二世帯住宅の気になる価格は?実家に土地ありの場合いくら?

実家を建て直して新たに二世帯住宅を作る場合、気になるのはその価格です。

すでに土地ありなのですから、家の建築費用のみになるはずですが、果たしていくらぐらいになるのでしょうか。

今回は二世帯住宅の種類とその価格、および価格を抑えるポイントなどについてお話いたしましょう。

実家のある土地に二世帯住宅を建てると親世帯にどんなメリットがあるか?

実家に親世帯が住んでいて自分たち子世帯は別の場所で生活しているかたが、実家の土地に二世帯住宅を建てる場合、気になるのは価格だけではありません。

親世帯とうまくやっていけるのかどうか、とても気にかかりますよね。

しかし親世帯からすれば、新しい土地に引っ越すのでなく初めから土地ありなので、無理なく生活していけます。

子世帯と住むことで、老後の生活への不安も軽減されるでしょう。

介護が必要になったときは子世帯にやってもらうというよりも、公的な支援をメインにし、子世帯にはあくまでもサブとしてサポートしてもらうのが互いに負担の少ない方法です。

親の介護のために子どもが実家に通ったり同居したりする例がありますが、子世帯の暮らしが崩壊してしまい、共倒れとなるケースが相次いでいます。

その点、二世帯住宅は適度な距離感があるため親世帯が訪問介護を受け入れやすく、子世帯も自分たちの生活ベースを崩すことなくサポートできるのでうまくやっていけるのです。

また、孫の成長が間近で見られるというのも親世帯にとっては何よりで、生活にハリが生まれます。

実家のある土地に二世帯住宅を建てると子世帯にどんなメリットがあるか?

では子世帯のほうはどうでしょう。

子世帯にとっても下記のような良いところがあるのです。

①子ども(親世帯からみれば孫)の面倒を見てもらえる

いちばん大きなメリットです。

夫婦共稼ぎの場合は特に助かるでしょう。

子どもが小さいうちは急な発熱などで保育園に迎えに行ったり、病院に連れていったりしなければならないようなイレギュラーな事態が頻発します。

勤務先が遠くてすぐに駆け付けられない場合、親世帯がいてくれると大変助かるのです。

「子どもはみんなで育てる」を実感できます。

②家事を手伝ってもらえる

残業などで夕飯の支度が出来なくなってしまった時など、親世帯に応援を頼めます。

また急な雨の時、外出先から洗濯物の取り込みをお願いすることもできます。

ほかにも孫の入浴は親世帯が担当するなど、最初から分担を取り決めておくことで子世帯の家事を軽減することができます。

③その土地のことを教えてもらえる

すでに土地ありの状態で二世帯住宅を建てるのですから、その土地の風習やしきたり、ゴミ出しや近くの低価格のお店情報など、さまざまなことを親世帯から教えてもらえます。

新生活にスムースに移行できるでしょう。

土地あり二世帯住宅は経済的なメリットもある

実家のある土地に二世帯住宅を建てると、以下のような経済的なメリットもあります。

①土地を新規に購入する費用がかからない

通常、家を建てるには、土地の購入費+住居の建築費がかかります。

しかし実家に土地ありの場合には土地購入費がかからない分、お金を住居の建築費にまわせます。

ただし、二世帯住宅の価格は一般の住居に比べて高く、土地があるからといって安さを実感できないかもしれません。

②税金が優遇される

二世帯住宅は不動産取得税の控除額が高くなったり、固定資産税の支払い税額が安くなったりします。

また土地を相続すると通常は高額な相続税がかかりますが、二世帯住宅として一緒に生活すると相続税額が安くなります。

実家の土地を相続するのなら、二世帯住宅を建てたほうがお得になるのです。

③光熱費が抑えられる

親世帯・子世帯が一緒に生活するシーンが増えるため光熱費が抑えられるのはもちろんのこと、一緒に生活するシーンがほとんどなくても費用が抑えられます。

それまでの単世帯住宅から二世帯住宅になり各世帯の床面積が減ると、照明代や家電・冷暖房費が下がるからです。

親世帯と食事やお風呂を一緒にすればさらに生活費全体が抑えられます。

将来への備えとして貯金したり、レジャー費に充てるなど楽しみが増えますね。

④ローンが楽に

単世帯では収入が少なくローンを組めない場合でも、二世帯住宅を建てるとなるとローンが組めるようになります。

親世帯・子世帯共同でローンを組む、あるいは頭金を親世帯が出して残りを子世帯が払うといったようにいろいろなやり方ありますが、ローン返済そのものは楽になるでしょう。

土地あり二世帯住宅の種類とおおよその価格は?

