持ち家やアパートなどの地震保険の概要と保険料控除について

地震保険は、万が一持ち家やアパートなどの建物や家財が地震により損害を受けた場合、それを補償する保険です。

そして、この地震保険の保険料は、一定の条件を満たせば、所得控除が受けられます。

では、どのような場合にどのくらい控除が受けられるのか勉強していきましょう。

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持ち家やアパートの地震保険が所得控除される背景

地震というと思い起こされるのは、まずは阪神・淡路大震災ですが、これは1995年1月17日に発生した、当時未曽有の大災害でしたね。

一帯で多くの家屋やアパートなどの建物が倒壊し、多数の犠牲者が出ました。

そしてこの時は、地震保険というものがあまり普及していませんでした。

そのため、被災者支援に多額の税金が投入されましたが、とても十分とは言えませんでした。

政府はこの反省に立ち、建物の耐震性に関する規制を強化してきました。

また、国民自身が大地震に備えるよう、地震保険の加入を促進してきましたが、その一環として2007年に税制改正が行われました。

それまでは、損害保険料が年末調整で保険料控除の対象とされていましたが、それをなくし、地震保険料控除の制度を作ったのです。

その後も、2011年3月11日には、東北地方太平洋沖地震とこれに伴う福島第一原子力発電所事故による、東日本大震災という大災害が起こりました。

他にも、新潟地震や熊本地震など、各地で地震の被害が頻発しました。

また、2018年6月18日7時58分頃の大阪府北部地震は、まだ記憶に新しいですね。

このように、地震大国である日本では、地震に対しての備えはもはや必須と言ってよいでしょう。

持ち家やアパートの地震保険と火災保険の違い

ところで、地震保険とは、具体的にどのような制度なのでしょう。

地震保険は、地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失による損害を補償する地震災害専用の保険です。

そしてその対象は、持ち家やアパートなどの居住用の建物と家財です。

一方火災保険は、対象は同じでも火災や落雷、台風や洪水などの自然災害の他、水漏れや盗難事故も補償されますが、地震に起因するものは含まれません。

そして火災保険は、住宅ローンなどを組む際は、加入が必須となっているため、建物を建てたり購入する際に、ほとんどの人が加入すると思います。

地震保険は、この火災保険とセットで加入するものなのです。

また、すでに火災保険に加入している人も、契約期間の途中からでも地震保険に加入することができます。

そして、火災保険と地震保険の大きな違いは、火災保険は民間の保険会社による補償になりますが、地震保険は、民間だけで運営するものではありません。

実は地震保険は、民間保険会社が負う地震保険責任の一定以上の巨額な地震損害を、政府が再保険することによって成り立っているのです。

つまり政府は、単に所得控除で国民に地震保険への加入を促すだけでなく、その保険料の請負分を受け入れ、管理運用しています。

そして、民間で賄いきれない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために、地震保険特別会計を設け、区分経理しているというわけです。

