fxを始めるにあたっては、自分の投資スタイルに合った取引業者選びが重要です。
まず、基本として選考基準になるのは、スプレッドの狭さです。
しかし、ただスプレッドの狭さを見るだけではなく、「原則固定スプレッド」と「変動スプレッド」のどちらであるのかも着目しておく必要があります。
この記事では、「原則固定」と「変動」の違いから、取引業者を選ぶ上でのポイントについてご説明していきます。
fxの基礎知識!「原則固定スプレッド」と「変動スプレッド」の違い
fxでより利益を得るためには、売買取引を行う業者選びから慎重な見極めが必要になります。
業者選びの選考基準の一つに、スプレッドの狭さが挙げられますが、ただ単にスプレッドの狭さだけで飛びつくのは安易と言えます。
と言うのも、それぞれのfx業者はスプレッドに対して、「原則固定スプレッド」「変動スプレッド」という方式を採用しているからです。
この2つのスプレッド方式は、取引をする上では大きく利益に反映してくるので、必ず基礎知識として覚えておくことが重要です。
では、両者のスプレッド方式の違いを見ていきましょう。
・原則固定スプレッド
国内のfx業者の多くは、「原則固定スプレッド」を採用しています。
「原則固定スプレッド」とは、「原則として一定に固定されたスプレッド」を意味し、基本的には業者がスプレッドを決めています。
ただし、あくまでも「原則的」な固定であるため、例えば、要人発言や経済指標の発表前後などを要因に、スプレッドが大きく変動することがあります。
・変動スプレッド
「変動制スプレッド」とは、常にスプレッドの変動が想定され、主に取引量の少ない時間帯に大きく変動する傾向があります。
業者が狭いスプレッドを提示していても、変動方式を採用している場合があるので注意が必要です。
このように、2つのスプレッド方式にはそれぞれ大きな違いがあります。
業者が提示するスプレッドの狭さで即決するのではなく、スプレッドの方式もよく確認しておきましょう。
変動スプレッドの方がスプレッドは狭い?
前項の説明で、「原則固定スプレッド」と「変動スプレッド」の違いについて大まかに理解できたことと思います。
では、原則固定と変動では、どちらの方がスプレッドが狭いのでしょうか?
ほとんどのfx業者は、原則固定スプレッドを採用していますが、理論上、変動スプレッドの方がスプレッドの狭さに優れていると言えます。
その理由としては、原則固定スプレッドの仕組み上、業者はスプレッドを固定する代わりとして、スプレッドを少し上乗せしているからです。
例えば、原則固定スプレッドが1.2pipsで提示されている場合、仮にレートが1.6pipsに変動してしまえば、業者側には赤字が発生してしまいます。
それを防ぐために、平常状態の相場において、最も広がったスプレッドを固定値として提示することで、少なくとも平常時に限っては、業者側の損失を減らすことができるのです。
以上の仕組みから見てみると、原則固定していない変動スプレッドの方が、コスト的には安くなるわけです。
ただし、変動スプレッドの場合、レートが大きく変動した際には、スプレッド幅も広がりやすくなるので注意が必要です。
特に、短期売買を繰り返すスキャルピングやデイトレードは、スプレッドの広がりはリスクになります。
そのため、短期売買の投資スタイルのトレーダーは、原則固定スプレッドの方が向いていると言えます。
fxで気を付けたい!変動スプレッドは取引時間にも左右する
変動スプレッドはスプレッドの狭さが魅力的ですが、常にスプレッド幅が広がりやすいのは、fxで利益を得るためには難点です。
特に、指標発表などのきっかけがない平常時でも、取引する時間帯によってスプレッド幅は大きく変動します。
そういったスプレッドのムラをよく理解しておかないと、利益の損失にも繋がりかねません。
例えば、外国為替市場での流動性が最も高くなる時間帯は、21~2時です。
これは、「三大外国為替市場」と呼ばれる、ニューヨーク、ロンドン、東京の取引時間が大きく影響しており、それぞれの時間帯が重なっているからです。
また、ニューヨークとロンドンは、全為替市場の50%以上の取引額を占めていることから、この両国がどれだけ流動性に大きく関わっているかは想像がつきますね。
その一方で、三大外国為替市場がクローズしている日本時間の朝7~9時は、著しく流動性が低下する時間帯です。
その点は原則固定スプレッドであっても覚えておくと良いでしょう。
原則固定でもスプレッドは変動する!要因は3つ
前述したように、変動スプレッドは一日のスプレッドにムラがあることが分かりました。
その一方で、原則固定スプレッドではスプレッドが比較的広い分、平常時ではスプレッドが広がりにくい点が魅力的です。
しかしながら、「原則的な固定」であるため、場合によってはスプレッドが大きく変動することがあります。
では、原則固定を採用しているfx業者において、スプレッドが大きく変動するのには、どのような要因が考えられるのでしょうか?
