季節を選ばず、景色を楽しみながらほっとできるのが縁側です。
そして、縁側の一種である濡縁(ぬれえん)があると、外でありながら室内のように落ち着いてくつろげる空間が楽しめます。
本を読んだり、日向ぼっこをしてゆっくりお昼寝をするのも素敵な時間ですね。
そこで今回は、濡縁についてご紹介します。
基本的なものがセットになっている濡縁キットでの作り方から、メンテナンス方法までご覧ください。
濡縁とウッドデッキの基本的な違い
みなさんは、濡縁という言葉自体をご存知でしょうか。
現代では、あまり聞きなれない言葉ですよね。
濡縁とは縁側の外に出ている部分で、濡縁に座ってお茶を飲で会話をするのに丁度良い空間です。
縁側の外に出ていることから雨ざらしになり、濡れてしまう縁側という意味で濡縁と名付けられたとされています。
濡縁があることで雰囲気が変わり、とくに和風住宅では人気です。
同じように人気なのはウッドデッキで、こちらはとくに洋風住宅で人気ですよね。
しかし、気になるのは、濡縁とウッドデッキの違いです。
この違いには様々な見解がありますが、基本的な違いとして述べるとすれば、軒が関係しています。
軒がかかっていれば濡縁、軒がなければウッドデッキという解釈です。
また、濡縁は置き型でベンチのように置くことができるので独立していますが、ウッドデッキの場合は建物と一体になっていることが多い傾向があります。
ただし、屋根のかかっているウッドデッキもあるため、絶対的な基準とはなりませんが、軒下にあるかないかで区別するというのも、ひとつの見解です。
では濡縁の素材や作り方、楽しみ方について解説していきます。
基本的には天然木が主流だった濡縁
昔は天然木を使って作った濡縁ですが、現在ではいろいろなバリエーションに富んだ素材があります。
●天然木
パリエーションは増えていますが、濡縁を作るときの基本は天然木になります。
天然木というと、多くの方がその温かみや質感を求めることでしょう。
ただし、長く使用するためには、定期的なメンテナンスが必要になってきます。
●アルミ製
定期的なメンテナンスが面倒であれば、アルミ製の濡縁がおすすめです。
アルミ製は錆びず、腐らないといった特徴がありますから、屋外で使うには特化していますね。
軽くて丈夫なので、持ち運びも楽です。
しかし、夏場には暑くなり、冬場は冷たくなるなど、天候や気温によって左右してしまうので対策しましょう。
●樹脂木製
木の温かみやぬくもりを感じたいけれど、メンテナンスが面倒な場合は、樹脂木製がおすすめです。
アルミのような簡便性を兼ね備えながら、木の雰囲気も味わえるため、人気の高い素材です。
ただし、多少の気温変化でも影響を受けてしまいます。
では、濡縁の楽しみ方や作り方をみていきましょう。
濡縁の作り方を知る前に使っている様子をイメージしよう
新しい物を作る時には、真っ先に作り方を知りたくなるものです。
しかし、作ってからうまく活用できなかったり、思い通りのものではなかったりするとがっかりしてしまいますから、作る前に使っているシーンを思い描いておくことが大切です。
濡縁の作り方を知る前に、どのようにして濡縁を楽しみたいのかイメージしてみましょう。
イメージすることで、より楽しめる空間になりますよ。
大きなテーブルや椅子を置かなくても、ちょこんと座って気軽に使えるのが魅力でもあります。
ウッドデッキのようではないため、スペースは限られていますが、限られた空間だからこその楽しみが生まれるのです。
気が向いたときにお茶を用意し、一人で読書なんていいですね。
ご夫婦であれば、コミュニケーションの場として、なんてことない話をするもの絆が深まるのではないでしょうか。
そして、子供やお孫さんとなら、夏はスイカを食べたり、濡縁に腰かけて花火なんて風情がありますよね。
このように、濡縁のある空間をイメージして、より良い空間を作るための準備をしましょう。
せっかく作り方を見て一生懸命に作っても、活用しないのでは、もったいないですよ。
次では、基本的な材料がそろった濡縁キットでの作り方をお話します。
濡縁キットで組み立てる基本の作り方
濡縁へのイメージができたら、濡縁を購入しましょう。
ホームセンターやネット通販などで販売されている濡縁キットがおすすめです。