地震保険の概要と補償の仕組み

このように、所得控除や国による再保険など、特殊な性格を持つ地震保険ですが、その補償は、持ち家やアパートなどの居住用の建物と家財に限られます。

工場や事務所などの事業用の建物の他、自動車や30万円を超える貴金属、通貨や有価証券、預貯金証書などの家財は補償の対象外となります。

一言でいうと、最低限の居住用の建物と家財を補償し、生きていくための生活の場を再建するための保険といえそうですね。

そして、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で地震保険の保険金額を決めることができます。

ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度となっています。

また、建物の主要構造部の損害の程度によって全損、大半損、小半損、一部損と損壊の基準が定められており、支払われる保険金額が変わります。

例えば、建物の全損とは土台や柱、壁や屋根の損害額が時価の50%以上で、焼失や流失した部分の床面積が、建物の延床面積の70%以上の場合です。

また、家財に関しても、損害額が保険対象の家財全体の時価額の80%以上を全損とし、段階的に大半損、小半損、一部損と程度によって分かれています。

そして万が一の場合は、民間の保険会社による補償がまず行われ、巨大災害の場合は政府による補償の補てんが行われます。

地震保険は、このような仕組みで運営されています。

地震保険の保険料の算出方法

では、地震保険の保険料はどのように決まるのでしょうか。

それは、保険対象である持ち家やアパートなどの建物および家財を収容する建物の構造や所在地によって算出されます。

建物の構造とは、主に耐火か非耐火による違いで、都道府県ごとに保険金額1,000万円当たりの保険期間1年での保険料が定められています。

例えば、北海道の耐火建物では8,100円、非耐火建物で15,300円、東京都の耐火建物では22,500円、非耐火建物では36,300円です。

これに長期になるほど割安になるように、期間による長期係数をかけて、さらに住宅の耐震性などによる割引を適用して、最終的な保険料が算出されます。

では、北海道の耐火建物で、保険期間5年、2007年10月1日以降に保険契約を結んだ免震構造の建物で、保険金額3,000万円の保険料を試算してみましょう。

まず、1年間の保険金額1,000万円当たりの保険料が8,100円なので、保険金額が3,000万円の場合は24,300円になります。

これに、5年間の長期係数である4.45を掛けて108,135円ですが、免震建築物割引が50%あります。

結果、5年間の保険料は54,068円ということになります。

そして、この保険料は、どこの会社で契約しても全国一律同じ保険料になります。

では次に、この地震保険料は、どの程度まで所得控除が受けられるのかを見ていきましょう。

地震保険の所得控除額は最高5万円まで

地震保険料所得控除は、その支払い金額のうち、所得税で最高5万円、住民税で最高2.5万円が控除されます。

つまり、年額5万円を限度に、所得税では全額、住民税では支払額の50%の所得控除を受けることができるのです。

そして、持ち家やアパートなどの建物と家財に地震保険を掛けている皆さんは、年末調整で地震保険料控除を申請しなければ控除は受けられません。

控除の金額は、保険会社から届く保険料控除証明書を見れば、その年度の控除額がわかります。

例えば、5年契約の地震保険料をその年に契約して、一括で支払った場合でも、保険会社は当年度分のみの保険料を計算して、証明書を送ってきます。

そして、翌年度以降も毎年年度換算した金額の証明書が送られてきます。

実際の申請方法は、年末調整で使用する「保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に必要事項を記入します。

用紙の左下に、地震保険料控除の欄があるので、保険会社の名称、保険等の種類(建物、家財など)、保険期間、契約者名(自分の名前)などを記入します。

そして、金額の欄には証明書の金額を記入します。

ただし、証明書の金額が5万円以上の場合は、合計金額のところには上限である5万円の金額を記入し、証明書を添付して提出します。

アパートなどの賃貸経営者は居住していなければ控除が受けられない

ところで、地震保険の所得控除で、ひとつ注意しなければならないことがあります。

それは、地震保険料控除の対象が、自分もしくは生計が同じ親族が所有し、居住している建物、もしくは家財の地震保険であるということです。

アパートを賃借して居住している人が、建物の地震保険には加入できず、家財にしか加入できないのはもちろんですが、オーナー側にも注意点があります。

それは、アパートなどのオーナーで、そのアパートに居住していない場合は、アパートに地震保険を掛けていても、地震保険料控除の対象にならないということです。

地震保険料控除の対象となるのは、所有しているというだけでなく、常時住宅として使用している建物にかかる保険料のみです。

まとめると、持ち家の場合は建物と家財の保険料が、アパートなどに居住している場合は家財の保険料が控除の対象となります。

そして、賃貸オーナーは、自分が建物に常時居住している場合は建物と家財の保険料が控除対象となりますが、居住していない場合は対象となりません。

地震保険加入の際や、年末調整や確定申告の際には、以上のような点に注意して、地震保険を有効に活用していただきたいと思います。

被災後の自助努力のために地震保険の加入を

今回は、地震保険について見てきましたが、加入者は増加の傾向にあるとはいえ、全体ではいまだ30%程度の加入率です。

しかしながら、もちろん想像したくはありませんが、大地震はいつどこで発生してもおかしくはないと言われています。

万が一に備えて、生き延びる努力とともに、被災後に自分たちの生活を立て直すための地震保険の加入も、考えてみるべきではないでしょうか。