不幸なできごとは、実際に自分の身に降りかからないと、怖さを実感できないものです。
しかし、賃貸経営には多くの責任が伴いますので、トラブルが起こる前に被害を最小限にする努力をしなければなりません。
その一つが、火災保険です。
今回は、火災保険の重要性や注意点について取り上げましょう。
その前に、火事と火災の違いについてご説明しますね。
火事と火災に違いはあるの?
最初にマメ知識として、火事と火災の違いについてご説明します。
まず、火事から意味を調べてみると、「建築物や山林が焼けること、火災」と書かれています。
もう答えは出てしまいましたが、今度は火災について辞書を引いてみましょう。
すると、案の定、「火による災難、火事」と書かれています。
つまり、この二つの言葉に大きな違いは無いのです。
ですが、使われ方に少し違いがあります。
例えば、家が燃えているのを発見した時、「火災が起きてるよ!」と叫ぶ人は少ないのではないでしょうか。
「火事だよ!」と言う方が普通です。
また、消防の文書や保険では「火災」という言葉が使われます。
「火災保険」は聞いたことがあっても「火事保険」は耳慣れないですよね。
このように、一般的に使われるのは火事という言葉ですが、公式な文書で処理されたりする時には火災という言葉を使います。
使われている漢字を考えると、「火事」というのは物事、現象のことで、「火災」は火によって被った災い、というふうに理解することもできますが、基本的には同じことのようです。
ちなみに、ボヤと火事の違いですが、ボヤは「小さな火事」なので、被害の大小を表わすだけ、ということです。
「火事だったよ!」と言われて、「いや、あれはボヤでしょう。」と言ってしまうと細かい人だと思われてしまうので注意しましょう。
こうした、普段何気なく使っている言葉の違いについて考えるのも面白いですよね。
火事のリスクを考えよう
「対岸の火事」という言葉があります。
川や海の向こう側(対岸)で起きている火事は、自分のところに燃え移ることも考えにくいですよね。
大量の水がガードしてくれます。
こうしたことから、「対岸の火事」というのは「大変なことが起きていても自分には全然関係ない」という意味で使われます。
「竹屋の火事」、「地震雷火事親父」、「火事場の馬鹿力」。
「火事」という言葉を使った慣用句は多く、どれだけ身近に起きる出来事だったのかが分かります。
大人になるまでに、火事を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
火事は気をつけていても、何らかの間違いで起こってしまいます。
ましてや、賃貸経営をしている場合、自分がどんなに気をつけても住んでいるのは他人なので、防ぎようがない部分もあります。
では、あまり考えたくないことですが、所有する物件で火事が起きてしまわないように、どのような対策を練ればいいのでしょうか。
気になる火災保険のことも記事の後半でご説明します。
小さな火事でも大変!日頃の意識が違いに
実際に物件で火事が発生した場合、近くに住んでいると気が付かないこともありますよね。
管理会社から連絡が来て、初めて知ったというケースも多いのです。
幸い、筆者は経験したことはありませんが、自分の財産が炎に包まれたと知ったらゾッとすることでしょう。
もし、ボヤ程度の小さな被害で済んだ火災だったとしても、入居者の不安感やストレスは計り知れません。
また、消防車が火を消すために窓ガラスを割ったりドアを壊すこともあり、ボロボロになった部分を見るとため息が出ますよね。
もし、放水があれば、そこら中水浸しになってしまいます。
しかし、物件の被害よりも気になるのは、入居者の安否です。
命を落としてしまうような最悪の事態も想定すべきですし、軽い怪我で済んでも跡が残るかもしれず、心配です。
入居者の命を守るためにも、消火器は必ず設置しておきましょう。
さらに、使用期限にも気を配りましょう。
こうした意識の違いだけでも、被害を少し少なくすることができるのです。
火事の原因って?火災保険が大切
火事の原因は様々です。
放火や料理中のガスコンロからの出火、漏電などが思いつきますが、他にも、電気代を節約するため、炭で火を起こしていたことによる火事というケースもあります。
また、「炭や灯油は所持してはいけない」と契約していても、黙っていれば分からないだろうと考える人もいます。
「よく確認していなくて知らなかった、忘れていた」と言い訳されたら、強制的に退去してもらうわけにもいきませんよね。
感情的にならず、かと言ってうやむやにせずに、しっかり注意して再発を防ぎましょう。
そして、やはり大切なのは「火災保険」です。
きちんとした火災保険に加入しているかどうかで、事態は大きく違いますよね。
では、どんな火災保険に入っておくべきなのでしょうか。
次項からご説明します。
火災保険の注意点!「施設賠償責任保険」もおすすめ
火災保険の選び方としては、普通のマイホームの火災保険と違いはありません。
注意点としては、内容の確認を細かい点までしっかりと行うという事です。
例えば、一定の補償を考えられたパッケージ型の保険の場合、必要ではないような補償まで付いていて、余計なお金を支払わなければならないケースもあります。
火災保険は、火事の他に、竜巻・雷・洪水・土砂崩れなどの自然災害もカバーしてくれますが、本当に必要性がある補償なのか吟味する必要があるでしょう。
また、分譲マンションなどでは、専有部分の建物に該当する、戸室内の内装・設備に掛けることになります。
この場合、マンションの管理組合が管理している共用部分についても確認しておくことをおすすめします。
もしかしたら、地震保険には契約していないかもしれません。
いざとなった時に慌てないように、物件や住まいの火災保険には注意したいですね。
さらに、おすすめなのは「施設賠償責任保険」です。
こちらは、所有物件などで事故やトラブルがあった場合に火災保険では対応できない面をカバーしてくれるものです。
つまり、看板の落下など思わぬ事故で入居者や通りすがりの方に怪我を負わせてしまったり、誰かの所有物が壊れた場合に、損害賠償金をこちらから支払うことができるのです。
違いの分かる経営者に!火災保険選び
さらに火災保険についてくわしく考えてみましょう。
アパートなどを購入する場合、ローンと同時に長期契約保険の加入を銀行にすすめられるケースが多いものです。
これは、簡単なようでデメリットもあります。
提案されたものの他にも、所在地の災害リスクなど考えて、無駄がなくお得な火災保険や火災共済もあります。
すすめられるまま加入して、損をしないように比較検討しましょう。
また、長期契約保険の場合、物価の変動時、あらかじめ設定した保険金額と実際にかかる金額とに違いが生じることがあります。
もし、更新がなく見直しが長年されずに加入しておくと、火事が起きた際に困るという事も考えられます。
すでに契約された方も、一度内容を確認してみることは大切ですよ。
また、こちらが十分な内容の保険を選びたいと思っても、家賃が高くなることで入居者が集まらないかもしれませんよね。
見直しされる際はご注意ください。
火災保険について考えよう
火災保険の大切さについてご理解いただけたでしょうか。
補償内容については、すすめられるものを信用しきって加入するのではなく、しっかりご確認してから選んで下さい。
また、定期的に見直しすることも重要です。
なかなか自分では判断が難しいこともありますので、保険会社選びは慎重に決めたいものですね。
そして、火災保険以外にも施設賠償責任保険などもありますので、思わぬ事故によるダメージが少なくて済むように、ご検討してみてください。