基本的な作り方が書いてある説明書も、濡縁作りに必要なパーツもセットになっているので、材料を選ぶ手間もありません。
濡縁を作るときは、マットや不要な布があると、傷がつくのを防ぐことができますよ。
はじめに、必要なパーツが全てあるか確認します。
取り扱い説明書を頼りに、組み立てていきましょう。
組み立ての手順でネジを締めるところがありますが、仮止めしてから、しっかりと締めてください。
このとき、ネジが浮いていないか、ガタついているところはないかも確認しましょう。
ガタつきがあれば、ネジを緩めて調整し、再度ネジを締めます。
最後に、転倒防止金具を取り付けていきます。
転倒防止金具は、縁の転倒を防止する大切な部分なので、確実に取り付けましょう。
いろいろな作り方がある濡縁!状態を見極めて再塗装をしよう
キットではなく、日曜大工が得意なかたは、手作りで濡縁を作っているかたもいらっしゃいますよね。
しかし、作り方がキットであれ手作りであれ、きちんとしたメンテナンスを行っていなければ、せっかくの濡縁も台無しです。
木を使ったもので気になるのは、腐朽ですよね。
雨ざらしになることで名付けられた濡縁ですが、木が腐る条件としては、基本的に水分と温度と空気です。
これらが三拍子そろってしまうと、木の腐朽が進みやすくなるのです。
そして木材は、呼吸をするかのように、常に水分を吸収したり、発散したりしています。
水分を吸収しているときの木材の状態は膨張しており、反対に発散しているときは収縮しています。
こうしたことで、反りや割れなどの現象が起こるのです。
外に置かれる濡縁ですから、直射日光や雨風の影響を受けてしまうのは、防ぎようがありませんね。
とくに、紫外線による日焼けによって、木材の組織が破壊されていきます。
真新しいときは赤みを帯びていますが、日を追うごとに灰色に変わってくるでしょう。
日焼けしているのは木材の表面なので、強化の低下に直接関係してくるわけではありません。
ただし、破壊された組織は水分を含みやすくなり、やがて腐朽するに適した環境を作り出してしまうのです。
そのため、定期的に再塗装を行う必要があります。
濡縁の再塗装をするタイミングは?
設置した当初は輝いていた濡縁ですが、先ほどお話したとおり、メンテナンスを怠っていると美観さえ失われていきます。
再塗装を施さなくても極端に腐朽が進むというわけではありませんが、より長く美しく濡縁を保つために、再塗装は必要になってきます。
塗装が劣化する原因は、紫外線と雨風に加え、歩行などの摩耗によるものです。
座面はこうした環境が揃うため、一年に一度、日当たりがほとんどないような垂直面は、三年に一度再塗装を行いましょう。
なお、裏面は基本的に再塗装は行う必要はありません。
塗料ですが、純正の塗料を使う必要はありませんが、屋外用のステイン塗料を必ず使いましょう。
ペンキで塗ってしまうと、木の内部にある水分が抜けにくくなつので、結果腐朽を早めてしまいます。
では、塗料の方法を順に見ていきましょう。
①塗装をはじめる前に、汚れや砂などを落として掃除しておきます。
水を使った掃除をしたときは、完全に乾くまで乾かしてください。
濡れたままだと、塗料を塗ったときにムラになってしまいます。
②塗料がついてしまっては困るところに、マスキングテープを使って保護していきます。
③使う分の塗料を希釈します。
作り方は塗料と水を1:1の割合で希釈してください。
④ハケを使って目立たないところで試し塗りをしましょう。
問題が無ければ木目に沿りながら全面を塗装します。
もし、塗料が塗装したくないところについてしまったら、すぐに濡れ雑巾で拭いてください。
染み込みにくい素材なら拭き取れます。
もし二度塗りしたい場合は、一回目から一時間ほど経過してから塗りましょう。
⑤塗装が完了すれば、三時間ほどで乾燥しますが、完全に乾くまでには丸一日かかります。
完全に乾くまでは、物を置いたり水をかけることは避けてください。
生活の一部に濡縁を!
慌ただしく生活する環境のなかで、どこかでほっと落ち着きたいと思うのは必然です。
濡縁は、そうした空間を演出してくれることでしょう。
毎日の生活の中で濡縁を活用して、好きなことをして過ごしてみてくださいね。
精神の落ち着きはもちろん、リフレッシュにもなりますよ。