「世帯主」とは、父親や夫など、いわゆる一家の大黒柱と言われる人のことだと思っていませんか。
確かに父親や夫が「世帯主」という場合が多いのですが、必ずしもそうではありません。
また、アパートにひとり暮らしをしている場合や、2人で暮らしている同棲カップルの場合の「世帯主」は誰になるのでしょうか。
そんな、知っているようで知らない「世帯主」について、詳しくご紹介していきましょう。
「世帯主」って誰のこと?「世帯主」2人ってあり?
法律によると、世帯主は「世帯を主宰する世帯員」のことです。
主宰というと難しく感じますが、「世帯を代表する者」のことで「世帯ごとに定められた代表者」のことを言います。
一般的には、世帯の中で収入が多く、主に生計を支えている人や、世帯を代表するのにふさわしい人が選ばれています。
このとき、法律上、世帯の代表の決め方に決まりはありません。
あくまでも、世帯の「代表」であれば良いとされています。
しかし、法律とは関係なく、会社の決まりとして、世帯主に手当が出ている場合があります。
そのため、父親や夫が世帯主であることが多いのです。
また、同じ家に住んでいても、生計が別なら世帯も別になります。
二世帯住宅の場合などはわかりやすく、この場合、同じ家に住んでいても世帯主は2人です。
住民票は世帯ごとになるので、住民票の「世帯主」欄を見れば、世帯主がわかります。
また、アパートなど賃貸物件を借りるとき、契約者が自分なのだから、世帯主も自分だろうと考えるのは間違いです。
賃貸アパートを借りるときの契約者が自分であっても、世帯主が誰かはあくまでも住民票が基準となるので、勘違いしないようにしましょう。
アパートでひとり暮らしの場合「世帯主」は誰?
学生や単身赴任などで、アパートにひとり暮らしをしている場合の世帯主は誰になるのでしょう。
それは、住民票を実家から、そのアパートに移しているかどうかで決まります。
通常、引っ越しをしたら、14日以内に住民票を移す必要があり、それを怠ると罰則を受ける場合があります。
しかし、一時的に実家を離れる学生や単身赴任者は、生活の拠点が変わらないので住民票を移さなくても罰則を受けることはありません。
さて、それでは、住民票によって世帯主がどうなるか見ていきましょう。
ひとり暮らしをはじめるときに、住民票をアパートに移した場合、そこにはひとりしか暮らしていないので、世帯主は自分自身です。
したがって、公的な書類などで「世帯主との続柄」の欄には、「本人」と書くことになります。
ひとり暮らしをしていても、住民票を移さないで、実家の住所のままにしていると、実家の世帯主がそのアパートの世帯主になります。
また、単身赴任の社会人の場合は住民票に従うと、ほとんどの場合、世帯主は自分または配偶者になるでしょう。
書類に世帯主を書くときは、親が世帯主なら続柄は「長男」や「長女」などとなりますし、配偶者が世帯主なら「夫」や「妻」となります。
では、友人や兄弟と2人でアパートをシェアしている場合や、同棲カップルの場合の世帯主はどうなるのでしょう。
アパートを2人でシェアした場合の「世帯主」は?
