貴金属製品に押されている刻印について、どれくらい知っていますか?
よく知られているところでは、「K18」や「K24」などがありますね。
刻印は、金の純度を示す金性(きんしょう)や、ブランドを表しています。
したがって、刻印にはさまざまな種類があり、注意しなけばならない刻印もあるのでご紹介していきましょう。
また、「SNマーク」についても触れていきたいと思います。
貴金属製品の刻印の意味と「SNマーク」について
貴金属製品に押されている刻印は、イギリス発祥と言われていて、1300年代から使われています。
刻印は正式には「品位証明記号」と言い、前述したように、その貴金属の金性や品質の情報を表すものです。
したがって、貴金属の売買などで査定する際には、この刻印が重要になってくるのです。
ちなみに、「品位証明記号」は、別名「ホールマーク」と呼ばれていて、イギリスで打刻をしていた「ゴールドスミスホールド」というギルドの名前が由来となっています。
日本では1929年から刻印されるようになったのですが、特に検定制度はなく、刻印を表示する義務はありません。
つまり、それぞれの業者が任意で刻印することが出来るのです。
もちろん、刻印に嘘があれば、詐欺罪に問われますが、紛らわしい刻印には注意しなければなりません。
では、一般的な刻印を見ていきましょう。
一般に金は柔らかく、純金の状態では加工に向かないため、金に他の金属を混ぜて固さを調整してから加工しています。
加工する際に混ぜる金属を「割り金(わりがね)」と言い、割り金として使われる金属には「Cu=銅」や「Sn=すず」、「Ni=ニッケル」などがあります。
そして、その割合によって「K18」や「K14」などと表記しています。
「K18」は「18金(きん)」と呼ばれ、金を75%使用しているので、「K18」の他に「750」という刻印を使用するのが一般的です。
また、「14金」は金を58.5%使用しているので、刻印は「K14」と「585」になります。
刻印には、金性の他にブランドの刻印があり、「SNマーク」が刻印されているものは、日本の貴金属ブランド「中川装身具工業」のブランドマークです。
品質を表す貴金属製品の刻印
前述のように、貴金属の刻印にはその品質を表すものと、「SNマーク」のようにブランドを表すものがあります。
もう少し、詳しく貴金属の刻印について見ていきましょう。
例えば金の装飾品などの刻印は、「金の純度を表す記号=K(カラット)」と「主金属含有の千分率」で表されています。
先程、「K18」は75%の金を使用していると述べましたが、「金の純度を表す記号=K」と「主金属含有の千分率=750」が表示されていることになります。
そして、残りの25%が割り金で、「Cu=銅」や「Sn=すず」、「Ni=ニッケル」などがこれにあたります。
ちなみに「主金属含有の千分率」とは、100%=1000とした場合の数値です。
そのため、「K18」の場合、75%の含有率なので表記は「750」となります。
なお、金の場合はプラチナや銀と違い「24分率」が使われているので、「24=100」と考えますから、「18=75」となります。
それは金が、100分率や1000分率が使われるよりもずっと以前から親しまれていたことの証です。
1日が「24分率」、つまり24時間で表されているように、古くから人々は「24分率」を使用していました。
古くは重さを天秤で計っていたので、使用しやすかったのです。
例えば、金が75%、割り金が25%、割り金の内訳が「Cu」と「Sn」を半分づつとすると、18:3:3となるので、天秤で計るにはとても計りやすい、ということになります。
したがって、金を表すのは今でも「24分率」なのです。
割り金「Cu」や「Sn」などは刻印されている?
