突然ですが、皆さんは、「自分が所有する私道に車を停めていたら、駐車違反を取られた」という経験はありませんか?
実は、意外とこうしたトラブルは多いものです。
ですが、なぜ、私道に停めた車が、駐車違反の取り締まり対象になるのでしょうか?
今回は、私道と公道の区別の仕方からご説明していきます。
私道と公道とは?その区別はどこ?
今回は、私道における駐車違反の取り締まりについてお伝えしていきます。
ですが、私道と公道の区別はどこなのか、まずはそこから見ていきましょう。
公道というのは、「誰でも通ることができる公共の道路」のことです。
国道や都道府県道、市町村道などが当てはまります。
また、高速道路や林道なども公道の中に入ります。
それに対して、私道は、「個人(または企業などの団体)が所有する道路」を指します。
つまり、集合住宅等の敷地内に設けられた道(接続道路)や教習所内の練習コース、工場内にある道路などは「私道」ということになります。
また、公道と私道では、道路交通法の観点からも区別されています。
公道で車を運転するには、免許も必要で、道路交通法が適用されます。
一方、工場内の道路や教習所の練習コースといった私道では、道路交通法の適用外です。
しかし、私道の場合、道路交通法が適用される場合もあるので注意が必要です。
同じ接続道路でも、1つの住宅の住人のみが通行する場合は道路交通法は適用されませんが、マンションやアパートなどで、複数の住宅の住人が通行する場合には、道路交通法の適用を受けるのです。
これが、私道と公道、道路交通法のややこしい部分です。
駐車違反の取り締まりには2種類ある?
先ほどの章では、私道と公道の区別の仕方をご説明しました。
では続いて、駐車違反の取り締まり対象となる2つの種類について解説していきます。
駐車違反とは、一般的に、公道の駐車禁止の場所に駐車した場合などが該当します。
そして、道路交通法で「駐車違反」とされるものは正式には「駐停車違反」と呼ばれ、それには2つの種類があります。
それが「放置駐車違反」と「駐停車違反」です。
この2つの違いを簡単にご説明すると、放置駐車違反は、「車から運転手が離れているため、車をすぐに移動させられない状態にあること」です。
そして、駐停車違反は、「駐車(駐停車)禁止の場所に停車しているものの、運転手が乗っているのですぐに車を移動させられる状態のこと」を指します。
さらに、駐車違反で気になる違反点数を見ておくと、以下のようになっています。
1点
・交通違反点数
・駐車禁止場所等
2点
・駐停車禁止場所等
・保管場所法違反(長時間駐車)
3点
・保管場所法違反(道路使用)
また、違反をした場合の反則金は、普通車で1万円、二輪車では6千円、大型車だと1万2千円と決められていますが、駐車した場所によっては、反則金の額が変わることがあります。
公道における駐車違反の取り締まり
公道における駐車違反の取り締まりでは、「公共の道路で、駐停車禁止の場所であるにもかかわらず、車を停めている」という点から、違反であることが明白です。
この場合には、車を停めることで他の車の通行などを妨げ、多くの人の迷惑になっている
わけなので、取り締まりの対象となっても仕方がありませんね。
そのため、警察官に見つけかれば、駐車違反となり、反則金が科せられます。
駐車違反を取られたら、警察官の指示に従い、きちんと反則金を支払うなどの手続きをして、それ以降は標識を確認するなどして、駐車違反をしないように気を付けましょう。
しかし、道路の駐車違反の取り締まりはこれだけではありません。
駐車違反の取り締まりには、公道だけでなく私道も含まれるからです。
その場合、その道路の所有者が駐車していても駐車違反と判断されます。
次の章では、その実際のケースを見てみましょう。
私道なのに駐車違反で取り締まり?
先ほどは、公道における駐車違反の取り締まりについてお伝えしました。
しかし、中には、公道ではなく、自分の家に面する道路(自分が所有する私道)に駐車していたのに、警察の取り締まりを受けたという人もいます。
例えば、夜、自宅前の私道(その住人のもの)に自家用車を停めていたところ、パトロールで通りかかった警察官に、駐車違反の切符を切られたケースなどがそうです。
このケースでは、住民が「私道だから、自分の車を停めるのは違反にならないはず」と抗議したものの、警察官には「家の前の道でも公道だ」と言われてしまったのです。
念のために、住民がその地域を管轄する警察署に電話で問い合わせても、やはり「公共性が高い道は、私道でも公道と同じ扱いになるので、取り締まりの対象にもなる」という回答でした。
また、このケースでは、道幅も狭かったので、「駐車場所の右側が余地不足」ということでも違反とされました。
しかし、「私道であっても公共性が高い道」とは、何をもって判断されるのでしょうか。
次の章で、それについてもう少し詳しく見てきましょう。
公共性が高ければ、私道でも取り締まりの対象になる!
「私道であっても公共性が高い道」とは、主に、
・位置指定道路(建築基準法42条1項5号で定められている道路)
・2項道路(同法の42条第2項で定められている道路)
を指します。
なぜなら、これらは「完全な私道ではない」からです。
完全な私道とは、門などで他の道路(公道)とはっきり区切られている場合です。
「庭の広い豪邸の敷地内」をイメージすると分かりやすいでしょう。
このような完全な私道であれば、他人が駐車することはできませんし、そこに住む人が自分の車を停めても、もちろん駐車違反にはなりません。
しかし、上記の2つは、
・建築基準法上では道路と見なされる
・他の道路とはっきり区別されているわけではない
・誰でも通れる道である
ということがあるため、私道であっても「公共性が高い」と判断されるのです。
公共性が高い道に駐車をして、他の車や人が通れないようにしている(通りにくくしている)となれば、私道であっても、当然、駐車違反の取り締まり対象になります。
また、駐車場所の右側余地不足は、私道・公道に関係なく、道幅が6メートル以上ある場所を除いては適用されます。
そのため、先ほどご紹介したケースでは、そちらでも取り締まりを受けたのです。
自宅前の私道で駐車違反で取り締まりを受けたら
ここまでお伝えしてきたように、私道であっても公共性が高ければ、そこは公道であるとみなされ、道路交通法の適用を受けます。
つまり、何か違反をすれば、「取り締まりの対象になる」ということですね。
そのため、ご紹介したように、自分が所有する私道に自家用車を停めていただけでも駐車違反として取り締まられる場合が出てくるのです。
私道であっても、完全に門などで分けられていなければ、そこは誰でも通れるようにしておかなければならないのですね。
夜から朝まで駐車することになる場合には、駐停車違反の中の「保管場所法違反(2点または3点)」に該当することが多いでしょう。
そして、違反していると判断された以上は、警察に出頭して反則金を支払うことになります。
この反則金は「法律上、絶対に支払わなければならないもの」というわけではありませんし、やはり「私道なのに反則金を支払うのは納得がいかない」と思う人もいるでしょう。
ですが、反則金を支払わずにいると、裁判になってしまうことがあるので、支払いを拒否するのは得策ではありません。
反則金はきちんと支払った上で、夜に車を停める場所を近くに確保するなど、取り締まりを受けずに済むような対処法を考えましょう。
公共性の高い私道では、駐車違反になることがある!
今回は、私道において駐車違反となるケースについてお伝えしました。
他人の私道に勝手に駐車するのは違反であることに間違いありませんが、私道であっても、「完全な私道」でないと自家用車を停めただけで駐車違反となる可能性があるのですね。
そのため、私道が自宅に面した道路の場合、それが法律上、どのような扱いになっているのかを一度確認しておきましょう。
法律をよく知ることは、自分を守ることにも繋がります。