友人や兄弟、カップルなど2人でアパートをシェアした場合、世帯主は誰になるのでしょうか。
【2人とも世帯主になる】
前述しましたように、「同じ家に住んでいても、生計が別なら世帯も別」です。
2人でアパートをシェアする場合には、当然、住民票も移すことになります。
そのため、同じアパートに住んでいても、互いに収入があり、生計を別にしていれば、2人とも独立した世帯主ということになります。
つまり、お互いに1人だけの世帯持つということです。
書類を書く際には、世帯主との続柄欄には、それぞれ「本人」と書くことになります。
勤務先などに同棲していることを知られたくない場合は、お互いに世帯主になっていれば、書類を提出する際に同棲を知られる心配はありません。
また、賃貸契約を行うときには、管理会社に2人で暮らすことをきちんと伝えておきましょう。
賃貸契約の際、重要事項説明書や契約書などで、「入居者は1人のみ」「2人での入居は不可」とされているものもあるので、注意しましょう。
1人で暮らすという契約を結んだあとで、こっそり2人で暮らしていると契約違反となります。
退去させられてしまうこともあるので、契約の際はきちんと確認しておきましょう。
アパートを2人でシェアした場合の「世帯主」は?同棲の場合①
それでは、アパートで同棲する場合、世帯主はどうなるのか見ていきましょう。
【どちらか1人が世帯主になる】
2人のうち、どちらか1人が世帯主になるのは次のような場合です。
例えば、ひとり暮らしでアパートに住民票を移していて、世帯主になっている彼あるいは彼女の住むアパートに、恋人が同居したときは、世帯主はもともと住んでいた人になります。
恋人が同居した場合、実家が近く、週に何度も実家に帰っている「半同棲」のような状態なら、生活の拠点は実家にあるとして、住民票を移さなくても問題はないでしょう。
また、同居前に住んでいたアパートなどを解約せず、住民票をそのままにしている場合も問題はありません。
このとき、もともと住んでいた人は、書類を書く際に、世帯主との続柄は「本人」です。
住民票を移さずに同居している人が書類を書く際には、自分が属する住民票の世帯主との関係を書くので、世帯主が親であれば、「長男」や「長女」などになります。
しかし、生活の拠点が2人で暮らすアパートになるのであれば、住民票を移すことをおすすめします。
実際の生活に合わせて、住民票を移しましょう。
アパートを2人でシェアした場合の「世帯主」は?同棲の場合②
同棲している場合、もうひとつの方法としては、未届けの妻、あるいは夫として届け出をする方法があります。
【未届けの妻、夫として届け出】
前述したような、互いを世帯主にする方法とは反対に、未婚でも住民票を2人一緒にすることができます。
その場合は、1人をアパートの世帯主として、もう1人を未届の妻、あるいは夫として届け出をします。
書類を書く際、世帯主との続柄には、届出通り未届の妻、あるいは夫になります。
住民票を1つにするメリットとしては、生計をひとつにしている証明になるので、健康保険や公的年金などの扶養対象にできることです。
また、委任状なしで、お互いの住民票を取ることもできるようになります。
デメリットとしては、同棲を解消したとき、世帯主がそのままその市区町村内に住む場合、住民票に同棲相手の名前が残ることです。
引っ越しをしたとしても、同じ市区町村内の転居では新たな住民票は作られないので、住民票の上書きだけになるのです。
住民票をひとつにするする場合は、このようなことにも注意しましょう。
また、同棲でなくても、同居人として住民票をひとつにすることができます。
世帯主の変更は自己都合でできる?できない?
世帯主の変更は、市区町村の役所で「世帯主変更届」を提出すればできます。
一般的には次のような場合に変更を行います。
【死亡】
世帯主が亡くなった場合には、世帯主を変えなくてはなりません。
新しい世帯主は、亡くなった世帯主との関係性などに特に決まりはなく自由に決められます。
【世帯の合併・分離】
2つ以上の世帯を一緒にする「世帯合併」や、1つの世帯を2つ以上に分ける「世帯分離」を行った場合も世帯主は変わります。
例えば、お互い世帯主で同棲していた2人が、結婚したときは「世帯合併」になります。
また、同居し、同じ世帯で暮らしていた子どもが独立する場合には、「世帯分離」になります。
【転居】
アパートなどに引っ越し、住民票を移すときに、世帯主を記入する欄があります。
このときに記入した世帯主が、新しい住民票の世帯主になります。
この場合は変更ではないので、新たな書類の提出はいりません。
このようなケース以外でも、高齢になった親が子供世代に世帯主を変更するなど、自己都合で世帯主を変えることができます。
世帯主は世帯の代表者
世帯主は、住民票に記載されているその世帯の代表者です。
今までは、親が世帯の代表として世帯主になっていても、独立してアパートにひとり暮らしをするときには、その本人が世帯主になります。
また、2人でアパートなどで同棲している場合などは、世帯主を決めるパターンがいくつかありますが、実際の生活に沿った形で世帯主を決めましょう。