大家さんにとって、管理するマンションの修繕費用の工面は悩みですよね。
修繕積立金を値上げしたくても入居者が反対し、うまくいかないことがあるようです。
今回は、修繕積立金の値上げに反対された場合、大家さんはどう対応すれば良いのかをお伝えします。
修繕積立金を値上げしたいけれど、入居者の理解が得られるかと不安な大家さんは、参考にしてみて下さい。
修繕積立金は値上げが必要!
マンションなどでは、入居者から「修繕積立金」として毎月数万円を徴収している大家さんは多いことでしょう。
この修繕積立金とは、その名の通り、建物の修繕に充てられるお金ですよね。
そして、その相場は、大家さんの考えや、建物の規模・築年数などによって異なります。
建物は築年数が経つにつれ、やはり様々な部分にトラブルが発生します。
その場合、修繕が必要になり、修繕する場所が多ければ多いほど、その費用もかさみます。
そうなると、場合によっては、修繕積立金だけでは費用が足りないということが出てきます。
そうなると、やはり修繕積立金の値上げも検討しなければなりませんよね。
しかし、入居者にとっては、修繕積立金が値上げされるのはあまり良いことではありません。
そのため、値上げに反対する入居者もいます。
月々支払う金額がたとえ数千円でも上がるのは、誰にとっても嫌なことだからです。
しかし、費用が足りないからと言って、大家さんが自分で管理する建物のトラブルを放置することはあってはなりません。
雨漏りなどのトラブルや、建物の傷みを放置すると、建物の安全性や入居者の快適な生活を確保・提供することを難しくしてしまいます。
修繕積立金は、大家さんだけでなく、入居者の安全のためにも必要なお金なので、値上げについても、きちんと入居者と交渉しましょう。
修繕積立金の値上げが必要になるのはなぜ?
前章では、修繕積立金の値上げは、マンションの維持管理にとって必要なことだとお伝えしました。
なぜ、修繕積立金の値上げが必要になるのでしょうか。
マンションなどの建物は、年数が経てば老朽化し、修繕が必要になります。
その際、修繕のために多額の費用が必要になるのは目に見えていますよね。
それならば、いずれ修繕にかかると予想される費用を、あらかじめ徴収しておけば良いのに、そうなっていないのが入居者にとっては不思議なことです。
また、大家さんの中にも、「修繕積立金をいきなり上げるから、入居者が反対するのではないか」と考える人もいるでしょう。
それには、マンションを売る側の思惑が関係しています。
マンションを売る側には、修繕積立金を安く設定することにメリットがあるのです。
マンションを購入する際にはローンを組む人が多いですが、ローンの借り入れ前には、自分がいくらまで借りられるのかシミュレーションしますよね。
そして、その中には、修繕積立金といったランニングコストも含まれています。
そこで修繕積立金を安くしておけば、入居者は住宅ローンを多く借りることができます。
しかし、修繕積立金が安いので、修繕が必要になる頃にはそれに充てるお金が到底足りません。
そういった理由から、マンションが建てられてすぐは修繕積立金が安く設定されており、年数が経つにつれて少しずつ値上げされていくのです。
修繕積立金の値上げをする理由やタイミングは?
では、築年数が経ち、修繕積立金の値上げが必要になった場合、それをどう入居者に伝えれば良いのでしょうか。
まず、「税金が上がったこと」を理由に挙げると、入居者の理解を得やすいとされています。
土地や建物にかかる税金が上がっているのであれば、修繕積立金を値上げする正当な理由になります。
なぜなら、土地や建物の税金が上がれば、必然的に建物の維持・管理に回すお金が少なくなり、その分、修繕積立金が多く必要になるからです。
また、値上げをお願いするには、契約更新時に、値上げの理由といつから上がるのか、上がった場合の総支払い額を文書で伝えるのが一般的でしょう。
契約更新のタイミングで、理由まできちんと書き添えて伝えると、修繕積立金の値上げに反対する人が少ないと言われています。
しかし、この方法を取ればスムーズに値上げができるわけではありません。
こうしたやり方でも、入居者から、値上げに反対されてしまうことがあります。
次の章では、入居者から修繕積立金の値上げに反対されてしまう理由について見てみましょう。
入居者が修繕積立金の値上げに反対する理由は?
