金製品は、ほとんどの場合、「K18/750」「K22/916」「K24/999」などの刻印が打たれています。
お手持ちの指輪やネックレスにも刻印されているはずです。
その刻印は品質を表すものですが、どんな意味を持っているのでしょうか。
また、刻印のない貴金属はすべて偽物なのでしょうか。
今回は、金製品の刻印と、そこに書かれている数字の意味について見ていきましょう。
金製品の刻印の意味は?数字「916」とは?
金製品の多くには刻印が打たれています。
なぜ刻印が打たれているのかというと、金製品の純度、製造元、製品情報などがすぐに分かるようにするためです。
また、「偽物でないことを保証する」という意味もあります。
金製品は貴重なものというのは、今も昔も変わりません。
そのため、偽物を作って手柄を得ようと考え、実行する人が現れるのです。
例えば、古代ギリシャの数学者アルキメデスが導き出した「アルキメデスの原理」をご存知でしょうか。
これは、金で作られた王冠が本物であるかを確認するために考えられたと言われています。
それほど昔から、金製品の価値は高く、偽物が出回っていたということですね。
そのため、金製品の価値を保証する刻印が必要なのです。
金製品の品位証明は、1300年代にイギリスのエドワード一世が制定したのが最初と言われています。
また、品位証明記号を「ホールマーク」とも呼びますが、これは、イギリスのギルド本部である「ゴールドスミスホール」で品位証明記号が打たれたことが元になっています。
日本では、1929年に造幣局によって品位証明規則が定められましたが、強制制度になっているイギリスやフランスなどと違って、日本の検定制度は任意なので、品位表示のみのものも流通しています。
ちなみに、金製品の品位を示す刻印は、一般的には千分率で表します。
「750」「916」「999」などの刻印は、金の含有率を示しているのです。
金製品の刻印「916」の品位はどれくらい?
金製品に限らず、千分率で刻印された数字は、JIS(=日本工業規格)やISO=(国際標準規格)などの基準によって認められた品位です。
よく知られている金製品の品位で、24分率で表される「カラット」は、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「カラット」という単位は、ダイヤモンドの大きさなどでも知られていますが、金の純度の単位も24分率=カラットで表されます。
これは金特有のもので、ダイヤモンドの単位1カラット=200㎎とは異なり、記号も金は「Kt」、ダイヤモンドは「ct」です。
・千分率 per mille/パーミル 記号/‰
・百分率 percent/パーセント 記号/%
・24分率 karat/カラット 記号/K、Kt
先程ご紹介した千分率は聞き慣れませんが、一般的によく使われる百分率は耳馴染みがあると思います。
日本ではカラットを「金=きん」と呼ぶことが定着し、金製品に関しては「K18=18金(きん)」と言うようになりました。
金製品の刻印には、この24分率か千分率の数字のどちらかか、あるいは両方が打たれている場合があります。
そして、「K18/750」は金の純度が75%、「K22/916」は91.6%を表します。
また、日本では99.99%以上のものが純金「K24 1000」と表示されます。
造幣局の「品位証明」金の刻印とは?
