸主負担の修繕となりますが、乱暴に扱ったり、故意に壁を傷つけたりすると、借主負担となってしまうパターンもあるため、注意しましょう。