その要因について、3つに分けてご説明していきましょう。
①流動性の低下
流動性とは、売買が行われる取引量の多さを指します。
つまり、「流動性の低下」とは、「取引量が少ない」ことを意味しており、その状態ではスプレッドが広がりやすくなります。
例えば、年末年始やゴールデンウイークといった長期休暇の時期になると、流動性は極端に低下する傾向にあります。
②為替相場の急変
要人発言や重要な経済指標、戦争、災害などの事件が起こった場合、為替相場が大きく急変します。
こういった有事には、リスクヘッジのために多くのトレーダーが注文を行いますが、fx業者は注文の殺到に対処を行うことが難しくなります。
その結果、市場の流動性は失われてしまい、業者側はスプレッドを広げざるを得なくなるのです。
③カバー先が少ない
カバー先とは、fx業者へ為替レートの値を提示している金融機関を指します。
fつまり、fx業者が提示するレートは、カバー先のレートが元になっているのです。
このようなカバー先を多く持つことで、スプレッドの大幅な広がりを避けることに繋がります。
上記3つの変動要因は、原則固定だけではなく、変動スプレッドの場合でも念頭に置いておきましょう。
fxの始め方!スプレッド方式は取引スタイルで選ぼう
これまでに、変動スプレッドと原則固定スプレッドの違いや特徴についてご説明してきました。
このような両者の違いから、きまぐれなfx業者選びをしてしまうと、トレーダーの取引スタイルによっては不向きにもなり得えます。
そのため、あらかじめ自分のスタイルに合わせて業者を検討していくことが必要です。
つまり、トレーダーが取引を行うメインの時間帯に対し、より有利なスプレッド方式を選ぶことが重視されるのです。
具体的に言うと、例えば流動性の高い深夜に取引を行いたい場合は、変動スプレッドを選ぶのがベターです。
それに対し、一日の中でいつでも気軽に取引を行いたい場合は、原則固定スプレッドが向いていると言えます。
このように、両者のスプレッド方式のメリットを最大限生かせるように、fx業者を選んでいきましょう。
スプレッドの変動にはどう対処する?リスクヘッジの重要性
スプレッドの広がりやすさには差があるものの、原則固定にしても変動スプレッドにしても、両者ともに気を付けなければなりません。
では、スプレッドが変動する可能性に対して、あらかじめリスクヘッジをすることは可能なのでしょうか?
スプレッド拡大へのリスクヘッジとしては、「許容スリップ」の設定がおすすめできます。
「スリッページ」とは、「注文したレート」と「約定されたレート」の「ズレ」を意味しています。
例えば、「1ドル=120,000円」で注文したにも関わらず、「1ドル=120,003円」で約定されてしまうと、注文と約定の間に「レート差」が生じます。
特に、重要な経済指標発表や有事の際には、注文が殺到するため、このようなスリッページが発生する傾向が大きくなります。
このようなスリッページを避けるために、「許容スリップ」が必要になってきます。
「許容スリップ」とは、注文する際にリスクヘッジとして設定するもので、仮に許容範囲外のスリップが生じた場合には、約定しないようにできる機能です。
この設定をするかしないかで、スリッページによる思わぬ損失を防ぐことができます。
fxは「いかに利益を稼ぐか」が重要になりますが、それと同時に「いかに損失を抑えられるか」も非常に大切です。
自分の実力を過信せず、スプレッド変動に対するリスクヘッジは常に行っておきましょう。
自分に合ったスプレッド方式を
原則固定スプレッドと変動スプレッドには、それぞれのメリット・デメリットがあるため、fx業者を選ぶ上ではよく知っておく必要があります。
国内では原則固定の方式がほとんどですが、海外業者では変動スプレッドを採用しているところもあります。
自分の取引スタイルでより有利にトレードができるように、慎重な業者選びをしていきましょう。