入居者が修繕積立金の値上げに反対する理由には、色々あります。
はじめにもお伝えしましたが、単に、毎月の支出が増えるのが嫌だということだけではないことが多いです。
「修繕積立金を値上げされては困る要因」があるのです。
その要因とは、例えば、
・車のローンや教育ローンなどを抱えていて、数千円の値上げでも生活に響く
・仕事が不安定で収入が安定しない
などといったことが多いでしょう。
こうした理由で反対する入居者は、修繕積立金を値上げさせまいと、必死で抵抗します。
また、大家さんが信頼されていない場合も、入居者は値上げに反対しがちです。
「大家さんは修繕に必要と言うけれど、どこを修繕するのだろうか」、「値上げの本当の目的は違うのではないか」などと疑ってしまうのです。
こうした状況で入居者から反対されてしまった場合、どうすれば良いのか分からず、困ってしまう大家さんも多く見られます。
次の章では、修繕積立金の値上げに反対された大家さんの、取るべき対応についてお伝えします。
値上げに反対されたら、大家さんはどうすべき?
修繕積立金の値上げに反対する入居者を説得するには、やはり、誠意を持って、値上げの必要性を伝えるしかありません。
大家さんとしては、入居者に反対されても、修繕積立金を値上げしないという選択肢はないというのが本音ですが、入居者にも、それぞれ様々な事情があります。
それを無視して、修繕積立金の値上げを強引に進めようとしても、うまくいくわけはありませんよね。
まずは、どうして修繕積立金の値上げに反対しているのかを、反対する入居者一人一人に確認しましょう。
そして、「ローンの支払いが大変だから値上げしないでほしい」という入居者には、「大変な状況の中で、値上げをお願いして申し訳ない」ということを伝えましょう。
一方、「値上げで集めたお金を、本当に修繕に使うのか」という思いから反対している入居者には、「どこがどう傷んでいて、どう修繕するのに資金が大体いくらかかるのか」を具体的に伝えます。
かかる費用に「あといくら足りないのか」を説明し、それを確保するには、一人当たりいくらの値上げをしなければならないのかを明確にすることで、支払いに応じてもらえるかもしれません。
それでも難しいようなら、このまま修繕積立金の値上げができなければどうなるかを、丁寧に説明しましょう。
・修繕のための工事ができず、建物が老朽化するのが早まる
・老朽化した建物に住むのは入居者にとって危険
など、入居者にもデメリットがあることを分かってもらいましょう。
しかし、決して感情的になってはいけません。
あくまでも、入居者に「お願いする」というスタンスを取るのがおすすめです。
反対者を減らす修繕積立金の値上げ文書とは?
最後に、修繕積立金の値上げ交渉を成功させるための、通知文書の書き方をご紹介します。
文書で伝える際は、文字だけなので、一方的で淡々とした印象を入居者に与えてしまいがちです。
そのため、書き方や言葉の選び方で、入居者に配慮する工夫が必要です。
例えば以下のことに気を付けて、書くようにすると良いでしょう。
流れは以下のようになります。
①挨拶
②マンションの契約時から◯年経ったこと
③諸経費の値上がりで、修繕積立金の値上げが必要になったこと
④いつからいくら値上げするのか
⑤ご理解いただくようお願いする文言
①の挨拶というのは、定型文のことです。
例えば、「拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」などがそれにあたります。
きちんとした文書なので、堅苦しく感じても、やはり挨拶文は入れましょう。
②何年経っているのかが分かれば、「老朽化しているから値上がりも仕方ない」と納得してもらえるかもしれません。
③修繕積立金の値上げが必要になった理由も明記しましょう。
④いつからいくら値上げするのか、明確にしましょう。
⑤値上げの承諾をお願いする文書なので、最後に「よろしくお願い申し上げます。」と一言添えます。
このようにすれば、比較的、入居者の理解を得やすいと思われます。
修繕積立金の値上げに反対されることも、減るでしょう。
修繕積立金のスムーズな値上げに繋げられるよう、最善を尽くしたいですね。
修繕積立金に値上げが必要なら誠実に理解を求めよう!
今回は、修繕積立金の値上げに反対された場合の大家さんの対応をご紹介しました。
建物の維持や修理に必要な値上げであれば、入居者と根気強く交渉し、理解を得ましょう。
誠意を持って説明すれば、分かってもらえるはずです。
そして、値上げした分は、きちんと建物の維持や修理に活用しましょう。