貴金属製品の刻印表記についてお分かりいただけたかと思います。
では、ブランドを表す「SNマーク」などの他に、割り金にあたる「Cu」「Sn」などは刻印されていないのでしょうか。
アクセサリーに関して言えば、JJA=日本ジュエリー協会では、「ISO=国際標準化機構」「JIS=日本工業規格」「CIBJO=国際貴金属宝飾品連盟」の規格をクリアしていて、消費者の不利益にならないものを基準としています。
しかし、JJAでは「割り金も刻印することが好ましい」としてはいますが、特に規定を定めてはいません。
また、アンティークのアクセサリーでは、刻印さえないものもあるので、統一するのは難しいようです。
日本の造幣局では、金の品質証明は6区分あり、日の丸がはためいている造幣局の記号と、横長のひし形の上にそれぞれの純度を示す数字を刻印しています。
造幣局でも、金の純度を「750」「585」と表していますが、その他の金属=割り金についての表示はされていません。
例えば、「K18」のホワイトゴールドと呼ばれる白系の割り金が含まれているものと、ピンクゴールドと呼ばれる赤系の割り金が含まれているものは、見た目の色が違っていても、金の純度は変わらないので「K18/750」の表示になります。
貴金属の刻印「ホールマーク」や「SNマーク」があれば安心?①
貴金属製品の刻印について見てきましたが、「ホールマーク」や「SNマーク」のようなブランドの刻印があれば安心して良いのでしょうか。
割り金にあたる「Cu」「Sn」が刻印されていなくても、造幣局の「ホールマーク」や「SNマーク」があれば品質は保証されているはずです。
しかし、残念ながら、貴金属製品には偽造、偽装が多いのです。
もちろん、偽造や偽装は犯罪です。
しかし、刻印を巧妙に偽装したものは、なかなか見分けがつきません。
そこで、すぐに見分けがつく注意すべき刻印をいくつかご紹介しておきましょう。
《アトK(ケイ)》
今までご紹介してきた刻印は「K18」「K14」など、数字の前に金の純度をを表す「K」が付いていました。
それとは違い「18K」「14K」など、あとに「K」が付いている刻印が存在します。
あとに付いている「K」なので、「アトK」と呼ばれています。
日本国内の古いアクセサリーやヨーロッパ、東南アジア、ハワイなどで作られたものに多く見られます。
製造の技術が未熟で、刻印してある金の含有量が少ない場合や、あえて金を少なくしているものがあります。
《「純金」という刻印》
漢字で「純金」とだけ刻印してあるものは、純金に満たないものが多いようです。
《シナ金/足金》
主に中国で「純金」と言って販売されているものです。
見た目は、一般の金製品よりも黄色味が強いので、判断がつきやすいでしょう。
「足金」と刻印されているものもあり、ほとんどの場合は「K21.6~22」ほどで純金ではありません。
貴金属の刻印「ホールマーク」や「SNマーク」があれば安心?②
引き続き、貴金属の注意すべき刻印を見ていきましょう。
《WG》
「WG」の刻印があると、ホワイトゴールドと思われがちですが、通常は「K18WG」や「K14WG」と刻印されています。
「WG」の刻印だけのものは、金がほとんど含まれていないものが多く、銀やニッケルなどにメッキ加工をしただけの粗悪品が多くみられます。
このようなものは、貴金属としての価値は全くありませんのでご注意ください。
《GP/GF》
「K18」のあとに「GP」や「GF」と刻印されていたら、それは金メッキ製品です。
先程の「WG」と同じように違う素材にメッキ加工をしたもので、盃や小判などに多く見られます。
他にも「GR」「GEP」「HGE」などがあります。
このようなことを知っていれば、刻印を見ればその貴金属が本物かどうか分かります。
いずれにしても、数字の後にアルファベットが付いている、または単独の表記のものは疑ってかかった方が良いかもしれませんね。
最後に、前述した「SN」をブランドマークとして持つ、「中川装身具工業」をご紹介しておきましょう。
貴金属製品の刻印「SNマーク」は信頼の証
それでは、「中川装身具工業」について見ていきましょう。
「中川装身具工業」のブランドマークは、「へ」の字をふたつ組み合わせたひし形の真ん中に「SN」と書かれています。
「中川装身具工業」は、もともと「かんざし作り」に携わっていた創業者が、独自の装身具雑貨製造技術を開発して商売を興し、1930年(昭和5年)に合資会社として創業しました。
創業当時から市場はアメリカを始めとする海外で、キリスト教用の数珠ローザリー注文が多くあり、アメリカやカナダに輸出し、それがどんどん拡大していきました。
国内販売を始めるのは、そのずっと後、1943年(昭和18年)戦時中からになります。
その後、1972年(昭和47年)には現地法人をアメリカで設立、大手のアクセサリーメーカーに自社製品の販売を開始し、その後、ドイツや香港にも現地法人を設立しました。
1979年(昭和54年)には、「中川貴金属工業株式会社」設立し、本格的に貴金属の生産をはじめます。
このように早くから海外へ進出し、実績を積み、満を持して貴金属の生産に取り組みました。
1987年(昭和62年)には、社名を「中川装身具工業株式会社」に改称し現在に至ります。
また、1995年(平成7年)には、世界的なキャラクターを持つ大手企業とライセンス契約を結んでいます。
このようなことから、「SNマーク」の刻印は信頼の証と言えるのです。
貴金属の刻印の意味を正しく知ろう
刻印はその貴金属の品質やブランドを表しているとお話ししてきました。
しかし、刻印には紛らわしいものも多くあるので、刻印の意味を知ることが大切です。
日本のブランドでは「SNマーク」の「中川装身具工業」がありますが、これは割り金の「Sn=すず」と同じ「SN」が使用されています。
表記が違っていますが、紛らわしいものと言えます。
割り金が刻印されることはあまりありませんが、このようなことを知っていると貴金属を購入する際の目安になるので覚えておくと良いでしょう。