二世帯住宅は次のような3つのタイプに分かれています。

●完全同居型…寝室以外すべての居住スペースを親世帯・子世帯が共有

●一部共有型…キッチンやリビングなど居住スペースの一部を共有

●完全分離型…親世帯・子世帯の居住スペースがすべて完全に独立

完全同居型は寝室以外、2世帯がすべての部屋を共有しているためプライバシーは確保しづらいですが、その分建築価格は安くなります。

反対に最もプライバシーが確保されるのが完全分離型ですが、1軒の家の中に2軒分の家が入っていることと同じなので、その分部屋数が多くなり、価格が最も高くなります。

部屋数が多いということは浴室、キッチン、トイレの給湯や排水のシステムも2倍、照明や空調設備も2倍、ドアや窓の数も2倍と、設備面でのコストがグンと上がるということです。

したがって二世帯住宅は、すでに実家に土地ありとはいえ建築費用が高くつき、結果的に単世帯住宅よりも価格が高くなると言われています。

土地あり二世帯住宅の価格を抑えるための対策

実家に土地ありの場合であっても、二世帯住宅を建てるとなるとかなりの価格になります。

そこで少しでも費用を抑えるためにどうしたらいいか、対策をみてみましょう。

①屋根や外観に凝らず、シンプルにしてコストを抑えよう

家の形状をできるだけシンプルな四角形にすれば、余計な間仕切りや柱、壁などが減るため価格が抑えられます。

また、屋根や外観をおしゃれにするとその分コストがかかりますから、中身を充実させるほうにシフトしましょう。

②メーカーの工法に着目しよう

注文住宅であってもメーカーの工場であらかじめ作られたユニットを現場で積み木のように組み立てていく工法のほうが価格が抑えられています。

資材の供給が安定的であるうえ職人の技を必要としないためにコストが抑えられ、建築価格が低くなるのです。

③相見積もりをとろう

価格はハウスメーカーや工務店によりまちまちです。

どこに頼もうか決まっていない場合は必ず複数社の相見積もりをとり、比較してからお願いするようにしましょう。

④全体の床面積を小さくしよう

二世帯住宅の総床面積は単世帯住宅に比べると広くなるため、その分建築費用も上がります。

したがって床面積を小さくすれば価格が抑えらえるのです。

しかし、完全分離型であれば床面積を狭めたところで間仕切りが増え、独立した風呂場やキッチンも必要なため設備費用は2倍かかり、結局コストはあまり下がらないといえます。

こうしたことからも、安く建てるには完全同居型がいいのですが、プライバシーが確保されにくいためにあまり支持されていません。

「安さをとるか、プライバシーをとるか」のどちらかになってしまうため、折衷案として一部共有型を選ぶ方が多いようです。

土地あり二世帯住宅の価格を抑えるにはどこを共有するといいか?

土地ありであっても二世帯住宅は高価格なため、どこかを共有してコストを抑えざるを得ない場合があります。

安くしたいなら、費用のかかる風呂場を共有するといいでしょう。

実際、一部共有型の75%が風呂場を共有にしています。

もともと水回りの設備はお金がかかるうえ、スイッチ一つですべてが完了するシステムバスの設置には設備代、水道代、電気代(もしくはガス代)の光熱費もかかります。

これを2つ作れば費用も倍になりますから、共有にしたほうがコストを抑えられるのです。

キッチンも風呂場に次いでコストのかかるところなので、約40%のかたが共有しています。

しかし、共有している場所で最も多いのが玄関です。

風呂場より多い約80%で共有されています。

内部の行き来がしやすいのと居住空間を広げられるメリットがあり、子ども(親世帯からすれば孫)が小さいうちは何かと便利だからでしょう。

ただし価格を抑える点ではあまり影響はないといっていいかもしれません。

二世帯住宅は価格重視かプライベート重視かで決まる

二世帯住宅は種類により価格が異なります。

安くしたいなら親世帯との共有部分を多くすることです。

しかし、子世帯の独立性やプライバシーが守られにくくなります。

子世帯のプライバシーを重視するなら住まいを完全に分離するタイプがいいですが、費用は高くなります。

価格を重視するか、プライバシー重視で行くかで二世帯住宅は変わってくるといっていいでしょう。