害虫から私達を守ってくれるバルサンは、テレビのCMでもお馴染みですよね。
バルサンは、不快害虫のダニやゴキブリを一網打尽に駆除してくれる殺虫剤です。
とても頼りになる殺虫剤ですが、その一方で人体のみならず、ペットへの悪影響がないかどうか不安になります。
そこで今回は、バルサンの生物への安全性と、賃貸物件でバルサンを使用する時の注意点についてお話しします。
ペット共生型賃貸物件は増えている
近年において、ペットと一緒に住むことを目的に建築された「ペット共生型賃貸物件」も増加しています。
ペットとの生活は癒されますよね。
共生タイプならば、足の洗い場・リードフック・傷がつきにくい床材を使用・ペットの感電防止のためにコンセントの位置が高く設置されていたりします。
このように設備も充実していて、ペットも快適に暮らせる部屋に工夫されているのですね。
また、他の住人も同様にペットを飼っています。
そのため入居者同士で良いコミュニケーションが図れ、ご近所付き合いも円滑になります。
しかし、ペット可物件とはいえ、飼えるのは猫や小型犬のみだけであったり、1匹までなど、ペットの種類や飼育数に定めがある物件も存在します。
大型犬や多頭飼育、犬や猫以外のペットを飼いたい場合は、入居前に必ず貸主に相談をしましょう。
ペット可物件は、家賃や敷金が少し割高です。
なぜならば、ペットが建物を破損したり汚す可能性が高いからです。
原状回復費の取り決めも物件によって違います。
後々トラブルにならないためにも、契約前には必ず貸主に確認をとっておきましょう。
さて、ペットとの同居は楽しいものですが、室内を清潔にしていないとダニなどの害虫の大量発生に影響してしまいます。
次項からは、害虫駆除にもってこいのバルサンについてお話を進めていきます。
賃貸物件でバルサンを使用する前にやるべきこと
バルサンを室内で使用したことがある人はお分かりだと思いますが、バルサンを使用すると煙が沢山でます。
賃貸物件はあくまでも貸主の所有物です。
ですから、貸主に何も連絡を入れないままバルサンを使用するのは、マナー違反になる可能性があります。
物件によっては、バルサンの使用を禁止しているところもあるそうです。
まずは貸主に、バルサンを使用してもよいか許可をとりましょう。
OKが出たら、実際に使用する前にもう一度貸主に、「これからバルサンを焚きます」と伝えておくことも大切です。
また、賃貸物件でバルサンを使用する際に配慮しなければいけない点があります。
それは、隣人への事前連絡です。
他人に無関心なこのご時世においては、隣人と挨拶すら交わしていないという人も多いですよね。
しかし、バルサンの様に室内中に煙が充満するような殺虫剤を使う以上、隣人への事前連絡は必須です。
その理由をお話ししますね。
まず、バルサンの煙が自分の部屋から漏れてしまう可能性があるからです。
古い物件においては壁がヒビ割れていたり、隙間がある場合があります。
そういった場所から煙が漏れてしまい、隣の部屋に煙が流れていってしまう可能性はゼロではありません。
いきなり隣の部屋から煙が侵入してきたら、隣人は「火災が起きているのか」と驚いてしまいますよね。
この他にも、賃貸物件でバルサンを使用する時の注意点を以下にまとめました。
●煙が出ることで、火災報知機やガス警報器が反応する可能性があります。
反応してしまうと大騒動になり、周囲の人に迷惑をかけてしまうことになりかねません。
火災報知機などには、必ず保護カバーをしておきましょう。
●万が一の悪影響を考えて、ペットはあらかじめ部屋から退避させておきましょう。
●室内の物品を、布やゴミ袋などで覆っておきましょう。
人体・ペットへの影響が心配!バルサンの殺虫成分について
害虫の中でも、特に素早い逃げ足のゴキブリの駆除はとても大変ですよね。
そのため、バルサンなどの燻煙剤型の殺虫剤を使用している人も多いです。
燻煙剤型の殺虫剤を使う時に最も気になるのは、人体やペットなどの生き物への悪影響の有無ではないでしょうか。
使用方法に従って正しく使用すれば、人体やペットなどに害は出ないと公表されています。
自分の身やペットを守るためにも、バルサンの燻煙剤に含まれる「フェノトリン」と呼ばれる殺虫成分について知っておきましょう。
フェノトリンは、ピレスロイド系殺虫剤と呼ばれる殺虫剤の一種です。
ピレスロイド系の殺虫成分の主な特長は、
●即効性に優れ、残効性も高い
●潜んでいる害虫を飛び出させる効果がある
●人体に対して毒性が低く安全である
●光などで分解され、環境にも優しい
となります。