それでは、日本の造幣局では、どのようにして金の刻印が打たれているのでしょうか。
造幣局は公的な第三者として、貴金属製品の品位試験を行っています。
品質試験は、貴金属製品を製造、あるいは販売している事業者からの依頼に応じる形で、金製品の分析、純度などを調べ、品位の証明をし、証明記号である刻印を打ちます。
この証明記号=ホールマークは、一般の人にもよく知られていて信頼が厚いことから、金製品の取引を安定させ、消費者保護にも役立っています。
日本の造幣局のホールマークデザインは、左に日本の国旗である「日の丸」がはためき、右には千分率で表された純度の数字が、品位を表すひし形の中に納まっています。
また、プラチナなどは純度を表す数字の右側に、四角く囲まれた「Pt」の文字が打たれています。
造幣局が品位証明した証明記号は、日本の国旗と千分率で表された「916」や「999」などの3桁の数字で表されます。
したがって、よく見かける「K18」や「Pt900」などの刻印は、造幣局の証明記号ではありません。
刻印を見れば誰でも金の品位判別ができる
造幣局では、白金製品4区分、金製品6区分、銀製品5区分、白金及び金を接合した製品5区分と、区分を分けていますが、いずれも品位は千分率で表されます。
金製品6区分とは、次のようになります。
造幣局では、伝統的によく使われているカラット表示をしていませんが、合わせて見てみましょう。
【造幣局の品位証明区分/カラット表示】
・999 / K24
・916 / K22
・750 / K18
・585 / K14
・416 / K10
・375 / K9
造幣局で打たれるこの刻印は、任意の制度として設けられたものなので、市場に出回っている金製品の中には、刻印のない製品もあります。
もちろん刻印がないからすべて偽物というわけではありませんが、金製品の品位は目で見ただけではわかりません。
ましてや、貴金属に対する知識のない一般人であればなおさらです。
したがって、造幣局のホールマークのように信頼できる刻印があるからこそ、誰でも品位の判別が可能となっているのです。
金製品の刻印「916」「K22」以外のパターンは要注意!
金製品の品位を知るために重要な刻印ですが、注意しなければならないものもあるのでご紹介しましょう。
【アトK】
通常「K22」と刻印されていれば、金の品位は916で純度91.6%です。
しかし、「22K」と刻印されていると、とたんにその品位は怪しくなります。
この数字のあとにくる「K」は、「アトK」と呼ばれ、海外で製造されたものやとても古い時代のもので、製造技術が良くないため、品質が悪い場合が多いのです。
このような金製品は、比重検査や試金石検査などを行い、品位を確かめる必要があります。
【GF/GP】
「GF」は、「GOLD FILLED」の略で、「金張り」のことです。
真鍮をベースにして、表面に金を重ね高熱圧着したもので、一般的な金メッキと比べると、約100倍も層が厚いと言われていて、発色が良く摩耗にも強いようです。
刻印に「GF」がなく、「1/20 18K」とだけ打たれている場合もあります。
「GP」は、「GOLD PLATED」の略で、「金メッキ」のことです。
真鍮にニッケルをかけ、その表面に薄く金をメッキしたもので、「GF(金張り)」と比べて、金の層が薄く、摩耗に弱く発色も劣ります。
「22K」「22GF」「22GP」など、紛らわしい刻印があるので注意しましょう。
刻印以外で偽物を見分ける方法は?
金製品の偽物は、数多く流通しています。
しかし、偽物かどうか判断するのはとても難しいことです。
偽物かどうか調べるには、金製品を切断する、試金石に削りとる、硝酸をかける、といった方法があります。
しかし、これらの方法では製品を傷つけてしまいます。
製品を傷つけずに金製品の品位を判定する方法のひとつに、比重を測るというものがありますが、そのためには特別な測定器を使う必要があります。
他にも、X線分析装置を使う方法もありますが、これも気軽に行えるものではありません。
そのため、金製品の品位を保証する刻印が必要なのです。
刻印のマネはなかなか難しく、そこまで手間をかけてもメリットがあまりありません。
したがって、刻印は純度や製造元を表すだけでなく、偽物の流通を防止するという役目もあるのです。
最後に金製品の刻印マメ知識をご紹介しましょう。
中国の金製品には、漢字で品位を表しているものがあります。
・万足金 K24 999
・千足金 K22 916
・足金 K20 835
「シナ金」と呼ばれる中国独特のもので、偽物ではありません。
金製品を購入するときには刻印をチェック
金製品の刻印は信頼性のあるものです。
日本の刻印は任意のものではありますが、千分率で刻印された数字は、JIS(=日本工業規格)やISO=(国際標準規格)などの基準を満たしたものなので、安心できます。
金製品を購入するときには、本物かどうかの確認になるので、刻印をしっかりチェックしましょう。
ただし。なかには紛らわしいものもあるので注意してください。