地震大国ともいわれている日本。
ここ何年かを振り返っても、大きな地震がたくさんありました。
アパート経営をしているかたは、こうした天災に備えなければなりません。
今回は、地震が起きたときに備える地震保険と、これらの年末調整についてお話します。
アパート経営者が悩む地震保険
天災といっても、地震のほかには、雷や台風、洪水など自然による災難があります。
近年、大きな被害を生み出している地震のための備えとして地震保険がありますが、通常は火災保険と一緒でないと契約ができないため、オプションのように、別で加入しなければなりません。
いくつかアパート経営されているかたは、各アパートごとに火災保険の契約をしていらっしゃることでしょう。
そして、アパートの住人にも火災保険への加入をお願していることと思います。
ただし、地震保険に加入するか否かは、アパートの所有者、そしてアパートの住人が決めることになります。
保険料もかかりますし、地震保険の加入に悩んでいる経営者さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、地震保険の詳細を解説していきます。
地震保険の料金は、どのくらいかかるのでしょうか。
また、確定申告や年末調整について、お話します。
全損である場合は地震保険料が100%支払われる
確定申告や年末調整についても気になりますが、まずは地震保険に加入していると、どんな保証が得られ、どのくらいの金額が支払われるのかを、お話します。
所有しているアパートが地震などで損壊した場合、どのような状態にあるかで、支払われる金額が違ってきます。
まずは、全損の場合です。
全損である状態とは、次のような場合です。
▽主要構造部分が、建物の時価額の50%以上損壊した場合
▽消失、または流出した床面積が、建物の延べ床面積の70%以上の場合
▽時価額の80%以上の家財の損害がある場合
このように記載していますが、全て当てはまらなくても、それぞれの状態で保険料は支払われます。
基礎や屋根が30%の損壊でも、床部分の損壊が70%あれば、床部分は全損として扱われるということです。
地震による被害状況が全損で扱われる場合、地震保険は100%支払われます。
大きな地震は来てほしくないのが本心ではありますですが、保険料の支払いが100%あるというのは、いざという時の安心材料になるのではないでしょうか。
地震保険はアパートの損傷状況で支払い金額が変わる
続いて、アパート被害が半損である場合に支払われる金額です。
半損には、大半損と小半損のふたつのパターンがあります。
続けて見てみましょう。
●大半損
「大」との文字からお分かりいただけるように、全損ではないけれど、大きな損害がある状態です。
▽主要構造部分が、建物の時価額の50%~70%未満の損壊の場合
▽消失、または流出した床面積が、建物の延べ床面積の50%~70%未満である場合
▽時価額の60%~80%未満の家財の損害がある場合
なお、60%の地震保険金額が支払われます。
●小半損
▽主要構造部分が、建物の時価額の20%~40%未満の損壊の場合
▽消失、または流出した床面積が、建物の延べ床面積の20%~50%未満未満である場合
▽時価額の30%~60%未満未満の家財の損害がある場合
この場合は、30%の金額が支払われます。
さらに、一部損であれば、5%支払われます。
▽主要構造部分が、建物の時価額の3%~20%未満の損壊の場合
▽床下浸水や、地盤面から45cmを超える浸水
▽時価額の10%~30%未満の家財の損害がある場合
地震の備えとしてアパートの建物に地震保険をつける場合、何か割引はあるのでしょうか。
また、確定申告や年末調整について触れていきます。
アパート経営による地震保険は年末調整しよう
いざ地震保険に加入しようとなると、どこにしようか迷いますよね。
建物の規模や家財内容、地域によっては保険料が変わることもありますが、地震保険は国と民間損保会社が運しているため、どこの損保会社をえらんでも基本的には変わりません。
地震保険は建物の構造などで割引がありますので、ぜひチェックしてみましょう。
■建築年割引
新耐震の建物(昭和56年6月1日以降)であれば、10%割引されます。
この割引を適応させるには、建物の登記簿謄本が必要です。
■耐震等級割引
耐震構造の段階で割引されます。
多くの建物に値する1等級であれば、10%の割引。
学校で多い2等級は20%、病院などに値する3等級であれば30%の割引があります。
■免震建築物割引
建物が地震で揺れたときに、損壊を軽減させる免振建築物であれば、10%の割引がききます。
■耐震診断割引
耐震基準を満たしている建物も、10%の割引が受けられます。
アパート経営による地震保険は、経費として控除になります。
確定申告や年末調整をする必要はありますが、節税になりますよ。
年末調整で控除を受ける場合は地震保険料控除証明書を集める
地震保険控除とは、その年に支払った一定額の保険料が所得から控除されるため、所得税と住民税が軽減される制度になります。
年末調整にて地震保険料控除を受ける方は、地震保険料控除証明書を用意しましょう。
アパートの地震保険の契約をした年であったり、1年での契約のときは、申込書が控除証明書の場合もあります。
また、保険証券と一緒に送られてくることでしょう。
2年以上の兆期契約の場合は、秋ごろにハガキなどで控除証明書が届きますが、会社契約であると、会社に郵送されます。
また、会社契約であると、そもそも控除証明書を発行していないこともあります。
この控除証明書は原本でなければいけないので、無くさないようにしましょうね。
万が一無くしてしまった場合は、お近くの日本年金機構に行きましょう。
手続きには、運転免許証と年金手帳が必要になります。
急ぎでない場合は、ねんきんダイヤルに電話して、新たに発行してもらいましょう。
年末調整の書類に記入してみよう
地震保険控除といっても、全てが控除対象になるわけではありません。
対象となる以下の条件を満たしていないと、控除対象外となってしまうので注意しましょう。
・自己や自己と生計を一にする配偶者、その他の親族が所有している居住用家屋
・常に居住用に使用する生活用動産(投資用などは対象外)
・地震、噴火又は津波を原因とする火災、損壊等による損害をてん補する保険金や共済金が支払われるもの
次に、区分についてです。
地震保険料控除は、地震保険料と、旧長期損害保険料があります。
保険料控除証明書に、どちらかの区分が記載されていますので、確認してみてください。
ひとつの保険で両方に該当する場合は、どちらか一方の控除を選ぶことができます。
控除額が大きい方を選ぶといいですよ。
そして、控除証明書に書かれている通りに、記入していきましょう。
地震保険料を一括で支払っている場合でも、支払った保険料から保険期間を割った金額が、毎年の控除対象保険料になります。
なお、年末調整で控除を受けなかった方は、確定申告で地震保険料控除が適応されます。
アパート経営をしていて、地震保険に加入しているかたは、申告してみましょうね。
いざというときのために備えよう
いかがでしたでしょうか。
加入するかどうか悩んでしまいがちな地震保険ですが、建物の造りによって保険料の割引もありますし、もし天災が発生した時に建物へ被害があれば保険金額を受け取ることができます。
備えあれば憂いなしとも言いますし、加入をおすすめしますよ。
また、支払った保険料は控除の対象になることもありますから、年末調整や確定申告で節税することも出来ます。