こうやってみると、正しく使用すれば、安全に使用できるということがわかりますね。
バルサンの人体への影響
ここからはバルサンの人体への影響について、詳細に見ていきましょう。
煙を直接大量に吸い込んでしまえば、当然人体にも悪影響が出る可能性もあるかもしれません。
とはいえ、バルサンは哺乳動物には安全性が非常に高い製品です。
しっかりと用法用量を守って使用し、使用後は30分以上換気をしましょう。
もしも成分が床などに残っていたとしても、光で分解されてしまうので、人体への悪影響を心配する必要はありません。
ただし、皮膚への弱い刺激性があるそうです。
ですから、幼い子どもが煙を直接吸ってしまった場合には、喉などが炎症を引き起こす可能性もあります。
使用する時は、煙を吸い込む可能性を完全に無くすためにも、必ず室外に出ましょう。
ハイハイ期の赤ちゃんがいるご家庭は、特にバルサンの使用を躊躇しがちですよね。
赤ちゃんは何でも口に入れてしまったり、床をハイハイした手を舐めてしまうかもしれないからです。
薬剤が体内に入ってしまう可能性を考えると、やはり親は心配になってしまいますね。
もちろん、30分以上の換気をして床などを乾拭きすれば、赤ちゃんが床やカーペットなどを触っても心配はありません。
しかし、念には念をで、赤ちゃんが手にするオモチャなどは、予めビニール袋に入れるなどして、煙が直接当たらないように工夫してあげましょう。
次は、バルサンのペットへの影響について詳しく見ていきましょう。
バルサンのペットへの影響は?
ペット共生型賃貸物件でペットを飼っている人は、大切なペットへのバルサンの影響も気がかりですよね。
ペットで人気が高いのは、やはり犬・猫・うさぎなどの哺乳動物です。
動物好きにとっては、愛らしいお顔と柔らかい毛並みがたまりませんね。
ペットは人間同様に大事な家族の一員です。
では、ペット達にバルサンの殺虫成分であるフェノトリンの影響はないのでしょうか。
残念なことに、アメリカではフェノトリンを誤って摂取したことで、猫が死亡したという事例もあります。
これはフェノトリンが含まれた猫・子猫用ダニ・ノミ取り首輪を舐めてしまったことで起きた事故でした。
バルサンは首輪と違って、ペットが常に身に付けているものではありません。
しかし、犬や猫が普段接触している床にフェノトリンが残留していた場合は、手足を舐める行為によって、フェノトリンが体内に入ってしまうかもしれません。
また、猫を飼っている場合は、猫タワーを置いている家庭も多いですよね。
猫タワーも事前に室外に避難させておかないと、猫タワーにフェノトリンが残留する可能性があります。
バルサンを使用する際は、人間と一緒に、必ずペットも室外へ避難させましょう。
そして使用後は30分以上の換気をし、部屋の床や家具を乾拭きしてからペットを入室させてください。
魚や昆虫がペットの場合の対処方法
適正な使用方法を守れば、人間やペットなどの哺乳動物にバルサンを使っても安全です。
では、魚類や昆虫への影響はどうでしょうか。
実は、金魚などの魚類には毒性が強いです。
ですからまず、魚類も必ず室外に避難させてからバルサンを使用してください。
くん煙剤を始動して、所定時間室内を閉め切った後には、充分に換気が必要です。
そして、次が大きなポイントとなります。
ペットが哺乳動物の場合との大きな違いは、3日間はバルサンを使用した室内に魚類を戻さないようにすることです。
間違いやすいので充分に注意して欲しい点です。
また、どうしても室外に移動できないような大きな水槽や、いけすのある場合もあります。
そういった場合は残念ですが、バルサンの使用をあきらめましょう。
さらに、魚類だけでなく、昆虫類にも毒性が強いです。
だんとつで人気の昆虫と言えば、カブトムシですよね。
大人も子どもも夢中になっている人が多く、カブトムシの種類によってはとても高価なものもいます。
魚類と同様に、必ず室外に避難させておいてから使用してください。
そして3日間はバルサンを使用した室内に戻さないように、気をつけてくださいね。
バルサンを使用する前には、ペットの避難場所をあらかじめ確保しておきましょう。
バルサンを正しく使ってペットの命を守る
バルサンは哺乳動物への安全性はとても高く、ペットへの影響も、用法容量を守り正しく使えば心配することはないようです。
すべては正しく使うことが前提ですので、充分に気をつけてくださいね。
また、アパートで使用する際は、トラブル回避のためにも「隣人への事前連絡」と「火災報知機の保護カバー」を忘れずにしておきましょう。